「誕プレに指輪を渡しただけなのに…」恋人からの婚約破棄の慰謝料話に困惑する38歳男性
男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人差があります。ひとつの出来事への解釈や目的が、男性と女性では異なる場合もしばしば。男性と女性では、夫婦のあり方への認識が大きく異なる場合も少なくありません。
魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様分析を得意とする並木まきが、そんな男女の“冷酷” と“激情”のあいだを垣間見るエピソードをお届けします。
38歳、婚約破棄ってなんのこと?
【冷酷と激情のあいだ】
34歳の柚月さん(仮名)は、4歳年上の恋人・ユウタさん(38歳・仮名)と交際9カ月目を迎えたばかり。柚月さんいわく最初から結婚前提での交際をスタートさせ、交際3カ月の記念日にはユウタさんから婚約指輪を受け取ったそうです。
しかし半年が過ぎた今になって、結婚の話が具体的に進まないばかりか、彼から別れ話が出ていることに強い不満を抱いているのですが、ユウタさん自身は2人の現状について、どのように考えているのでしょうか。
◇ ◇ ◇
「婚約…してないですよ、僕。柚月とは付き合ってはいますけど…、婚約はしてません。なのに結婚とか婚約破棄とか言い出してきていて、困惑しています」
今にも泣き出しそうな顔で、こう話し始めたユウタさん。婚約をした覚えがないのに、自分が別れ話を切り出した途端に豹変した恋人には、かなり動揺していると話を続けます。
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婚約指輪じゃない!
「いや…、だって…。おかしいですよね?
婚約していないのに、婚約破棄をするのかって詰められても、答えようがないですよ。
え? 指輪ですか?
あ、はい。確かに柚月に指輪をプレゼントしたのは事実ですけど、それは婚約指輪じゃないです。
ちょうど柚月の誕生日があって『プレゼントは何がいい?』って聞いたら『指輪がいい』って言われたんで、一緒に見に行って買っただけ。
だから指輪を渡すときにプロポーズもしてないですし…、柚月は婚約指輪だって言い張っていますけど、普通の指輪を誕生日に買ってあげただけです。
なんで柚月が婚約破棄って言っているのか僕にはさっぱりわかりません」
飲み会での一言がいけなかった?
婚約をした覚えがないのに、別れ話をしたら「婚約破棄」と言われるなんてと、ユウタさんは頭を抱えます。
「僕は法律家ではないので詳しくはありませんが、確か婚約破棄って、客観的に婚約している事実があるのが前提でしたよね?
結婚式の話も、柚月が式場の下見に行きたいって言ってきただけ。式場には行っていません。お互い親への紹介もしていません。
まあ、2人で参加した飲みの席で、友人たちに『僕たち結婚するかも〜』なんてノリで話したことはありますけど、心当たりはそのくらいですかね…。
それだけで婚約になっちゃうんですか?」
普通に別れたいだけのに
ユウタさん自身も、交際当初は「このままうまくいけば、結婚もアリかな」と考えていたのは事実だそう。しかし、今となっては「結婚したい相手ではない」と断言します。
「だから普通に別れたいんですけど、別れられないんですよ…。
柚月が鬼の形相で『訴えるけど、いい?』『別れるなら、慰謝料払ってね』って言ってくるんで。
うーんと…、もちろん本当に払わなくちゃいけないお金なら、僕も黙って払うつもりです。
でもプロポーズもしていないのに婚約破棄の慰謝料を払うなんて、ちょっと違う、いやちょっとどころかだいぶ違う気がするんですよ!
普通に別れ話をするくらいじゃ納得してくれそうもないし。そろそろ弁護士に相談したほうがいいのかなぁ…。
向こうがそうやって自分の主張ばっかりしてくるなら、こっちも戦わなければダメかなとは考えています。
いや、ホントは穏便に別れたいだけなんですよ…。なんでそれができないのかなあ…」
◇ ◇ ◇
恋人同士であれ、夫婦であれ100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。
まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。
(並木まき/ライター・エディター)