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「たべっ子どうぶつ」がまさかの映画化! 親子3世代に愛されて95年、ギンビスが日本橋浜町にあるって知ってた?

さんたつ

【散歩の達人】ギンビス_1

大人には懐かしいロングセラービスケットの生みの親『ギンビス』。その本拠地がここ、日本橋浜町にある。2025年で創業95年というその生い立ちを通して、知っているようで知らないお菓子のこと、3代目社長に直撃しました!

『ギンビス』のルーツと2大看板商品の誕生話

浜町中ノ橋の交差点付近で目にするたび心躍る、大きな看板に赤い4文字。『ギンビス』は、日本橋浜町に本社を置いて半世紀を超えた。

「1974年にこの10階建てのビルを建てた時は、周りにはビルがなくて高速道路からもよく見えたそうです」とは、本社ビルより1年先に生まれた3代目社長・宮本周治さん。ちなみに当時の看板は電飾付きで夜になると光ったが、周囲に増えたマンションに配慮して付け替えたそう。

3代目社長・宮本周治さん。「お菓子でみなさんを幸せにします!」。

創業は昭和5年(1930)5月5日。宮本さんの祖父母である宮本芳郎・須美子夫妻が錦糸町に開いた「宮本製菓」が始まりで、カステラや、人形焼きのような菓子を手作りで販売していた。のちに工場を造り和洋菓子の製造卸を行い、終戦間もない1945年には銀座1丁目に営業所とレストランを開設。社名も「銀座ベーカリー」に変更した。当時の主力商品は、銀座で一番おいしいビスケットを目指したという「ギンビスコ」に、なんとビスケットの中にあんこを入れた「バターしるこ」。

「パンやケーキも作っていましたが、生菓子は賞味期限が短いので、日持ちのするビスケットを主軸にするようになりました。江東区猿江に配給用の乾パンやビスケットの専用工場を設け、大量生産を始めたんです」と宮本さん(以下同)。……と、ここでお気づきだろう。そう、『ギンビス』の名は「銀座」+「ビスケット」! 浜町に本社ビルが建った年に改称したこの社名には、ビスケットとともに歩む強い覚悟が込められているのだ。

現在7ブランドある商品は、茨城県の古河工場で製造。なかでも気になるのは2大看板商品の誕生話だ。まず1968年生まれの最古参「アスパラガスビスケット」はなぜこの名に?

「当時、高級野菜で貴重だったアスパラガスに似ているからと名付けられたそうです。ゴマのビスケットとしても、スティックビスケットとしても、元祖といっても過言ではありません」

アスパラガスビスケット 135g。2025年で57周年。たっぷりの黒ゴマと軽い塩気が絶妙の波状スティックビスケット。

その10年後の1978年に登場したのが「たべっ子どうぶつバター味」。だが、実はこれには前身があった。その名も、69年発売の「動物四十七士」だ。

「47種類の動物型の厚焼きビスケットで、これを薄くしてバター味にしました。動物をモチーフにしたのは祖父母が動物好きだったからなんです。家では犬、猫、鳥、それに赤いリボンをつけた子豚ちゃんまで飼っていましたから」

表面に押された英語の焼き印も「動物四十七士」から継承。いち早く海外に目を向けていた創業者が子供の英語教育を意識してのことだった。

たべっ子どうぶつ バター味 63g。薄焼きの動物型ビスケット。ビスケット型は46種類もあり、英語の動物名が焼き印されている。(商品により18種類、47種類も)。
「動物四十七士」(右)は「厚焼きたべっ子どうぶつ」にリニューアル。

すべてはお客さまのために。お菓子は毎日試食する

しみチョココーン全粒粉 60g。2003年発売。チョコレートをしみ込ませた星形のコーンパフスナックだ。

しかし、同じ商品を長く作り続けることは容易ではない。レシピは変わらなくても、半世紀もすれば原材料も機械も人も変わるからだ。

「それでも品質と味を保つことは一番力を入れたい。“家族や友達と食べたあの味”とか、お菓子の味は人生の思い出と一緒。それを壊しちゃいけないと思うんです」

そのために宮本さんは、工場で製造された菓子を必ず届けてもらい、毎日試食。さらに「売り場での品質が最重要」と小売り店へも日々足を運び購入して実食する。その上他社の品までも!

「たぶん同世代の誰よりもお菓子を食べているでしょう(笑)。まあ、好きだからできること。子供の頃から食べてきたから苦ではなくて。経営には数字も大事ですが、何より気にするのは中身。毎日食べ比べると違いがわかるんです」

ただ悩みも……。

「ものすごく食べるので、健康維持のため走ったり空手したり、運動が欠かせないんです」

創業95周年である2025年は、「たべっ子どうぶつ」がまさかのアニメ映画化。宮本さんの長年の夢だったという。では今後の目標は?

「まずはうちの3大ブランド(たべっ子どうぶつ、アスパラガスビスケット、しみチョココーン全粒粉)をスーパーロングセラーに育てたい。100年続く国民的人気のお菓子に。100年続けばお菓子もひとつの文化になりますよね。今後も経営理念の『お菓子に夢を!』『お菓子を通して世界平和に貢献する』を具現化していきます」

もはや十分国民的菓子ではあるけれど、100年目指してこれからもよろしく、ギンビス!

ギンビスをもっと深く知るためのトリビア

①ギンビスのマーク、クマの由来は……

写真提供=株式会社ギンビス。

動物好きの創業者夫妻が知人からもらい飼っていた子熊の「コロちゃん」がモチーフだ!

②たべっ子どうぶつのロゴは……

書の先生でもあった創業者・宮本芳郎が考案し書いた字。実は社名のロゴも氏によるもの。

③ビルのシルエットは……

写真提供=株式会社ギンビス。

1974年の竣工時からビスケット生地をイメージ! ビスケットサンドにも見える?

『ギンビス』
地下鉄新宿線浜町駅から徒歩5分
東京都中央区日本橋浜町3-23-3
☎03-3664-0331(代)

取材・文=下里康子 撮影=原 幹和
『散歩の達人』2025年6月号より

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