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『大阪南港フェリーターミナル』でのアジング釣行で本命不発もアコウがヒット

TSURINEWS

キジハタ登場(提供:TSURINEWSライター井上海生)

これまで釣りに出掛けた先で何度も風には負けてきたが、今回ほど徹底的に敗北したことはなかった。何せ、気象予報では西から風速4mだったのに、釣り場についてみると8mだ。MAXでは10mを超えた。はっきり言ってこんな状況では陸でも沖でも釣りにならない。今思い返してみるとあの爆風でアジング3時間とは、自分ながら頑張りすぎ。それでも珍奇な1尾を手にしたのだから大した成果である。

まさか突風の海

思い返すだけでも震えるあの突風の釣行日は、12月7日。前回の南港のアジングでは25cm上を20尾以上仕留めることができたので、ほとんど一切潮が動かない小潮周りでも、なんとか遊びに行きたかったのだ。先週からの空白期間は一週間弱、仕事中もアジのことばかり考えていた。とにかく釣りたい!

そんな気持ちだったので、当日、向かい風になる西の風速4mの予報を見ても、「なんとかなるか」と楽観していた。先週の夕マヅメの回遊は何も関係なくアジがあっちこっちから引ったくっていくような状況だった。しかも型がいい。アタリもはっきりしている。多少の風で何が変わるとも思わない。

突風で岸に寄せられた浮きゴミ(提供:TSURINEWSライター井上海生)

――しかし。釣り場についてみると、これは風速4m5mというレベルではない。もう何mとすらにわかに判別はつかない。単純に言って「突風」である。そんな中でも、大阪南港フェリーターミナルの1本堤防に立った時点で、そのときの私には冷静な判断が下せていなかったのではないかと思われる。だが案外、気持ちは平明なもので、「まあ風の止み間を見てキャストすれば大丈夫そう」とも考えていた。

決死のアジング3時間

フェリーターミナルで外向きの海に正対すると、西を向くことになる。その西から真向かいに吹いてくる、突風8m。足場が比較的低いせいで、燥いだ波が波止にぶつかり、バッシャーン!と弾けて水しぶきを被る。そんな状況でも「下も撥水パンツ重ねてきてよかった」と余裕すら感じていたのだから、これは元来風が大嫌いな私らしくない。というか、それ以上に前回の中アジ回遊の印象が良すぎたのだ。

15時半にエントリー。「まさかデイアジングなんて、どうだろう」と内心ニヤニヤと期待して来たのだが、それどころじゃない。まともにキャストできない。まずこういう爆風の海では、普通のジグ単リグは使えない。少しでもキャストしやすくするために、比重の高いタングステンのヘッドと、小さめのワームを組み合わせる。そして風の止み間(少しだけ風が和らぐ隙間)を待って、慎重にキャストする。

まともに上から投げようとするとイトがもろに風にぶちあたって前に飛ばない。下から、アンダースローのように投げて、すぐにスラックをとってレンジを入れる。1gアンダーなんか、こんな日は使えるはずもない。タングステンの1.5g、2g、3gも使用した。時々アタリのようなものを感じるのは、勘違いだった。突風で弾けた波の水飛沫がラインに当たって、チチッと手元に響いてくるのだ。

悪戦苦闘3時間、敗色濃厚。「さすがに、今日はアジが入っていないな」と諦めかけたが――。

突然のアコウ浮上

くるりと向きをかえて、風を背にしてフォローに受けて、内向きに投げてみる。フェリーターミナルの内向きは圧倒的に魚影が薄くていけないのだが、堤防の先端のミオ筋だけは何とかなることがある。そこに2.8gのグリッターヘッドを投げて、ちょんちょんとアクションを入れて誘う。知らぬ間に手元でラインが軽度のバックラを起こしていた。それをきれいにすっと解いて巻きだしたところで、バイト。

真冬のアコウ(提供:TSURINEWSライター井上海生)

いつしか足元までリグが戻ってきていて、食ってきたのはアコウだ。アジにしては貧弱、カサゴにしては重さがない、メバルっぽくもない、水面に浮いてきた姿も見慣れない。陸に上げて顔を見てみても、「本当に?」と首を傾げたくなるような事故的なヒットだった。22cm、大阪湾ではリリースサイズだ。

サンキュー、アコウ(提供:TSURINEWSライター井上海生)

バックラ対処中だったので、ほとんど引きも何も味わえなかったが、ともあれ珍奇なゲストの登場でボウズ逃れできた。感謝のリリース。たまに釣れてくれる魚だけど、さすがに今回はうれしすぎたぜ。

本来は退避すべき状況だったか

気温は8℃ほどあったが、スマホが示す体感気温は2℃。そんな中風速8m~10mの風に3時間以上晒され続けたのだから、体はボロボロ、ブルブル、関節はビリビリだ。ちょっと痛風を発症したかもしれないレベル。

予防の意味で飲んでいる服薬はもちろん忘れなかった。それにしてもあの突風でのアジングは、今思うと正気の沙汰ではない。本来は退避すべき状況だった。みなさまも冬の突風にはご注意を。

<井上海生/TSURINEWSライター>

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