井上尚弥の対戦相手ラモン・カルデナスの実力は?モンスターがボクシングの聖地で世界新記録達成か
井上尚弥がノックアウトすれば世界戦25連勝、23KO勝利
プロボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(31=大橋)が5月4日にアメリカ・ラスベガスのT-モバイルアリーナでWBA同級2位ラモン・カルデナス(29=アメリカ)と防衛戦を行うとアメリカの大手プロモート会社・トップランクが発表した。
井上は1月24日、負傷のため試合をドタキャンしたサム・グッドマン(オーストラリア)の代役キム・イェジュン(韓国)に4回KO勝ち。次の防衛戦の相手として、当初はWBC1位アラン・ピカソ(メキシコ)が挙がっていたが、一部報道によると、ピカソも勝ち目がないと判断して挑戦を辞退したという。
グッドマンといい、ピカソといい、モンスターが強すぎるためかリングに上がらない世界ランカーが続出し、井上陣営は防衛戦の相手探しに苦労している現状。それでも、1862年5月5日にメキシコ軍がフランス軍を撃退したことを記念するメキシコ・プエブラ州の祝日「シンコ・デ・マヨ」の前日とあって、メキシコ系アメリカ人のカルデナスと戦うことで落ち着いた。
ここまで29戦全勝(26KO)の井上は、これが節目のプロ30戦目。 勝てば世界歴代5位に並ぶ世界戦25勝目かつ、世界歴代3位に並ぶ世界戦25連勝となり、KO勝ちなら25度防衛の世界記録を持つ元世界ヘビー級王者ジョー・ルイス(アメリカ)を抜いて歴代単独最多の世界戦23KO勝利となる。
舞台となるT-モバイルアリーナはこれまで数々のビッグマッチが行われてきたボクシングの聖地。井上はバンタム級時代の2021年6月にマイケル・ダスマリナス(フィリピン)と防衛戦を行って以来のラスベガスだが、その時の会場はヴァージンホテルだった。
ラスベガスの中でも超一流のT-モバイルアリーナで日本人ボクサーがメインを張るのは初めて。世界新記録がかかる節目の30戦目として、これ以上の舞台はないだろう。
カルデナスの力強い左フックは要警戒
カルデナスは井上とほぼ同じ身長165センチで、ガッチリした体型から放つ力強い左フックが最大の武器。26勝(14KO)1敗とKO率は高くないものの、パワーがないわけではない。フットワークをあまり使わない分、下半身が強く重心が安定しているのでボディバランスも良い。
直近では2月に20戦全勝(8KO)だったブライアン・アコスタ(メキシコ)と対戦し、判定勝ちで初黒星をつけた。現在WBAでは2位だが、IBF7位、WBO10位、WBC19位と他団体でもランキングに名を連ねている。
一発で試合を終わらせる破壊力を秘めているため、怖さという点ではピカソより上だ。ルイス・ネリ(メキシコ)の左フックをもらってダウンした井上にとって、死角から飛んでくるカルデナスの左フックには細心の注意を払う必要がある。
とはいえ、井上の有利は揺るがない。パワー、スピード、スタミナのどれをとっても井上が勝っており、もし敗れるとすれば出合い頭のワンパンチKOくらいだろう。
常に相手を過大評価してイメージトレーニングを重ねるモンスターが万全のコンディションでリングに上がれば、世界戦25連勝、23度目のKO勝利は堅いと見る。
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記事:SPAIA編集部