2日前には逃げたのに、なぜ“あの日”は逃げなかったのか…もし2011年3月10日に戻れるなら【東日本大震災から学ぶ、こころの防災】
3月11日で、東日本大震災から14年が経ちます。
Sitakkeの連載「元自衛隊員が描く“こころの防災”」では、元海上自衛隊のイラストレーター・ヤマモトクミコさんが、東日本大震災の支援を通じて学んだことを、マンガでお伝えしてきました。
その教訓をより広く伝えるため、「HBC演劇エンタメ研究会(通称“エンケン”)」のアナウンサーが声を吹き込み、ボイスコミックも制作しました。
ボイスコミックを視聴した原作者のヤマモトさんが「とても聞き応えがある表現になった」と感じたのが、東日本大震災を体験した人の声を紹介した、第15話・16話でした。
「マンガでは、なるべくたくさん紹介するために挿絵風に紹介しましたが、この回は肉声が乗るからこその臨場感がある」というコメントをいただきました。
第15話・16話は、内閣府の「一日前プロジェクト」を知ったヤマモトさんが、「もっと多くの方に知ってほしい」という思いで描いています。
今回はその声を改めてお届けします。## 第15話「何度でも逃げてほしかった」
第15話でご紹介したのは、東日本大震災の2日前には避難したのに、当日は避難しなかったことで、親族を亡くした人の切実な声です。
「何度でも逃げてほしかった」。
近藤肇アナウンサーが、「初めて見る景色が伝わってきて、感情をどこまで入れ込むのかに苦労」しながら、声を乗せました。
近藤アナウンサーは、2月1日に室蘭市が主催する防災講演会でも、この体験談を紹介しました。定員90名を超える95名の市民が参加し、「もっと聞きたかった」という声もあったと聞いています。
災害の少ない室蘭でも、大きな地震が千島海溝で起きると、津波によって市街地のほとんどがさらわれてしまうことが予想されます。近藤アナウンサーは、浸水想定区域のハザードマップを示すなど、常に室蘭を意識して話したところ「最後まで顔を上げ、熱心に聞いてくれたことがうれしかった」と振り返ります。
自分の身にも、いつ災害が降りかかるかわからない。
「一日前プロジェクト」に寄せられた教訓には、じぶんごとにして備えなければいけないと、改めて気づかされます。
マンガではこうした教訓や、防災の知恵を、たくさんご紹介しています。
東日本大震災から14年目の3月。この機にもう一度、自分に合った備えを考えてみてはいかがでしょうか。
●連載「元自衛隊員が描く“こころの防災”」
●ボイスコミック「こころの防災」
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マンガ:ヤマモトクミコ
北海道・札幌市在住のイラストレーター。2010年に、海上自衛隊入隊。入隊1年目で東日本大震災の支援に従事。約10年間、自衛隊員として全国各地を飛び回る日々を過ごし、結婚・出産を経て、退職。独学でイラストレーターに。2児の母。
Instagram: @kumiko_illust
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連載担当編集:Sitakke編集部ナベ子
文:Sitakke編集部IKU