安全は「一人ひとりの心がけ」と「地域の目」 交通事故や詐欺被害に遭わないために
住人と一丸で注意喚起
交通事故や特殊詐欺被害に遭わないためにはどうすればいいのか。タウンニュース宮前区版では、防犯・交通安全特集を企画し、宮前警察署の鴨下圭一署長に、特殊詐欺の手口や交通事故の発生状況、犯罪や事故から身を守る術や新しい取り組みについて話を聞いた。
思いやり運転が事故を減らす
昨年の宮前区の交通事故件数は、389件(前年比11件増)だった。件数は増加したが、宮前警察署によると同署が開設された1986(昭和61)年以来、過去3番目に少ない件数だという。負傷者数も419人(前年比19人減)だったが、過去2番目に低い数となった。
鴨下署長は「コロナ禍の令和4年が事故や負傷者の数が最も少なかった年。過去からの統計を見てみると、交通事故は間違いなく減ってきている。これは、宮前区内の多くの協力団体の皆さんが、長年にわたり交通ルールの順守とマナーの向上を呼び掛けてくれていることが結果に表れていると感じます」と話す。
一方、前年から増加したのが死亡者の数だ。昨年は6人(前年比5人増)もの尊い命が交通事故で奪われた。「事故の主な原因は、運転手の居眠りやよそ見運転、対向車が止まり右折しようとした際に直進してきた二輪車とぶつかるなど、不注意によるもの。交通事故は一瞬にして人の幸せを奪ってしまう。日頃から注意してほしい」
宮前区で特に多いのは、65歳以上の高齢者の事故とバイクや原付など二輪車の事故だ。宮前区は、65歳以上の運転免許保有者数の割合が、川崎市の中で一番多く、昨年の65歳以上の高齢者の事故件数も136件(前年比30件増)と増加傾向にある。また、坂が多く起伏が激しい土地柄、自転車の利用者は少ないが、バイクや原付などの利用者が多く、二輪車の事故も131件(前年比19件増)と増えている。
「高齢者の方は、被害者にも加害者にもなりえる。身体機能や認知機能の低下は個人差があるが、加齢による変化を自覚して気を付けてほしい。ドライバーの方は、他の交通パートナーを意識して『思いやり、ゆずり合い運転』を心がけてもらいたい」
同署では、管内の二輪車販売店と連携して、来店者に対するヘルメットやプロテクターの着用を推進する安全教室を実施している他、速度取締りの場所を宮前警察署ホームページに公開して取締りの強化を図っている。
「事故そのものは減ってきているが、その中で尊い命が失われている。『思いやり運転』を心がけてほしい。また、引き続き町の皆さんと意識を高めていき、全力で交通安全に取り組んでいきたい」と意気込みを語った。
手口を知れば騙されない
昨年の特殊詐欺の被害件数は、54件(前年比2件減)で、被害総額は約1億1100万円(前年比約1420万円減)だった。件数や被害額は減少しているものの、依然として被害が高い水準で推移しているのが現状だ。
主な手口を見るとオレオレ詐欺が15件(被害金額約4600万円)、還付金詐欺が13件(同約1940万円)、預貯金詐欺が16件(同約1050万円)、架空請求詐欺が7件(同約820万円)。被害者の年齢層は、60歳代以上が全体の約8割となっており、80歳代が最も多く20件だった。男女比は男性が41%、女性が59%とほぼ同じとなっている。
鴨下署長は「詐欺グループからの電話は、私の携帯にもかかってくるくらいだから、どこの家庭にもかかってくるものと思ってほしい。不要な電話には出ない、折り返さないというのが基本」と話す。
それでも騙す手口は、巧妙巧で悪質になっている。鴨下署長は、最近多いという警察官を装った還付金詐欺の手口を例にあげて、「いきなり電話が掛かってきて『銀行口座に詐欺のお金が振り込まれている。あなたも共犯だから逮捕する』と脅される。そんなことを言われれば誰でも驚いてしまう。それは恥ずかしい事ではないし、冷静ではなくなってしまうのは当然」といい、「犯人は新しい手口で騙そうとする。もし電話に出てしまったら誰かに相談をして下さい。家族が一番だが、近所の人でも警察でもいい。冷静な人は詐欺だとわかります。お金は絶対に振り込まないで」と呼び掛ける。
同署では「特殊詐欺ニュース」というチラシを手作りし、被害の多い高齢者を対象に巡回連絡で訪問した際、手口などの説明を行っている。また、支払い手段として電子マネーを悪用する被害が急増していることから、コンビニにも対策協力を要請。区役所や薬局、病院にはディスプレイに映像や文字を表示するデジタルサイネージを活用し相談窓口などの啓発も行っている。「騙す手口を知っていれば、いざという時にも冷静になって詐欺だと認識してもらえる。今年も最新の情報をお知らせして、被害に遭わないよう注意喚起をしっかりしていきたい」と語った。
手数料キャッシュレス化免許更新、車庫証明など
神奈川県警は3月から、警察署窓口での運転免許証更新などの手数料の支払いに、キャッシュレス決済を導入する。
これにより、4月1日以降、収入証紙の利用は終了、申請窓口では現金での支払いできなくなり、原則キャッシュレス決済となる。運転免許センターは8月1日からキャッシュレス化が導入される。
各種クレジットカードや交通系ICカード、コード決済などの電子マネーが利用できる。
マイナ免許証始まる3月24日から
マイナンバーカードと運転免許証を一体化させた「マイナ免許証」の運用がが、3月24日から始まる。
「マイナ免許証」を取得するか、引き続き従来の運転免許証を使うか選択することができ、海外での運転で従来の運転免許証が必要となるケースがあることから、両方持つことも可能。
マイナンバーのICチップに運転免許証の番号、有効期限、免許の種類、眼鏡が必要などの条件、それに顔写真などの情報を記録する手続きをすることで利用できるようになる。
氏名、住所または生年月日の変更が自治体に届け出るだけで変更でき、マイナポータルとの連携でオンラインで免許更新の講習の受講などが効能となる。