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DEFENDER OCTA:「できる」という事実が満足感をもたらす

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DEFENDER OCTA:「できる」という事実が満足感をもたらす

authorcharlie thomas

 DEFENDER OCTAは、まったくもって「過剰な」クルマだ。635馬力の高出力は、軍用車にルーツを持ち、農家や地主に愛されてきたクルマに似つかわしいとは思えない。だが、それこそがこのクルマの素晴らしさなのだ。

 OCTAは、これまでに作られたDEFENDERの中で最もパワフルで、最も過激なモデルであり、今どきの新型車たちとは真逆の存在だ。これは巨大なバッテリーに頼るマシンではない。マイルドハイブリッドではあるものの、真のパワーソースは4.4リッターのツインターボV8エンジンだ。

 そして、そのパワーをあらゆる場所で楽しむことができる。舗装路でも、オフロードでも、山肌でも、川の中でさえも。OCTAは圧倒的な走破性を持ち、どこへでも走っていくことができる。そしてそれは、JLR(ジャガー・ランドローバー)の熟練したエンジニアたちの狡猾なまでの技術によって実現されているのだ。

 ひと目見れば、これが普通のDEFENDERでないことがすぐにわかる。OCTAは怒れる獣のような風貌をしている。巨大なホイールを収めるために張り出したサイドアーチ、車高を高めた足回り、4本出しのエグゾースト。その姿は、明確な意図を持っている。もしバックミラーにこのクルマが映ったら、まるでボンド映画の悪役に追われているような錯覚に陥るだろう。

 それほどに威圧的で巨大、そして高い位置に構えたボディは、他のSUVを小さく、そして無力に見せてしまう。だが、その差は見た目だけではない。アクセルを踏み込めば、他を圧倒する強大なパワーを得ることができる。

 通常モードでも「ダイナミック」モードでも、OCTAの加速は鋭い。750Nmものトルクが、どのギアからでも自在な追い越しを可能にする。アクセルを踏み込むたびにV8エンジンの重厚な咆哮が轟く。ゼロ発進から時速60マイル(約96km/h)まで、わずか3.8秒。車重2,510kgの巨体からすれば、驚異的な数字だ。

 しかし、真の驚きはそのスピード以上にサスペンション性能にある。このOCTAには、RANGE ROVER SPORT SVと同様の「6Dダイナミクスサスペンション」が搭載されており、前後・左右のピッチやロールを制御し、走行中も常に車体を水平に保つ。これは特に、コーナーへの高速進入時や急ブレーキ時に威力を発揮する。通常、このサイズとオフロード性能を持つクルマであれば、サスペンションは比較的柔らかく、カーブでは大きく傾いてしまうものだ。だが、OCTAはこの特別なサスペンションによって車体のロールをほぼ完全に排除し、より速く、そして自信を持って走れるように仕立てられている。

 これはオフロードでも同様だ。新たに設計されたラリースタイルの鍛造アロイホイールと、グッドイヤー製アドバンスト・オールテレインタイヤを装着し、OCTAは公道を走れるダカール・ラリーカーのような存在となっている(ちなみに補足だが、JLRはこのプラットフォームをベースにした改良型で2026年のダカール・ラリーに実際に参戦予定だ。それだけこの一台に自信を持っている証である)。

 OCTAは急勾配でぬかるんだ地形を登り、岩や砂利の上を走破し、砂丘を軽々と越えていく。それぞれの環境に対応した専用モードが用意されており、サスペンションや車高が自動で調整される。水の中を進む能力も従来のDEFENDERを超えており、最大1メートルの水深まで走行可能だ。

 そして、もしあなたが偶然にもオフロードのラリーステージを全力で攻めなければならないハメに陥ったとしても、「OCTAモード」があれば安心だ。これはJLRが初めて開発したオフロード専用のパフォーマンス・ドライビングモードで、車体全体の動きを引き締め、サスペンションとブレーキは緩い路面に最適化された設定に切り替えられる。さらに、メーターパネルが変化し、ステアリングホイール上のボタンやパドルシフトが赤く光る演出もされる。実にクールだ。

 これまで述べたすべての性能を備えていながら、OCTAは驚くほど快適でもある。レザーに包まれたインテリアは、実用本位なDEFENDERとは一線を画すラグジュアリーな仕上がり。シートヒーターとステアリングヒーターに加え、音楽に合わせてシートが振動するJLRのボディ&ソウルシートが採用されており、快適性と遊び心の両方を満たしている。

 素材へのこだわりも徹底しており、センターコンソールにはカーボンファイバー、ドアには冷たく無機質な質感の樹脂が用いられている。ワインディングでもオフロードでも、あるいは英国の高速道路M6をひた走る長距離の旅でも、このクルマなら疲れ知らずだ。

 では、欠点はあるのか? 主なネックは価格だ。ベース価格は¥20,990,000〜。初年度限定の「EDITION ONE」は、¥22,240,000〜となる。確かに高い。

「こんな高価な車で実際にオフロードへ行く人なんているのか?」

 そんな声が聞こえてきそうだ。だがそれは、フェラーリやマクラーレンを所有していても、サーキットでレースをする人が少ないのと同じことだ。

 それはまるで高精度のダイバーズウォッチや南極探検仕様のパーカのようなものだ。使わなくても、それができるという事実こそが、所有する者に深い満足と安心感をもたらすのである。

www.landrover.co.jp/index.html

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