【藤沢市 観光スポットレポ】遠藤笹窪谷公園 - 生きものと人の共生の場
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お天気に恵まれた秋の日、藤沢市北部にある「遠藤笹窪谷公園(えんどうささくぼやとこうえん)」を取材してきました。清々しい空気の中で歩く谷戸の風景は、秋らしい彩りに包まれていました。
広すぎず、狭すぎず、ちょうど良い園内には、子どもたちが遊ぶ姿や、ゆったりとした時間を楽しむ人々の姿があり、穏やかな癒しを感じました。
生物多様性をテーマに管理されているこの公園は、三世代が集う賑わいを大切にしながら、人々に「生き物を好きになってほしい」という思いを届けています。
公園の概要と「谷戸」の風景
遠藤笹窪谷公園は、藤沢市北部に広がる谷戸の自然を活かした公園です。
普通は「谷戸」と書いて「やと」と読みますが、遠藤地区では昔から「谷」という一文字で「やと」と表してきました。谷戸とは丘陵の間にできた細長い谷を指し、関東地方特有の地形です。
湘南と聞くと海辺のイメージが強い県外の方にとっては、こうした里山の風景が残っていることは新鮮に映るかもしれません。
園内とその周辺には湿地や田んぼ、菖蒲畑、雑木林が広がり、四季折々の自然を楽しむことができます。今回訪れた秋の午前中は、オギ(イネ科の多年草で、ススキに似ているが、より湿地に生育し、葉が幅広いのが特徴)が見ごろを迎え、風に揺れる穂が陽の光を受けて輝いていました。
小川のせせらぎも心地よく、水辺では蝶やトンボが舞い、賑やかな生命の営みを感じました。
写真を撮りながら歩いていると、園内の広さが「広すぎず、狭すぎず、ちょうど良い」と感じられ、散策にぴったりだと思いました。人影はまばらで、静かな時間が流れており、自然の中で心が整うような癒しを得られました。
生物多様性を守る取り組みで「国土交通大臣賞」を受賞!
この公園の大きなテーマは「生物多様性」です。湿地や田んぼを活かした環境づくりが行われ、そこに暮らす生きものたちが安心して過ごせるように工夫されています。
草の刈り方ひとつにもこだわりがあり、園内では「全刈り」「高刈り」「無刈り」をバランスよく使い分けています。これによって、さまざまな生きものが棲み分けできる環境が保たれているのです。
蝶やトンボが多く飛び交う姿を見ていると、その工夫が確かに生きものたちの賑わいにつながっていることを実感しました。
管理を担う人々は「生き物を好きになってほしい」という思いを込めて活動しています。観察会や体験イベントを通じて、子どもから大人まで自然に親しめるよう工夫されており、生きものと人の共生をテーマにした公園運営が印象的でした。
こうした取り組みは全国的にも高く評価されており、「生物多様性の保全と体験に特化した公園管理」として、「令和6年度 第40回都市公園等コンクール」の管理運営部門で国土交通大臣賞を受賞しています。
秋の午前中に感じた魅力
取材した午前中は、光が柔らかく、紅葉した木々が透けるように輝いていました。落ち葉が積もる小径を歩くと、足音が心地よく響き、季節の移ろいを肌で感じられます。
オギの穂が風に揺れる姿は秋の象徴で、写真に収めると季節感が際立ちました。小川の水辺では、蝶やトンボが舞い、自然の賑わいを感じる瞬間がありました。こうした風景は、午前中ならではの澄んだ空気と相まって、取材をしていてとても気持ちよく撮影できました。
園内にはベンチやテーブルが点在しており、散策の途中でひと休みしたり、お弁当を広げたりするのにぴったりです。人々が思い思いに過ごす姿を見ていると、公園が「癒しの場」として地域に根付いていることを感じました。
子どもたちの姿と貸し出しサービス
園内では、子どもたちが虫取り網を手に走り回る姿が微笑ましく、自然の中で遊ぶ楽しさが伝わってきました。公園では虫取り網やレジャーシートを無料で貸し出しており、手ぶらで訪れても自然遊びを満喫できます。
こうしたサービスは、子どもたちだけでなく、親や祖父母も一緒に楽しめる工夫となっていて、まさに「三世代が集う賑わい」を体現していると感じました。自然の中で遊び・学び・休むことができる環境は、地域の人々にとっても、県外から訪れる人にとっても魅力的です。
展示コーナーで知る、谷戸のいきものたち
園内の一角には、遠藤笹窪谷公園の自然や生きものについて紹介する「展示コーナー」が設けられています。
室内には、谷戸に暮らす昆虫や野鳥、植物などのパネル展示があり、子どもたちにも分かりやすい言葉で解説されています。公園で見かけた蝶やトンボが、どんな環境で生きているのかを知ることができ、自然観察の楽しみが深まります。
静かな空間で、自然への理解を深めるひととき。外の賑わいとはまた違った、落ち着いた時間が流れていました。
まとめ | 心に残る谷戸の風景
遠藤笹窪谷公園は、生物多様性を守りながら、人々に自然の魅力を伝える場所です。谷戸の風景は、湘南のもうひとつの顔として、訪れる人に静かな癒しを届けてくれます。
取材を通じて感じたのは、管理者の「生き物を好きになってほしい」という思いが園内の隅々に息づいていること。そして「生きものと人の共生の場」をテーマにした運営が、地域と自然をつなぐ役割を果たしていることです。
秋の午前中に見たオギや紅葉、水辺の賑わいは、写真に収めることでさらに鮮やかに記憶に残りました。湘南の海辺を楽しんだあとに、少し足を延ばして谷戸の自然に触れる。そんな過ごし方をおすすめしたいと思います。
遠藤笹窪谷公園
開園時間
24時間
生物多様性サテライトセンター
8:30~17:00
休館日:月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日が休館)、12月28日〜1月4日
駐車場
あり
※大型バスは駐車できません。
※慶應義塾大学関係者用駐車場と並んでいるため、お間違えのないようご注意ください。
入園料
無料
住所
神奈川県藤沢市遠藤4840