たった5秒間で、あの子は消える──夏の釣り場・水辺で親が知っておくべきこと
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釣りは、最高の夏の思い出。でも“水辺の事故”は現実に起こる。
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「夏休みだ!今年は子どもを釣りに連れて行こう!」
「初めての魚とのファイトは、一生の記憶になるはず!」
――そんなワクワクに満ちた計画の裏側で、水辺には思わぬ危険が潜んでいます。毎年、堤防や河川では転落や熱中症による事故が報告され、楽しい一日が一転して、救急搬送されるケースも少なくありません。
とくに注意したいのが、大人が釣りに夢中になるあまり、子どもの食事や水分補給、安全確認がおろそかになるパターン。目を離した一瞬が、深刻な事故につながる可能性もあるのです。
本記事では、子どもと釣りに出かける際に気をつけたいポイントと、安全対策に役立つアイテムを紹介します。しっかり備えて、家族全員が笑顔で帰れる一日を計画しましょう。
釣りの前に知っておくべき!子どもに潜む水辺のリスク
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子どもとの釣りはワクワクがいっぱい――でも、水辺には想像以上の危険が潜んでいます。
まずは、数字を通してその現実を直視しましょう。どれほど事故が起こりやすいのかを、正しく理解しておくことが、安全な釣行の第一歩です。
厚労省のデータから見える「身近に潜む危険」
まずは、実際の数字を見て、改めて“水辺の危険”について考えてみましょう。
警察庁の統計によると、2024年には全国で1,535件の水難事故が発生し、死者・行方不明者は816人にのぼりました。
発生場所で最も多かったのは海(約46%)、次いで河川(約35%)と、いずれも釣り場として身近なエリアが上位を占めています。
こうしたデータからも、釣りを楽しむフィールドが、じつは重大なリスクと隣り合わせであることがわかります。
また、行為別のデータでは「魚とり・釣り」が全体の23.4%を占めており、事故原因のなかでも最も多い結果となりました。
とくに子どもに限定すると、被害の6割以上が河川で発生していることから、川での釣りや水遊びには一層の注意が必要です。
こうした現実を踏まえ、楽しい一日を悲劇で終わらせないためにも、リスクを正しく理解しておくことが不可欠です。
参考:水の事故を防ごう!海や川でレジャーを楽しむために知っておきたい安全対策|政府広報オンライン
釣り場に潜む、“子どもにとっての危険”とは
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釣りに慣れた大人にとっては何気ない足場や風景も、子どもにとっては“危険が凝縮された空間”になり得ます。
足が小さく、重心が高い子どもは、わずかな段差や傾斜でもバランスを崩しやすく、水辺では、それが深刻な事故に直結するおそれもあります。
実際に、保護者がほんの一瞬目を離した隙に、子どもが海に転落してしまう痛ましいケースも報告されています。
たとえ安全対策が整った場所でも、子どもの動きは予測が難しく、思わぬ隙間から落ちてしまうこともあるのです。
たとえば、消波ブロックや岩場、濡れた堤防は、まるでスケートリンクのように滑りやすく、足を取られた子どもがそのまま海に転落する危険性もあります。
さらに、引き波による“吸い込み流”は、大人なら踏ん張れるような場面でも、体重の軽い子どもではまったく歯が立ちません。水辺の力は、想像以上に非情なのです。
子どもと一緒に“安全な釣り場”を選ぶ
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「せっかくの初釣り、絶対に釣らせてあげたい!」――その気持ちは大切ですが、まず優先すべきは「釣れる場所」より「安全な場所」です。
おすすめは、柵付きで足場が平らな釣り公園や管理釣り堀。トイレや自販機、日陰スペースもあるので安心です。
堤防や河口に行く場合は、背後が海になっていない場所を選びましょう。後ろがすぐ海だと、子どもが飛び出して落ちる危険があります。
干潮時に現地を下見して、藻場や段差、水没ポイントを確認しておくとより安全です。
また、注意書きやライジャケ着用の看板を確認し、子どもが走っても危なくないスペースがあるかもチェックしましょう。
釣り場選びで、安全の8割が決まる。そう考えれば、少し遠回りでも“安心ルート”を選ぶ価値は十分あります。
意外と忘れがち!健康・体調面の備えも重要
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釣り場の安全対策とライフジャケットを整えても、子どもの体調管理まで行き届かなければ安心とは言えません。
体調のサインは小さく、普段は家族にお世話を任せがちな方は、その兆候を見落としやすいもの。
睡眠時間の確保や食事、水分補給、日焼け止めや虫よけの使用、濡れた際の速やかな着替えなど……いずれも、子どもが釣りを楽しむための基本となる健康管理です。
釣りの前日は、しっかり眠る準備を
