アフマダリエフが獲得した暫定王座に価値はあるのか?井上尚弥との対戦求めて順番待ち
リカルド・エスピノサに3回TKO勝ちで王座獲得
プロボクシングのWBAスーパーバンタム級暫定王座決定戦が14日、モナコ・モンテカルロで行われ、同級1位ムロジョン・アフマダリエフ(30=ウズベキスタン)が8位リカルド・エスピノサ(27=メキシコ)に3回2分59秒TKO勝ちで王座を獲得した。
現在、スーパーバンタム級の世界王座は井上尚弥(31=大橋)が4団体を独占。WBA1位のアフマダリエフは2023年12月に挑戦者決定戦に勝ったものの井上挑戦のチャンスが巡ってこないため、WBAが暫定王座を認定し、ベルトを奪取した。
本来、王者がケガなどで防衛戦をできない時に設置される暫定王座だが、正規王者と同じベルトを巻き、歴代の王者として認定される。待たされているアフマダリエフの心情は理解できるとはいえ、井上は各団体の世界ランカーと定期的に防衛戦を行っており、アフマダリエフから逃げているわけではない。
それにもかかわらず、同じ階級で同じベルトを巻く王者がもう一人いるという状況は、井上も心中穏やかでないだろう。何より世界中のボクシングファンや関係者が、井上に勝っていないアフマダリエフを世界王者と認めるだろうか。今回の暫定王座決定戦に何の価値があるのか理解に苦しむ。
様々な思惑が絡むのはボクシングビジネスの常だが、こういうことをしているからベルトの価値が下がるのだ。
来春に対戦実現?アラン・ピカソも浮上
試合は、井上とほとんど変わらない身長166センチのサウスポー、アフマダリエフが落ち着いた試合運びでペースをつかむ。分厚い胸板と太い腕っぷしから放つ左右パンチはパワフルだ。
そして、アマチュア時代の2016年リオデジャネイロ五輪バンタム級で銅メダルを獲得したようにテクニックも持ち合わせている。フットワークを使って下がりながらカウンターをヒットするシーンもあった。
迎えた3回、左ストレートで最初のダウン。立ち上がったエスピノサを冷静に追い詰め、右フックの流れから2度目のダウンを奪うと、最後は再び左ストレートで倒した。
戦績を13勝(10KO)1敗に伸ばしたアフマダリエフ。この日の試合を見ても強敵には違いないが、スピードで勝る井上が負ける要素は少ない。
24日に予定されていた井上vsサム・グッドマン(オーストラリア)が2025年1月24日に延期されたため、アフマダリエフとの対戦は最速でも来春となるが、一部ではWBC1位アラン・ピカソ(メキシコ)が4月にラスベガスで井上に挑戦するとの報道もあり、今後は流動的だ。
井上を中心に回っているスーパーバンタム級戦線。誰もが恐れる「モンスター」も体は一つしかなく、毎日リングに上がることはできない。高額なファイトマネーが約束されるビッグマッチを求め、世界の猛者が行列を作っている。
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記事:SPAIA編集部