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福岡市都市交通基本計画の改定に向けた検討作業で新線11ルート・15案を概略試算

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福岡市都市交通基本計画の改定に向けた検討作業で新線11ルート・15案を概略試算

暮らしやすくて便利なコンパクトシティとして、福岡市は高い評価と人気を博しています。今後、福岡市の交通体系は、どのように整備されていくのでしょうか。今回、興味深い概算試算を記した議会資料が公開されています。

福岡市内での新線11ルート、地下鉄・モノレール・LRT案で検討

福岡市住宅都市局は2024年6月18日、福岡市議会の第3回定例会での福祉都市委員会において、福岡市都市交通基本計画の改定に向けた検討状況を報告した。
福岡市の交通分野における基本理念や目標像を示し、交通政策の基本的指針となる計画が、福岡市都市交通基本計画だ。
現行の福岡市都市交通基本計画は、策定から約10年を経過しており、昨今の社会情勢の変化をはじめ、市民や議会、有識者、交通事業者からの意見も踏まえながら、改定に向けての検討を進めている。

 

 

現計画では、「都市の骨格を形成する総合交通体系の構築」を目標像の一つとして取り組んできた。
そうした中、改定に向けて募集した市民からの意見でも拠点などへのアクセス強化に向けた、さまざまな意見が寄せられたという。
このため、計画改定に向けた検討作業では、拠点などへのアクセス強化について、現時点における採算性や費用対効果などの概略試算を行っている。
その概略試算においては、福岡市内の都心部、広域交通拠点、魅力・活力創造拠点、広域拠点・地域拠点を結ぶ新線11ルートを概略試算の対象とした。

 

 

新線を概略試算する上で想定する交通手段としては、【地下】(地下鉄)、【上空】(モノレールなど)、【地上】(軽量軌道交通:LRT)の3案となっている。
なお、西鉄貝塚線~アイランドシティの【地上※】については、鉄道高架で試算した。
福岡市住宅都市局が概略試算した新線11ルート・15案については、下記の通りだ。

 

 

<都心部>
◎天神~博多ふ頭中央ふ頭【地下】
◎博多駅~博多ふ頭中央ふ頭【地下】【上空】
◎博多駅~薬院【地下】

<広域交通拠点>
◎福岡空港国内線~福岡空港国際線【地下】
◎博多駅~福岡空港国際線【地下】

<魅力・活力創造拠点>
◎博多駅~博多ふ頭中央ふ頭~西部広域拠点(西新・藤崎・シーサイドももち) 【地下】【上空】
◎西鉄貝塚線~アイランドシティ【地上※】
◎博多駅~博多ふ頭中央ふ頭~アイランドシティ【地下】【上空】
◎九大学研都市駅~九州大学伊都キャンパス【上空】【地上】

 

<広域拠点・地域拠点>
◎姪浜~橋本【地下】
◎南部地域拠点(大橋)~七隈線【地下】

 

出典:福岡市議会『令和6年6月議会 福祉都市委員会 報告資料』(令和6年6月18日 住宅都市局)(画像提供:福岡市)

 

 

博多駅~博多ふ頭中央ふ頭~アイランドシティの地下鉄整備は4430億円

福岡市住宅都市局による概略試算における項目は、想定利用者、概算事業費、単年度収支、概算事業費の償還年数、費用対効果(B/C)だった。

 

 

想定利用者について、新線11ルートのうち、1日当たりの利用者数が最多とされたルートは、博多駅~博多ふ頭中央ふ頭~西部広域拠点(西新・藤崎・シーサイドももち)の5万1000人だった。
一方、最少のルートは、博多駅~薬院の4000人となっている。

 

 

概算事業費において最大だったルートは、博多駅~博多ふ頭中央ふ頭~アイランドシティの11.0キロを【地下】(地下鉄)で整備した場合の4430億円だった。
一方、最小のルートは、九大学研都市駅~九州大学伊都キャンパスを【地上】(軽量軌道交通:LRT)で結んだ場合の240億円となっている。

 

 

単年度収支に関して、黒字が見込めたルート・案は、天神~博多ふ頭中央ふ頭【地下】、博多駅~博多ふ頭中央ふ頭【地下】【上空】、福岡空港国内線~福岡空港国際線【地下】、博多駅~福岡空港国際線【地下】、博多駅~博多ふ頭中央ふ頭~西部広域拠点(西新・藤崎・シーサイドももち)【上空】、九大学研都市駅~九州大学伊都キャンパス【地上】の6ルート・7案だった。
このうち、単年度収支で最多となるルートは、博多駅~博多ふ頭中央ふ頭~西部広域拠点(西新・藤崎・シーサイドももち)【上空】(モノレールなど)であり、年間12~16億円の収益が見込めるとする。
一方、その概算事業費は1170~1560億円だった。

 

 

概略試算では、公的資金の拠出を考慮しておらず、単年度の利益だけで事業費を償還する形で試算している。
このため、償還年数が長くなり、博多駅~博多ふ頭中央ふ頭~西部広域拠点(西新・藤崎・シーサイドももち)【上空】(モノレールなど)の場合、償還年数は74~130年となる。
同様に費用対効果(B/C)についても0.3~0.5という数値になっており、公共インフラ整備で目標とされるB/C比率1.0を大きく下回る結果だった。

 

 

概略試算では、過去に検討した直通運転化や連続立体交差事業についても再試算を実施した。
試算・再試算の対象は、次の通りとなっている。
<直通運転化>(再試算)
◎福岡市営地下鉄箱崎線~西鉄貝塚線の直通化

<連続立体交差事業>(再試算)
◎西鉄井尻駅周辺
◎JR香椎駅周辺
◎JR笹原駅周辺

 

 

参照サイト

福岡市議会『令和6年6月議会 福祉都市委員会 報告資料』(令和6年6月18日 住宅都市局)
https://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/117469/1/20240618-jyutakutoshi-hokoku1.pdf?20240619110219


福岡市市議会『令和6年 福祉都市委員会』報告議案
https://www.city.fukuoka.lg.jp/gikaizimukyoku/giji/shisei/3committee4_2_2_2.html#02

 

 

あわせて読みたい


日本で交通アクセスが良いのは、どの都市? ~地下鉄七隈線の博多駅乗り入れでさらに便利になる福岡市の交通を考える~
https://fukuoka-leapup.jp/biz/202303.1225

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