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初めての釣りにワクワクして、前夜はなかなか寝つけない――そんな子も多いかもしれません。
けれど、睡眠不足は翌日の体調に影響しやすく、熱中症のリスクも高まります。寝不足によって体温が上がりやすくなり、汗をかいても熱を発散しにくくなるためです。
釣行前日は、できるだけ早く眠れるように促しましょう。いつもより早寝させたいときは、前日の朝に早起きさせて朝日を浴びさせると、体内時計が整い、自然と早い時間に眠くなることがあります。
どうしても寝つけない場合は、照明を落とし、絵本やヒーリング音楽、アロマの香りなどでリラックスを。スマホやタブレットは眠気を妨げるので、就寝前はオフにするのが理想的です。
参考:熱中症を防ぐためには|環境省熱中症予防情報サイト(PDF)
朝食は必須!出発前にしっかり栄養補給を
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釣り当日の「朝ごはん抜きで時短!」――これは絶対に避けたいNG行動です。
子どもは血糖値が下がると、集中力や持久力が一気に低下し、熱中症のリスクも高まります。朝のうちにエネルギーと水分・塩分をしっかり補っておきましょう。
ごはんやパンで糖質を、味噌汁+梅干しやスポーツドリンクで塩分を、さらに卵・大豆・魚・肉などのタンパク質を取り入れると、代謝が促進され、より万全な体調に整います。
時間がない朝は、コンビニのおにぎりに栄養ゼリーやシリアルをプラスするだけでもOK。まずは「何かを食べて出発する」ことが、安全で楽しい釣行への第一歩です。
参考:熱中症を防ごう|厚生労働省
水分&塩分補給は「のどが渇く前」に
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釣り場では汗をかくだけでなく、潮風によっても体の水分や塩分がどんどん失われていきます。とくに体の小さい子どもは、脱水症状になりやすいため注意が必要です。
「のどが渇いた」と感じる前に、こまめに水分補給をさせましょう。出発前にコップ1杯、その後は30分おきにスポーツドリンクや経口補水液を少しずつ飲ませるのが理想です。
1時間に1回は休憩を取り、顔色や様子を確認することも忘れずに。暑い日は日陰での休憩、冷たいタオルや凍らせたドリンクでの体温調整も効果的です。
ペットボトルに目盛りを貼っておくと、水分の摂取量がひと目でわかり、熱中症対策にも役立ちます。
日焼け・虫よけ・着替え・常備薬も忘れずに
釣りに出かける日は、強い日差しや虫刺されへの対策も大切です。どちらもすぐ体調を崩す原因ではありませんが、子どもにとっては意外と負担になります。
日焼け止めはSPF30以上を選び、顔や首まわりにしっかり塗りましょう。汗で落ちやすいため、こまめな塗り直しも忘れずに。帽子はツバが広く、UVカット仕様だと安心です。
虫よけは、肌に優しい低刺激タイプを選びましょう。服装は長袖のラッシュガードや通気性のよいパンツがおすすめです。
替えの服とビニール袋を用意しておくと、濡れたときにも対応しやすくなります。
絆創膏や虫刺され薬、子ども用の解熱剤などもまとめて準備しましょう。さらに、突然の雨風に備えて、軽量のレインウェアを準備しておくと安心です。
参考:Using sunscreen and insect repellent with children|Pennsylvania State University
子どもを守る“釣り場の安全装備”はこれ!
サイズ調整がしやすく、成長期の子どもにもぴったりな小児用ライフジャケット。
船釣りOKのType Aで、安全面もバッチリ。
バックル式で着脱もスムーズだから、準備もラクにできるのが魅力です!
岩場や磯でも足元安心、ネオプレン素材でフィット感も快適なキッズ用アクアシューズ。
ソールは滑りにくく、ベルクロ仕様で脱ぎ履きもスムーズ。
海も川もこれ一足で対応できる、釣りを始める子どもにぴったりの履物です!
水辺の急な雨にも安心な、キッズ用ポンチョ。
ランドセルにも対応する2WAY仕様で、釣行前後の送迎にも使いやすい設計。
軽量ながら耐水圧1万mmでしっかり防水するので、アウトドアでも活躍する万能デザインです!
柔らかなコットン素材で仕立てた、肌ざわりのいいキッズ用ハット。
ナチュラルな風合いで、釣り場にも街にもなじみます。
同素材の大人用があるため、親子ペアで楽しめるのも嬉しいポイントです!
突然のケガや虫刺されにもサッと対応できる、頼れる応急セット。
114点入りで内容充実なのに、軽くて持ち運びラクラク。
タックルバッグにひとつ入れておけば、水辺でも安心感がグッと高まります!
安全第一の釣りで、最高の夏休みの思い出に!
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子どもとの釣りは、ちょっとした気のゆるみが思わぬ事故につながります。
しかし、事前にポイントを押さえ、安全装備と体調管理をしっかり整えておけば、釣りは最高の夏の思い出になるはずです。
釣り場選びから装備、健康管理まで、大人がしっかり準備してあげることで、子どもは安心して全力で釣りを楽しめます。
安全も釣果も両取りしたいなら、“準備8割”を合言葉に、親子釣行を楽しんでみてくださいね!