ディズニー映画をほぼ観たことがない男が、実写版『白雪姫』を観た率直な感想 / う~ん……となった
2025年3月20日、ディズニーの最新作である実写版「白雪姫」の公開が始まった。まだ始まって5日しか経っていないのだが、評価が芳しくないようで、厳しい意見も散見される。
そんなにヒドいのか? そう言われると天邪鬼(あまのじゃく)な私(佐藤)は逆に観てみたくなってしまう。ということで、人生で初めてディズニー映画を劇場で観ることにした。実際に鑑賞した感想を率直にお伝えしたいと思う。
・ほぼ知識ゼロ
私はそもそも、ディズニー作品を観たいという欲求があまりない。一時、マーベル作品に夢中になったこともあったが、純粋なファンタジー作品を観たことがないのだ。
もしかしたら、若い時に鑑賞している可能性もなくはないが、どれを観たとかまったく思い出せない。劇場に足を運んで観た記憶もないので、未経験(人生初)ということにさせて頂こう。
白雪姫に関しても、物語の大枠は知っているが細部は完全に忘れている。さらに、実写版に関して公開前から何かと物議をかもしているけど、それらを詳しく追っていないので、炎上の詳細についても把握していない。
そんな感じで、ほぼ作品については知識がない、ディズニーに疎いおっさんだと思ってもらえれば幸いだ。
私が鑑賞したのは、新宿バルド9のドルビーシネマ・字幕版である。鑑賞前日にチケット予約をしたのだが、余裕で購入することができた。
当日シアターに入ると、数えるほどしか人がいない。私を入れて10人いなかったのではないだろうか。公開5日目でコレは、興行的に心配になってしまう……。
・映像、音楽は素晴らしい。以上
さて、実際に鑑賞した率直な感想なのだが、映像も音声もとてつもなく素晴らしい。ドルビーシネマなので当然ではあるけど、それを差し引いても映像は美しかった。風景の描写やCGで再現された動物たちの動きもなめらかで、いきいきとしている。
今作はファンタジー・ミュージカルなので、楽曲もダイナミックで聞き応えがあり、映像とのシンクロも秀逸。この辺はさすがディズニーといったところだ。
素晴らしいのはその点のみ。あとは、「う~ん……」とうなってしまう。
今作はいろいろな事情で原作とは異なる設定を行っている。たとえば、本来白雪姫は「雪のように白い」から、その名がつけられたそうなのだが、「雪の降る夜に生まれた」から白雪姫と改変されている。
そのほかいろいろ改変されてはいるものの、個人的にそれらは気にならなかった。
・全体的に薄味
むしろ私が気になったのは、物語が浅くて、観ていて置き去りにされているような印象があったことだ。ミュージカルという作品の性質上、突然歌い出すのは仕方がないとして、唐突な場面展開にややついて行けないところがあった。
とくに城から脱出するシーン、狩人に助けられるところがワーっと過ぎていって、ここでの違和感を最後まで引きずってしまった。
それから「魔法の鏡」が1番美しいのは白雪姫というのだが、その根拠が薄い。また王妃(継母)のヴィランぶりも中途半端。設定をなぞらえているだけで、その設定を裏付ける物語が少ないのだ。ゆえに、物語が薄く感じられたのかもしれない。
・そのままでいいものもある
考えてみると、白雪姫は実写化がかなり難しい作品だと思う。多くの人が物語を知っていて、絵本やアニメで観たことがあるため、各々の中にそれぞれの白雪姫が形成されている。実写化するということは、良くも悪くもそのイメージを壊すことになる。
それが必ずしも良い方向に壊れるとは限らない。また、物語の内容もよくよく知られているから、毒リンゴで白雪姫が倒れても驚きはしない。復活する方法もロマンチックではあるけど、みんな知っている。
ストーリーから得られる驚きと感動は少ない。となれば、映像と音楽に凝るしかないわけで、それを形にしたらこうなったという作品。「キレイに見せたかった」というディズニーの意図は窺えるが、それ以外は何も響いて来なかった。
誰もが知る作品を作り直すのは、相当な挑戦だと思う。先にも述べたように、人の持つイメージを壊すことになるのだから、ディズニーもそれを承知で挑んでいるはず。歓迎されない可能性さえも考えてはいただろう。
だが、原作の持つ魅力を尊重するのも大事なのではないだろうか? 昔の作品をリマスターするなど、現在によみがえらせる術はほかにもあるはずなので、実写化にこだわらず、良いものは良いままで残して欲しいと願う。
参考リンク:白雪姫
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24