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映画史に残る後味最悪“胸糞”の傑作 無邪気さと残酷さが交錯するスリラー『MELT メルト』公開

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映画史に残る後味最悪“胸糞”の傑作 無邪気さと残酷さが交錯するスリラー『MELT メルト』公開

サンダンス映画祭(2023)において最優秀演技賞(ワールド・シネマ・ドラマティック部門)に輝いた「When It Melts」(英題)が邦題を『MELT メルト』として、7月25日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開する。

映画史に残る後味最悪<胸糞>の傑作

映画には観る者に勇気や希望を与える力があるが、それとはまったく逆のネガティブな吸引力をみなぎらせ、おぞましい結末へと突き進む異端的な作品もある。俗に“胸糞映画”とも呼ばれるそれらの映画は近年、絶望的なバッドエンディングに打ちのめされた観客が、SNSにその衝撃体験を投稿し、密かな盛り上がりを見せるという現象が起こっている。『オーバー・ザ・ブルースカイ』(12)で演技を高く評価され、女優として20年以上のキャリアを持つベルギーのフィーラ・バーテンス監督が放った長編デビュー作『MELT メルト』は、まさしくその系譜に連なるであろう新たなトラウマ映画である。エヴァという主人公の13 歳の少女を軸に、大人になったエヴァが忌まわしい過去を回想する形で物語が展開していく。ひとりの少女の日常を容赦なく破壊し、ほぼ永遠に人生を狂わせてしまうトラウマとは、いかなる惨劇によってもたらされたのか―。上質なミステリー映画のように巧みな構成で真実を明かしていく本作は、2023 年のサンダンス映画祭で最優秀演技賞(ワールド・シネマ・ドラマティック部門)に輝き、ベルギーのアカデミー賞たるマグリット賞で最優秀フランドル映画賞を受賞するなど、クオリティの高さにおいても絶賛を博し、世界の映画祭を席巻!大人のエヴァを演じたのは『トリとロキタ』のシャーロット・デ・ブリュイヌ。13 歳のエヴァを繊細に体現し、サンダンスで賞を得たローザ・マーチャントは、これが長編映画デビュー作となる。さらには『トリとロキタ』『CLOSE/クロース』のプロデューサーが名を連ね、新人監督のリスクを恐れぬプロジェクトをバックアップしている。バーテンス監督は、不安定に揺らめくカメラワークを多用し、閉塞感が渦巻く映像世界を構築。トラウマを専門分野とする心理学者の協力を得て、人間の心の痛みや孤独という普遍的なテーマを探求した。観客に覚悟を求める救いようのない話でありながら、どこか共感をも誘うリアルなキャラクター描写が、いっそう不穏な胸騒ぎを呼び起こす。近年のベルギー映画界では『CLOSE/クロース』のルーカス・ドンなど、新世代のフィルムメーカーが脚光を浴びているが、バーテンス監督もその流れをくむ新たな才能と言えよう。無邪気さと背中合わせの子供の残酷さ生々しくあぶり出し、過去のパートと大人のエヴァが一心不乱に恐ろしい計画を進めていく現在のパート。両パートが共振し濃密な緊迫感を高めていく、儚くも美しいリベンジ・スリラーが誕生した。

『MELT メルト』©Savage Film – PRPL – Versus Production-2023

解禁となったティザーチラシでは、謎めいた大きな氷と靴がメインに捉えられ、どのような“復讐”が描かれているのか不気味さを醸し出し、不穏な物語を予感させるビジュアルとなっている。併せて公開された特報では、子供時代のエヴァが幼馴染と仲睦まじく遊んでいる様子が切りとられているが、一方で現在のエヴァは無表情で、スリリング感漂う音楽も相まって彼女の不安定な様子が垣間見える。さらには、「女の子に興味があっただけだ」「もうお前とは遊ばない」という、意味深なセリフ。当時、彼らに何が起きたのか…?後半では子供時代のエヴァの表情と呼吸がただならぬ空気が漂う、過去と現在が交錯しながら緊迫感が高まっていく特報が到着した。

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