ストレートな感性から生まれたアートに会いに行こう!「ぐるっと近江のアートめぐり」が開催中
【ぐるっと近江のアートめぐり/滋賀をみんなの美術館に】
気持ちいいくらい素直な筆の運びで、色を重ねたカラフルな絵。
作家の溢れんばかりの感情が、見る人の目にそのまま飛び込んできます。
…ここは美術館?ギャラリー?
いえ、ここは滋賀の人気の観光スポット、歴史ある美しい西洋建築を今に残す「旧八幡郵便局」(近江八幡市)です。
普段はアート展示がない施設ですが、県内10施設で開催中の「ぐるっと近江のアートめぐり」の一会場になっていて、不思議で面白い魅力的な作品が展示されています。
ほかにも様々な場所で気軽にアート作品と出会える「ぐるっと近江のアートめぐり」をご紹介します。
展示されているのはすべて福祉の現場で生まれた作品
訪れたのは、近江八幡を拠点に活躍した建築家・ヴォーリズにより改築設計された元郵便局。
近江八幡の観光スポット八幡堀にも近く、誰でも自由に見学できます。
冒頭で紹介した伸びやかな絵は「やまなみ工房」に所属するKANAさんの作品。
「ぐるっと近江のアートめぐり」で展示されているのはすべて、滋賀の福祉の現場で生まれた作品です。
じつはやまなみ工房の作品は、スイスやフランス、アメリカ、イギリスなど、海外の美術館のコレクションにも収蔵されるなど、今、国内外から大注目を浴びているんです!
最大の特徴は、作家の生き様や感性がそのまま作品に投影されていること。
見る人の心にダイレクトに届く、独特な魅力を持っています。
巨人のような絵、これは細かいペンで何重にも塗り重ねられた筆跡の集まり。
作家の強い衝動が感じ取れる、森田郷士さんの「点と線」です。
ペットボトルにカラフルな素材を詰め込んだ太田浩一さんの作品(無題)では、自分だけのこだわりの世界がパッケージ化される面白さがあります。
愛嬌たっぷりの表情が特徴的な造形は、山際正己さんがもう5万体以上も作り続けてきた「正己地蔵」と呼ばれるシリーズ作品。
作家の人柄、生き様を感じることができます。
どれも見る人に強い印象を残す個性的な作品ばかりです。
作家たちが制作活動に打ち込める「やまなみ工房」
(やまなみ工房)
こうした作品が生まれる福祉の現場って、どのようなところなんでしょうか。
すでに紹介したKANAさん、森田さん、山際さんは、滋賀県甲賀市にある「やまなみ工房」で制作を続けています。
ここで美術教育を受けていない、障害がある人たちが日々、作品を生み出し、国内外から高い評価を得ています。
(カフェ・デベッソ)
「やまなみ工房」には、90名近くのアーティストが制作するアトリエがあり、常設展示があるギャラリーや、アートに囲まれながら食事ができるカフェも設置されています。
やまなみ工房の施設長・山下完和さんの想いはシンプルで
「彼ら自身がやりたいように生きて、笑顔で満たされる日常にしたい」
とインタビューでも語っています。
誰に強制されるわけでもなく、思いのままに制作に打ち込める環境。
それが魅力的な作品を生み出す土壌を育んでいるのです。
■関連記事
やまなみ工房施設長・山下完和さんインタビュー:パリコレにも採用された“アウトサイダー・アート”の発信地 世界に注目される『やまなみ工房』
滋賀の土壌が育む“福祉の現場から生まれた造形作品”
(雄山荘 展示の様子)
じつはこうした福祉現場でのアート活動が盛んな滋賀。
それは、滋賀の福祉現場に共通する、ある思いがあるからだと言われます。
滋賀県では、戦後まもなく「日本の障害者福祉の父」と呼ばれ、「この子らを世の光に」という言葉を残した糸賀一雄氏、田村一二氏、池田太郎氏らにより設立された滋賀県立近江学園において、子どもたちが芸術活動に親しむ機会を積極的に取り入れてきました。
これらの取組は「その人らしさ」を大切にし、一人ひとりを認める、その思想とともに県内の福祉施設等にも受け継がれ、発展していったのです。
(やまなみ工房 ミュージアムショップ)
近年では作品は、展示されるだけでなく、商品化やパッケージデザインなどにも起用され、活動の幅をどんどん広げています。
意外なところで滋賀の福祉現場で生まれた作品を目にしているのかもしれませんね。
『ぐるっと近江のアートめぐり』作品数はなんと186点
そんな滋賀の福祉の現場で生まれたアート作品が、2025年2月20日(木)まで、県内10カ所の観光スポットで展示されています。
その作品数なんと186点!
参加しているアーティストは総勢26人。
(びわ湖畔 味覚の宿 双葉荘展示の様子)
会場は冒頭に紹介した「旧八幡郵便局」の他に、県内各地のホテルや宿泊施設のロビーなど、以下9カ所です。
里湯昔話 雄山荘(大津市)
びわ湖花街道(大津市)
塩野温泉(甲賀市)
旧八幡郵便局(近江八幡市)
休暇村近江八幡(近江八幡市)
沖島民泊 湖心 koko(近江八幡市沖島)
びわ湖畔 味覚の宿 双葉荘(彦根市)
グランドメルキュール琵琶湖リゾート&スパ(長浜市)
奥びわ湖 尾上温泉 旅館紅鮎(長浜市)
奥琵琶湖マキノグランドパークホテル(高島市)※宿泊施設において宿泊者様以外で鑑賞を御希望の際は、フロントへお声かけください。
ぜひ、この機会に、福祉の現場から生まれたアート作品に触れてみてください!
『ぐるっと近江のアートめぐり』の詳細
開催期間 2024年8月27日(木)~2025年2月20日(木) 開催場所 県内10施設 ぐるっと近江のアートめぐり https://www.pref.shiga.lg.jp/kensei/koho/e-shinbun/oshirase/339916.html
提供:滋賀県 「滋賀をみんなの美術館に」プロジェクト http://bino-shiga.net/
関連記事
パリコレにも採用された“アウトサイダー・アート”の発信地 世界に注目される『やまなみ工房』
カフェで楽しむアートな日常!『カフェ デベッソ』で五感に栄養を
町屋がまるごと美術館『ボーダレス・アートミュージアムNO-MA』
“公園の中のリビングルーム”へ生まれ変わった『滋賀県立美術館』
The post ストレートな感性から生まれたアートに会いに行こう!「ぐるっと近江のアートめぐり」が開催中 appeared first on しがトコ.