県高校総体前特集 バスケットボール男子(4)藤蔭 速攻で仕掛けろ、全員バスケの真価 【大分県】
県高校総体の前哨戦と位置付けられる南九州四県対抗バスケットボール選手権(南九対抗)の県予選は柳ケ浦が圧倒した。追随する別府溝部学園、大分舞鶴らも着実に力を付けており、夏の県王者を目指す。約1カ月後の大一番に向けて、実力校の現在地を探った。第4回は速攻バスケで頂点を狙う藤蔭を紹介する。
【チームパラメーター】( )は昨年の数値
オフェンス 8(7)
ディフェンス 7(7)
リバウンド 7(8)
シュート 9(7)
スタミナ 8(7)
高さ 6(7)
南九対抗県予選で4位に入った藤蔭。ここ数年で着実に力を付け、県内4強の常連となりつつある。だが、視線の先には決勝進出、そして九州大会出場へと向いている。
チームを率いるのは西山泰加監督。3年前の赴任以来、徹底してきたのは「速攻主体の全員バスケ」だ。パスを受けた瞬間に判断し、誰もがシュートを狙う。1対1でも迷わず仕掛けていくスピード感と攻撃的な姿勢がチームの土台となっている。
「サイズがない分、走って、打つ。それがうちのスタイル」と語るのは、キャプテンの吉田陽汰(3年)。特に3点シュートと速攻は、藤蔭の最大の武器だ。県高校新人大会以降、選手個々のシュート力を底上げし、誰がコートに立っても得点できる布陣を目指してきた。
守備では、マンツーマンとゾーンを使い分ける柔軟性が特徴だ。今大会では特にゾーンディフェンスの精度向上に取り組み、2-3や1-3-1といった陣形を試合ごとに変化させながら、相手の主力選手を抑え込む場面も多く見られた。
キャプテンの吉田陽汰
だが、南九対抗県予選では課題も残った。前半にリズムをつかみかけながら、イージーミスが連続し、自分たちの流れに持ち込めなかった。吉田はその点を「強みを出しきれなかった」と悔やみ、県高校総体に向けて「まずはディフェンスから流れを作りたい」と気を引き締める。
現在、チームには3年生11人、2年生7人、1年生6人が在籍。主軸を担う吉田を筆頭に、鶴石高樹(3年)ら先発5人は1年時から試合を経験しており、安定感と経験値は十分。さらに今後、1年生からも戦力となる選手が現れる可能性があるという。練習試合を重ねながら選手層を厚くし、県総体では決勝リーグの連戦を見据えたローテーション構築も進めている。
「4強は通過点。目指すは決勝の舞台」と吉田。積み上げてきた走力と対応力、そして全員が得点源となれる攻撃力で勝機をつかむ。
主軸を担う鶴石高樹
(柚野真也)