ヤクルト荘司宏太のチェンジアップは球界一?オープン戦から無失点続ける新人左腕をデータ解析
三者連続空振り三振でプロ初ホールド
開幕3連敗を喫したヤクルトがその後、白星を積み上げて浮上してきた。9日の阪神戦に勝って371日ぶりの貯金1。その一翼を担っているのがドラフト3位ルーキーの荘司宏太だ。
駿台甲府高から国士舘大、セガサミーを経てプロ入りした24歳左腕。オープン戦6試合に登板して6イニングで無安打無失点8奪三振、防御率0.00とアピールに成功して開幕一軍入りすると、シーズンに入っても5試合で2安打無失点9奪三振でいまだ防御率0.00をキープしている。
9日の阪神戦は5-3でリードした7回に登板し、小幡竜平、渡邉諒、近本光司を三者連続空振り三振。プロ初ホールドを挙げ、先発・石川雅規の通算187勝目に貢献した。
チェンジアップのスピード差25.6キロ
最大の武器はチェンジアップ。全体に占める割合は35.8%に上り、カウントを整えるボールとしてもフィニッシュするボールとしても使っている。
そこでチェンジアップを武器とする主な左腕と比較してみた。荘司以外は2024年のデータとなっている。
注目すべきはスピード差だ。荘司はチェンジアップが平均119.1キロに対し、ストレートは平均144.7キロでその差25.6キロ。昨季まで2年連続2桁勝利を挙げた阪神・大竹耕太郎(22.8キロ)、同じく2年連続2桁勝利の日本ハム・山﨑福也(20.2キロ)よりも差が大きい。
緩急自在の投球で有名なオリックス・宮城大弥はカーブの平均球速が93.8キロで平均147キロのストレートと53.2キロ差を誇るが、チェンジアップは平均127.9キロのためその差19.1キロ。チェンジアップに限れば荘司の方が上回っている。
ボールの軌道が曲がるカーブと違い、真っすぐなのになかなか打者に近付かないチェンジアップは一見ストレートと見間違え、タイミングを取りにくい。当然ながらスピード差が大きいほど、打者は対応に困るのだ。
ましてや荘司は全く同じ腕の振りで投げ分ける。ストレートと思ったらボールが来ず、チェンジアップにヤマを張ればストレートがくい込んでくる投球は、打者にとって厄介だろう。
チェンジアップの空振り率27.6%
荘司のチェンジアップがいかに打ちにくいかは空振り率にも出ている。荘司が主な持ち球とするチェンジアップ、ストレート、スライダーの空振り率は以下の通り。
ロッテの小島和哉がチェンジアップの空振り率22.9%と高いが、それでも荘司の27.6%には及ばない。荘司は中指を立てて投げるためパームボールに近く、空振りを取れる決め球として機能している。
まだ投球回数が5イニングと少ないため参考程度ではあるが、ここまでの奪三振率(K/9)はリーグ4位の16.2。5イニング以上投げている投手ではリーグトップに立っている。
昨季はチーム防御率3.64でリーグワーストだったヤクルト。6回終了時にリードした試合の勝率はリーグ5位の.857、逆転負けも同じく5位の29試合と多かったが、荘司の加入でブルペン陣に厚みが増せばウィークポイント改善を期待できそうだ。
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記事:SPAIA編集部