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絵画が動き出し、物語の続きを見せてくれる――そんな新しい体験が、世界中のどこからでもできるようになりました。

今までにない切り口で絵画を鑑賞できる「Moving Paintings」は、京都の福田美術館とGoogle Arts & Cultureのコラボによるプロジェクト。2025年9月24日、世界で初めて公開となり、パソコンなどを通して私たちも遊べるようになりました。

さらに、オリジナルの作品に忠実な世界観で絵画が動く「ARTISTIC」モードだけでなく、現実に近しい光景を表した「REALISTIC」モードも搭載。絵画ならではの世界と、現実的な映像美を切り替えて楽しめます。

私も実際に「Moving Paintings」で遊んでみたので、使い方や内容をレビューしていきます！

「Moving Paintings」で絵画を見てみよう

福田美術館は「誰もが感動する」をコンセプトに、江戸時代から近代の日本美術を収集している美術館。動物画や花鳥画、美人画など、美術に詳しい人もそうでない人も親しみやすい作品を多く所蔵しています。

「Moving Paintings」には、福田美術館のコレクションから24の作品が登場しました。葛飾北斎や歌川広重をはじめ、いずれも時代を動かした巨匠たちの名品ばかりです。

動画は、Googleの動画生成技術であるVeoを活用して生成。静止した絵画に動きを与えるだけでなく、隠された物語を解き放つ、とのことです。

「Moving Paintings」は世界中のどこからでもアクセスできるので、ご自宅などでさっそく試してみませんか？ 実際に私も触ってみたところ、スマホよりもパソコンの方が動作しやすかったので、パソコンで見るのがおすすめです。

絵画が動いて物語が始まる「ARTISTIC」

「Moving Paintings」には、ARTISTICとREALISTICの2つのモードがあり、ARTISTICモードではオリジナルの作風を踏襲した映像を見ることができます。

…静止画のスクリーンショットでは動きの様子が伝わりにくいと思いますが、絵画がぬるりと動き出す瞬間には「おお！」と思わず声が出ました。

葛飾北斎《水中双鴨図》では、雌雄の鴨が絵画の世界をスイスイと泳ぐ映像が流れます。「動くとこんな感じになるのか！」と無邪気に見入ってしまいました。

ARTISTICモードの面白い点は、あくまでも「絵画」の世界観であること。画家が生み出した美の世界をベースに、二次創作された作品を楽しむ感覚です。

現実らしい世界を映す「REALISTIC」

もうひとつのREALISTICモードでは、現実の光景に近い写実的な世界を見ることができます。もしも絵画と同じ光景が現実にあったら…という想像を、叶えてくれるモードだと感じました。

竹内栖鳳《春郊放牛図》は、牛もリアルですが、ちょこまかと動き回りつつ画面内に留まり続ける雀が可愛くて…。元の作品ではあえて密やかに描かれている雀も取りこぼさず、REALISTICモードでは主役のひとりとして登場しています。

歌川広重《東海道五十三次》「原」では、富士山だけでなく麓を歩く母娘とお供の者も映像化。こんな風に歩いていたのかも？ と想像したら、なんだか身近に思えてきます。

現実を元に絵画が生まれたなら、これは絵画を現実に戻す営みと言えるのでは。ハリウッド映画のような映像美で、画家の想像を追体験できる試みです。

【まとめ】自宅からでも鑑賞できる「動く絵画」

フィクションの世界にしかなかった「動く絵画」が、「Moving Paintings」を通して実現。絵画の楽しみ方が、大きく広がったように思います。

「前後にどんなことが起きたのか？」を想像しながら絵画を見るのって、面白くないですか？ これは「Moving Paintings」だけでなく、美術館で絵画を見るときにも役立つ視点です。

世界中のどこからでもアクセスできるので、さっそく体験してみてはいかがでしょうか？

Moving paintings × Fukuda Art Museum