【よく噛む食育】鍋にもおすすめ、噛みごたえのある食材は?/専門家監修
食育でお子さんに伝えたいことのひとつが、「食べ物はよく噛んで食べること」です。
「しっかり噛んで食べることは、お子さんの心身の成長にとって、とても大切です」とお話ししてくださったのは、「健康」をテーマにした料理教室や食育を推進するNPO「食育暮楽部(くらぶ)」を運営する森野恵子先生です。
今回は、森野先生に噛むことの大切さ、噛みごたえのある食材について伺いました。
しっかり噛むと、どんなよいことがあるの?
「よく噛んで食べようね!」とお子さんに声かけしているおうちの方も多いのではないでしょうか。
しっかり噛むことは、食育基本法に基づいて、食育を推進するための方針や目標を定めた第4次食育推進基本計画(令和3年4月1日策定)でも、「ゆっくりよく噛んで食べる国民を増やす」という目標が設定されているくらい大切なことです。
まずは、噛んで食べると何がよいのかをご紹介しましょう。
〈食育ポイント1〉食べ物が消化吸収されやすくなる
食べ物は、噛めば噛むほど細かくなり、消化しやすくなります。噛まずに食べ物を飲み込むと、消化する胃腸の負担が大きくなってしまいます。食べ物の栄養素をきちんと吸収するためにも、よく噛みくだくことを心がけましょう。
噛む回数は、「一口30回」を目安にしてください。2009年には、厚生労働省から一口30回以上噛むことを目標にした「噛ミング30(カミングサンマル)」という目標が提唱されています。
〈食育ポイント2〉歯並びがよくなる
よく噛んで食べることで、顎の骨の成長が促され、歯並びがよくなります。歯並びがよくないと、噛み合わせが悪くなってしまうので、食べ物がよく噛めなかったり、食いしばれずに力が入りづらくなったりします。
〈食育ポイント3〉だ液がたくさん出るようになる
噛むことで、口の中にだ液がたくさん出るようになります。だ液は健康と深く関わるはたらきがあります。口の中を湿った状態に保ち、細菌が増えるのをおさえて、虫歯や歯周病などから体を守っています。
〈食育ポイント4〉満腹中枢が働きやすくなる
食事をよく噛んでゆっくり味わうと、少量であっても脳にある満腹中枢が刺激され、食べ過ぎを防ぐことができます。
〈食育ポイント5〉集中力や記憶力が高まる
よく噛んで食べると、顔面の感覚情報を脳に伝える末梢神経のひとつである三叉(さんさ)神経のはたらきが活発になります。噛むことで脳が刺激されて、集中力や記憶力が高まり、脳内の血液量が増えて眠気も覚めます。
噛まない食事に要注意!
よく噛むためには、ふだんの食事から、噛みごたえのある食品を取り入れるように心がけたいですね。
特に気をつけてほしいのが鍋メニューです。冬になると食卓に登場する機会も増えるのではないでしょうか。手軽につくれて、野菜もたっぷりとれるのはよいのですが、食材はやわらかくなりがち。噛まずに飲み込むように食べてしまっていたら要注意です。
次に紹介する噛みごたえのある食材を入れたり、副菜を用意したりして、噛む工夫をしてみてください。
鍋の具材にもおすすめ、噛みごたえのある食材
かたまりの肉…鶏肉や豚肉を一口大の大きさに切り、硬さを残す。水炊き、豆乳鍋など。
ちくわ…太めに切って、噛みごたえのある食感を生かす。水炊き、おでんなど。
イカ…太めの輪切りにして噛みごたえをアップ。トマト鍋、キムチ鍋など。
こんにゃく…大きめに切って、噛みごたえよく。おでん、みそ鍋など。
れんこん…厚めに切り、硬さを残す。水炊き、トマト鍋など。
ラーメン…鍋のしめは、硬さとコシのあるラーメンを。
副菜で、さらに噛むことをプラス
野菜スティック…きゅうりやだいこん、セロリなど。にんじんはゆで時間を短くして、硬さを残す。
きんぴらごぼう…ごぼうとにんじんは厚めに切って、噛みごたえをアップ。
今回は、食べ物をよく噛んで食べることの大切さ、噛みごたえのある食材を取り入れる工夫について紹介しました。ぜひ、毎日の食事で意識してみてくださいね。