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音楽の未来が生まれる場所・SPACE ODDから新人アーティストにフォーカスしたイベント第三弾をレポート

SPICE

『ODD WAVE vol.3』

『ODD WAVE vol.3』2025.02.28(fri) 代官山SPACE ODD

2月28日、代官山SPACE ODDで『ODD WAVE vol.3』が開催された。サマーソニックを始め、国内の様々なフェスやライブを企画制作するクリエイティブマンが運営するライブハウス・SPACE ODD主催イベントの第3回目だ。過去2回は若手新進バンド中心だったが、今日はメジャーデビュー組を含む実力派がずらりと揃った。客席もいい感じで埋まってる。雰囲気は上々だ。

Mlle.

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先鋒はMlle. (マドモアゼル)。2023年の「サマソニ」出演時とはメンバーが変わり、現在はフジノ(Vo&G)とNori(Pf)を中心にサポートプレイヤーを迎える形になっている。この日はベース、ドラムにトランペットが加わり、1曲目「はだしのlady」からパワフル、ファンキー、ダンサブルなバンドサウンドで一気に飛ばす。ジャズやブルースのエッセンスを溶かしこんだ「Lancelot」や、マイナー調のスピードロックチューン「HENSHIИ」「JERRY」など、勢いあるサウンドに煽られて観客の声と手拍子が高まる。フジノとNoriがツインボーカルで聴かせる曲をはじめ、楽曲のカラバリがぐっと増えた。以前と比べ、ライブバンドとしての成長は明らかだ。

Mlle.

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「大阪からやってまいりました、Mlle.です。楽しんでいきましょう」

フジノの笑顔のMCのあと、後半はぐっとヘヴィな「Syndrome」から「Phantom」「VENUS」へ、怒涛のアップチューン連発でぶっとばす。Noriのピアノはメロディアスでありながらリズミック、打楽器のように強力なタッチでバンドを加速させる。「JUMBLE!!」でのアツく畳みかけるツインボーカルもかっこいい。客席も大いに沸いている。「ネオ・シネマ・ポップ」を旗印に、場数を踏んだライブバンドの自信みなぎる、安定感抜群のパフォーマンス。

QOOPIE

QOOPIE

QOOPIE

二番手はQOOPIE(クーピー)。2024年の「サマソニ」出演組で、「ファンク」の持つエナジーとグルーヴを身上とする4ピースバンドだ。登場時から、歓声と拍手の大きさに知名度と支持の厚みを感じる。いきなりのドラムソロで豪快に始まる「O.D.D」からアクセル全開、ツインギターの迫力でぐいぐい押しまくる。ファンクの中に往年のハードロックやジャムバンドの要素も垣間見えるサウンドで、「Crybaby」「Naked」と、ミニマルなダンスミュージックのループ感も加えたサウンドが強力だ。懐かしさと新しさのバランスが魅力的。

QOOPIE

QOOPIE

QOOPIE

「僕ら、東京が好きです。最高の花金ですね。楽しんでいってください」

ギターの渡辺がバンドを代表して、名古屋を代表して律儀に挨拶。三拍子+変拍子のトリッキーな「Oliver」から「Alaska」へ、複雑な楽器同士のバトルの中でもキャッチーなメロディを失わず、キック四つ打ちのダンスミュージックの中でもロックのアツさを忘れない。ラストは壮大な曲調の「VAN」で、夜明けを思わせる強烈なバックライトの中、ツインギターがステージ中央で絵になる絡みを見せる。見せ方、聴かせ方、生き方。すべてに強い美学を感じるバンドだ。

EYRIE

EYRIE

EYRIE

3バンドのトリを取るのは、2024年に手塚治虫『火の鳥』連載開始70周年記念アルバム『火の鳥』でメジャーデビューしたばかりのトリオ、EYRIE(エイリー)だ。すでに固定ファンも多く、開演前からひっきりなしに歓声が飛ぶ。2台のキーボード+ドラムという編成で、1曲目「Samsara」からテクニカルな連弾を披露してぐいぐい盛り上げる。鍵盤奏者の鈴木瑛子とRina Kohmoto、ドラムの山近拓音の3人ともバークリー音大出身者。確かなスキルと人目を惹く華やかさ、スペイシーでプログレッシヴな演奏ぶりで、「月の色の輪」「Backlash」と、激しいリズムで畳みかける。Rinaがショルダーキーボードを抱え、颯爽とソロを披露する。すべてがフォトジェニック。

EYRIE

EYRIE

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「ODD WAVEということで、みなさんを音の波で連れ去りたいと思います」

瑛子とRinaのMCはほんわか癒し系。しかし演奏は攻撃的な中毒性。割り切れない変拍子の積み重ねが不穏なかっこよさを生む「Ga-oh」に加え、未リリースの新曲を2曲も披露してくれた。プログレやフュージョン好きも納得のテクニカルなスリルとスピード、J-POPリスナーにもアピールするキャッチーなメロディ。熱烈なアンコールに応えてもう1曲、「Scramble Dance」を演奏して最後は笑顔でピースサイン。多面的な魅力が乱反射する独自の個性は、きっと大きなフェスにも映えるはずだ。

回数を重ねるたび、初登場のバンドが増えるたびに進化する『ODD WAVE』シリーズ。地下のライブハウスからフェスを目指すバンドたちの夢を乗せて、新たな驚きと興奮を発見する場はさらに続く。次回にも期待だ。

取材・文=宮本英夫 撮影=Mizuki Abe

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