台南に負けないグルメ地帯、嘉義で居酒屋探し
首都台北から時計回りに島を南下し、高雄→岡山→善化を北上。嘉義(ジャーイー)で人気麺店を堪能したあとは、夜市を巡りながらビールが飲める店を探す。
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嘉義の街にも西洋的洗練の波が
嘉義の夜。〆の一杯をやりたいので、ホテルを出るときに若いフロントマンに聞いておいた酒場を探しに出た。
台湾の若者は、日本や韓国と比べるとあまりお酒を飲まない。日本の飲酒人口も徐々に減りつつあるが、台湾はさらに少ない気がする。
フロントマンも「自分はあまり飲まないんですけど……」と言いつつ、市街地の外れにある店を紹介してくれた。
嘉義の街は車道が広く、道路がまっすぐなので歩きやすい。ひとつ難点を言うと、駅を起点として見たとき、垂直に伸びる道がなく、すべての道が駅や線路と斜めに交わっていること。街全体が斜めの格子状になっている感じだ。地図を覚えて場所を把握する上で、「斜めの街」はちょっと厄介である。
紙の地図やスマホをぐるぐる回転させながら、進行方向を確かめつつ街を歩く。そこには3年半前に来た頃より西洋化が進んだ嘉義があった。大通りにアディダスやスターバックスなど海外の有名店が立ち並ぶ。
どの店舗も全面ガラス張りで、窓はピカピカに磨きあげられている。街が便利になるのはいいが、台湾らしさが失われるのは残念だ。
文化路という大通りには毎晩夜市が出るのだが、こちらも道幅が広いため、台北などの人がすれ違うのがやっとな夜市と比べると両脇の露店どうしは離れていて、大勢の人が行き交ってもスペースは十分すぎるほどある。
台湾に来て日本風居酒屋に入るのはどうも……
街の中心地から少し外れた大通りまで歩くと、ひときわ明るい看板が目に入った。その名も「炭少年」。中華式のふりがなで「タン シウ リェン」とあるので、どうやら台湾語読みらしい。
けれど、看板に描かれたメニューのイラストには焼き鳥のような串物が描かれており、店内外の目立つところに「アサヒ生」と「キリンビール」の大きな文字。店構えもかなり和風だ。
しかも、看板のキャラクターはリーゼント頭にハチマキとはっぴ姿。どう見ても和風居酒屋である。
平日の夜だというのに20代から30代の客で賑わっていて、1人客を受け入れるスペースはなさそう。これに似た店が嘉義市内には何軒かあり、どれも盛況だ。
日本人が台湾の地元の人に「お酒が飲める場所」を尋ねると、和風居酒屋をすすめられることが多くて白けてしまう。こっちは台湾らしさを求めて地方を旅しているのに……。
豚ホルモンのスライスでビールを目論むが……
あきらめずビールを探して街を歩くと、またしても大通り沿いの古い建物に赤ちょうちんをぶら下げている店を発見。看板には「焼きチマキ・蚵仔煎(牡蠣の卵焼き)」とあり、仕事帰りの会社員風の男女がポツポツと歩道に並んだテーブル席を埋めている。
これは期待できそう。よしよし、酒のつまみにぴったりの黒白切(豚ホルモンのスライス)や滷味(醤油煮込み)もちゃんとある。ビールが入った冷蔵庫は見当たらないが、コンビニで買って持ち込めばいいと踏んで席に着く。
店員さんに「ビールありますか?」と聞くと、予想通り「ない」との回答。「じゃあ、コンビニで買ってきて飲んでもいいですか?」と聞くと、店員どうしが顔を見合わせて驚いた顔をする。「いや~、うちではそういうお客さんいないんで、ちょっと無理ですね」。
なんてことだ。こんなに美味しそうな酒のツマミを出す店で、ビール持ち込みお断りとは……。台湾では赤ちょうちん=飲み屋とは限らないのだ。
移動や街巡りで疲れた身体に、アルコールのごほうびは欠かせない。しかたなく豚ホルモンをテイクアウトし、コンビニでビールを買ってホテルに戻ることに。残念無念。
嘉義には数日滞在するので、明日こそはいい酒場に巡り合いたい!
(つづく)
(うまいめし/光瀬 憲子)