【特集】「フードチェーンの学びを力に、新潟の未来を最前線で作ります!」新潟の魅力をTHE NIIGATAとECサイトで発信する五百川優実さん 新潟食料農業大学卒業生を追う
「私の職場は、新潟の未来を最前線で作っている、新潟を変えていく仕事だと思います」
―新潟を全国に発信する話題のアンテナショップ「銀座・新潟情報館 THE NIIGATA(以下、THE NIIGATA)」の立ち上げや、THE NIIGATA公式オンラインショップ(以下、ECサイト)の立ち上げ・運営など、地域の魅力を発信するべく、ダイナミックなフィールドで躍動するホープ、それがJR東日本新潟シティクリエイト株式会社(新潟市中央区)地域商社部の五百川優実(いおかわゆみ)さんだ。
五百川さんは、新潟食料農業大学(新潟県胎内市)でフードビジネスを専門的に学び、生まれ育った新潟の魅力的な産品をもっと広く知ってもらう仕事に就きたいと、2023年4月にJR東日本新潟シティクリエイトへ入社した。
新潟の魅力は、四季の移り変わる景色の美しさと共に暮らしやすい都市機能の充実、そして人の温かさと語る五百川さん。
食の生産から加工、流通、食卓までを学び、「売る力」の重要さに興味
五百川さんが卒業した新潟食料農業大学(以下、食農大)は、2018年に開学した、農業大学としては東京農業大学以来93年ぶりの新設校。生産から加工、流通、販売、食卓まで食料産業全体“フードチェーン”を総合的に学ぶことができ、2年次にアグリ、フード、ビジネスの3つのコースから選択してより専門性の高い学びを習得する。
卒業生の就職先は大手菓子メーカーや農業協同組合、公務員(農業技術職)など、まさに食料産業全般にわたり、身につけた幅広い知見を現場で生かしている。
胎内市と新潟市北区にキャンパスを持つ新潟食料農業大学、写真は「新潟キャンパス」(新潟市北区)
「大学で何か学びたいという思いはありましたが、具体的に『これが学びたい!』というものはなかったんです。ただ、都会に格別な憧れはなく、新潟は暮らすのにも便利だし学べる場所もたくさんあるので、新潟での進学を希望していました」
そう振り返る五百川さんだが、食べることが大好きという嗜好を掘り下げていくなかで、食の生産から加工、流通といった工程に興味を持ち、食農大への進学を決めた。
大学の大きな魅力に、五百川さんは親身に学びに寄り添い、とても近い距離感で関わってくれる教授陣を挙げる。「先生方の存在が、学びを深めるモチベーションにもつながりました」
3つのコースそれぞれの勉強を3年間学ぶ中で、大きな気づきとなったのが、新潟の産品の豊かさだった。
「生まれも育ちも新潟県で新潟のことをよく理解しているつもりでしたが、まだまだ知らない魅力的な商品がたくさんあることに驚きました。そして、どんなに魅力的な商品でも、うまく売り出さなければ消費者の手元には届かない。売り方一つで売り上げを変えられる販売の可能性に強く惹かれたんです」
大学内外での活動に主体的に取り組み、成長を実感
そこで、商品企画やマーケティングなどフードビジネスをマーケットインの視点で専門的に学べるビジネスコースへの進級を選択。このコースでは、企業へ商品開発のプレゼンを行いフィードバックを受けるカリキュラムや、ビジネスコンテストへの参加など、学生の主体的な社会への働きかけを大切にしている。
そんな環境からか、まさに五百川さんも大学での自身の一番成長したポイントに挙げるのが「主体性」だ。中学・高校まではリーダーシップを取ることに苦手意識が強かったが、大学でグループワークなどを通じてディスカッションをリードしたり、話をまとめたりする場面が増え、身について自信になったとのこと。
当時のゼミの担当教員だったビジネスコースの高力美由紀(こうりきみゆき)先生も、五百川さんのリーダーシップを評し、「豊栄駅南口の商店街活性化のための飲食店開業プランという課題を、コースの3年生全員で取り組んだ際、五百川さんはリーダーとして7〜8人からなるチームのまとめ役になってくれて、協調性を大切にしながら意見をまとめていた姿が印象的でした。また、自主的に学外のプロジェクトにも参加するなど、自分の中で主体的にテーマを持って取り組む学生でした」と振り返る。
高力ゼミでは、学生一人ひとりが個性や強みを生かして主体的に挑戦する力と、チームで一つのものを作り上げていく力の両方を大切に、社会で活躍する力を育成する。「食に興味があり、食べることが大好きな学生にとってきっと魅力的な大学だと思います」(高力美由紀先生)
JR東日本新潟シティクリエイトへの就職についても、「当時から地域への愛着もあり、消費者に一番近いところから生産者や事業者へのフィードバックも含む大学での学びが、『魅力あふれる地域の産品の発信』と地続きなのではないか」と、卒業生の活躍に頼もしさを滲ませた。
明るい陽射しが差し込む「学生ラウンジ」、学生達はここでランチタイムを過ごすほか、グループワークやミニイベントでも活用されている。
「社会連携推進室」、地域の企業と打ち合わせなどを行う場として利用されるほか、ゼミナールでも利用する。
学生がいつでも利用することができる「学生自習室」
