まもなく梅雨の季節と落胆するあなたへ。気象予報士が教える「梅雨をポジティブに捉えるデータと思考法」とは
日々の天気や街のトレンド、おいしいゴハンに大人の悩み、社会の仕組み1日イチ「へぇ~」なトピックスを。新進気鋭のコラムニスト、ジェーンスーが、生活情報や人生の知恵をナイスなミュージックと共に綴る番組。
生活の知恵を授かるコーナー「スーさん、コレいいよ!」。
今日は天気が好きすぎる気象予報士増田雅昭さん。
梅雨だからと落胆しないで!梅雨のポジティブな情報だけ伝えます
増田:梅雨になると聞くと、だいたい「え~」「雨イヤだ」「湿気イヤだ」…などなどネガティブな反応がほとんど。
でも、みなさん、けっこう誤解や思い込みがある。人間、悪いほうに考えても、どんどんネガティブな気持になるだけ。少しでも前向きになれるよう、ポジティブな情報だけを4つ、今日はお伝えしていきます。
ちなみに関東は、今年はまだ梅雨入り発表はありませんが、平年だと、梅雨入りが6/7頃、梅雨明けが7/19頃です。
梅雨だから毎日雨だと落胆しないで!
増田:梅雨は、ずーっと雨が降っているという印象を持っている人が多い。でも実は、梅雨時の雨の日の割合は、東京だと平均して4割ほど。一週間になおすと、雨の日は3日くらいです。
曇りの日が2日ほど、晴れる日も2日ほど、平均的にはあるわけです。
それを聞くと、ちょっと前向きになれませんか?!
ちなみに、これは「天気出現率」=過去30年間の観測データから割り出したものですが、平均なのでもちろん凸凹があります。やはり、梅雨の中でも雨が降りやすい日というのはあって、東京だと、ズバリ6月30日は、なるべく予定を入れるのを避けたい!
6月30日は雨になっている割合は過去30年間で60%ほど。(晴れた割合も15%ほどしかない)
6月終わり頃は梅雨の真ん中で、どうしても雨の割合はアップします。できれば予定をズラすのが、賢い梅雨の過ごし方です。
週間予報を見て落胆しないで!
増田:「週末、雨予報だから、お出かけする予定キャンセルしようか」となりがちですが、ちょっと待って!週間予報を、他の季節と同じ気持ちで見ちゃダメなんです。
梅雨時の週間予報は、正直に言うと精度がきびしい…。7日先の予報の適中率は、関東の一年間の平均だと75%ほどですが、ただ、梅雨時の6月は、7日先の予報の適中率がひどい年だと55%ほど。
東西に長く伸びる雨雲がクネクネと動いているため、そのクネクネの位置が、ちょっとズレるだけで、雨が晴れに変わったりします。
なので、雨予報が出ていても、ぎりぎりまでキャンセルは待った方が良いですね。他の季節より、予報は変わりやすく、望みはあります。梅雨時の週間予報、5日先とか7日先に雨マークがついていても落胆しないで!
もちろん、晴れ予報が雨予報に変わることもあるので、その場合はゴメンなさい…。
蒸し暑さに落胆しないで!
増田:「梅雨イコール蒸し暑い」と思われがちですが、梅雨前半、6月中は、意外と乾燥している日もあるんです。たとえば、去年の6月の東京は、湿度が30%台40%台まで下がった日が、10日あった。つまり、月の3分の1。けっこうカラッとしていたんですね。そう聞くと、ちょっと前向きになれますよね!?過去には、6月に13%まで湿度が下がったこともありました。
梅雨は、意外と晴れ間があるとお伝えしましたが、梅雨の晴れ間は、2種類あると言われています。「アンコール型」の晴れ間と、「リハーサル型」の晴れ間です。昔の予報官によって使われた言葉なんです。
「リハーサル型」の梅雨の晴れ間というのは、真夏のリハーサル。
つまり、ムワッとした暑さの梅雨の晴れ間ですね。
それに対して、「アンコール型」の梅雨の晴れ間というのがあります。
「また戻ってきてほしい」カラっとした陽気。つまり、5月とか初夏の陽気ですね。
梅雨前線がまだ本州の南にあって、大陸からカラッとした空気が流れ込んでくることがあり、
そういった時にアンコール型のカラッとした陽気の日が現れてくれます。
しかも、ヒンヤリした梅雨寒の日もあります。梅雨は、毎日が蒸し暑いわけじゃなく、クールダウンの期間があるんです。
そう聞くと、ちょっと前向きになれませんか?!
そういったタイミングで、カラダを休めておくのが、梅雨の賢い乗り切り方です。
長い梅雨に落胆しないで!
増田:梅雨って、長く続くイメージがあると思います。
平年では、関東の梅雨入りは6/7頃、梅雨明けが7月19日頃。40日くらいですね。
もちろん年によって長さは変わりますが、一番短かったのは2018年で、3週間ちょっと(23日間)。
この年は、6月6日に梅雨入りして、梅雨明けが過去最も早い6月29日!
6月中に終わることもあると聞いたら、少し前向きになれませんか?!
では今年は?
最新の7月の長期予報データを見ると、夏の太平洋高気圧が強まるのが早くて、梅雨前線が早く北日本へ北上しそう。ダラダラと梅雨が平年より長引く気配は、今のところありません。
平年だと40日くらいの梅雨の期間が、今年は短くなる可能性があります。前向きになれるでしょう?!
肝心要の今年の梅雨は
増田:今年の関東の梅雨入り発表は、平年(6月7日頃)を少し過ぎた頃になりそうです。
梅雨入りというのは、季節のお知らせでもあるんですが、「雨に対して備えてくださいね」というメッセージでもあります。
怖いのは急な大雨です。
近年は、6月から線状降水帯が発生することもあって、一昨年は関東でも各地で土砂災害が起きました。
雨の季節に毎年お伝えしている「これは見てほしい」という情報、「キキクル」。みなさん見てますか?リアルタイムで自分の周囲の土砂災害浸水洪水の危険度が分かる情報です。
いざという時に、見方が分からないとならないように、普段からこまめに見る習慣をつけておきたいですね。
そして、注意点がもうひとつ。
実は今年、台風がまだ1つも発生していないんです。現時点で、統計史上7番目に遅い状態。
台風1号が発生するのが遅かった年は、のちのち発生ラッシュ時期が来ることが多い。
近年だと2016年が、7月3日にようやく台風1号が発生したのですが、その後に台風が立て続けに上陸して、めったに台風が来ない北海道に3つも上陸したということがありました。
今年も台風が発生し始めると、立て続けに来るという可能性もあるので、台風情報も要チェックですね。
(TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』より抜粋)