五百川さんは大学生活を振り返って、「大学は留学生が大勢いて、日本人にはない視点や考え方がすごく面白かったです。自宅に招いてくれて、現地の料理をご馳走になったこともあります。エスニック料理が好きなのは、この時の経験が大きいですね」と話す。
「街の玄関口から新潟の未来を作りたい!」就職活動は1社限定で
就職への大きな転機は、大学3年次に参加した新潟市が主催した「学生が描き、創る未来の新潟市ワークショップ〜2030年の新潟市の理想像とその実現のために私たちができること〜」への、大学を代表しての参加だったそう。
「新潟県内外の大学生とまちづくりを話し合う中で、新潟市の未来がまちの玄関口である駅から広がっていく風景にすごく想像が膨らみ、興味を惹かれました。そんな駅を起点としたまちづくりの仕事に関われたら、新潟市の未来を変えるきっかけになるかもしれない、それってすごいことだと思ったんです」
だから就職活動をしたのは、新潟で駅ビル事業・ホテル事業・不動産事業・ショップ事業・広告事業・鉄道事業などを展開していた、JR東日本新潟シティクリエイト1社のみ。
「入社したい気持ちが伝われば、きっと大丈夫」と熱い思いをまっすぐに伝え、無事に内定通知をもらうことができた。
話題のアンテナショップの立ち上げに参画
2023年の4月、五百川さんは晴れてJR東日本新潟シティクリエイトの一員となった。
最初の1年間は新潟駅直結の「ホテルメッツ新潟」で主にフロント業務を担当し、2年目から本社地域商社部に配属。県内の事業者・生産者と直接顔を合わせながら、新潟の魅力を発信する商品をセレクトし、県外に伝える業務を担っている。
この地域商社部は、東京での新潟の顔となるアンテナショップ「THE NIIGATA」の運営を行なっており、配属当時は8月のオープンに向けて、まさに準備の佳境を迎えている時期だった。
「入社2年目で立ち上げの経験をさせてもらえるなんて思っていなかったので、すごくありがたいなと思いました。全ての経験が初めてであり、それがみんな達成感や自信、モチベーションにつながっています」(五百川さん)
銀座・新潟情報館「THE NIIGATA」(2025年3月に撮影)
買い物客でにぎわう「THE NIIGATA」店内(2025年3月に撮影)。五百川さんはオープンに向け、プライスカードを作るところから商談に同席するところまで、開業までの約3か月間の業務は多岐に渡った。
もちろん全てが順調だったわけではなく、店を作る大変さも実感。この時の経験から、普段何気なく見ていたお店に対しても、その背景を考えるなど見方が変わったそう。
目覚ましい成長に、五百川さんを他部署には渡さない!?
新潟の産品を取り扱うECサイト「THE NIIGATA オンラインショップ」(画像引用:THE NIIGATA オンラインショップ)※現在のページとは異なる場合があります
現在、五百川さんが一番力を入れているのが、新潟の産品を取り扱うECサイトの運営だ。2024年12月にオープンしたこのECサイトは、五百川さんも制作の中心として完成させ、その後も担当者として日々商品の選定や販促などに携わっている。
それまで特にECサイトに関して知見があったわけではなく、商品登録から関係者との調整、メディアへのPRまで、苦労の連続だったと公開までの道のりを振り返る五百川さん。その甲斐もあって、公開当日トラブルなくページが上がり、関係者一同喜びを分かち合えたことは、2年間で一番の達成感を感じたそう。
「食品を中心に地域の産品の発信に携わる中でスムーズに働けていることは、大学で食の流通を学んだこと、またその折々での気づきが、力になっていると感じています」(五百川さん)
THE NIIGATAやECサイトで新しく取り扱う商品の選定も大事な業務の一つ。
そんな五百川さんの活躍に期待を寄せるのが、上司である永井百合子課長だ。
「とても責任感が強くて、日々業務を丁寧にコツコツと仕上げて行ってくれます。配属当初はわからないことだらけで表情にも不安が見て取れましたが、今はすっかり笑顔がたくさん見られるようになって」と、その成長ぶりを保証する。
一緒に仕事をしてきた1年の間で感じる五百川さんの成長は目覚ましく、「今では率先して補佐してくれるし、このまま変わらずに突き進んでいってほしいです。他の部署への異動はダメです、大事な存在なので(笑)」と冗談めかしながらも、厚い信頼が伺えた。
五百川さんに限らず、他部署の社員からも相談されるほど、JR東日本新潟シティクリエイトの“母”的存在の永井百合子課長(写真右)
仕事を通じてもっと新潟を知りたい、もっと新潟を好きになりたい
いろいろな事業に興味があり、1年間携わったホテル業務ももっと頑張りたい思いもある五百川さん。3年目、まだまだこれからのキャリアの可能性は無限大だ。
「駅ビル、ホテル、地域商社部…JR東日本新潟シティクリエイトの事業は多彩ですが、そのどれもが新潟と関わるものばかりなので仕事を通じてさらに新潟を知っていきたいし、もっと新潟を好きになって色々な事業に携わりたいと思っています」
果たして永井課長の「ずっと一緒に働いてほしい」という思いは、これからどんな形で発展していくのか。
高力先生からも「自分がいいなと思ったモノやコトを、どんどん全国に、そして世界に発信していってもらいたいですね」とのエールが寄せられる。
プロフェッショナルの先輩たちの期待を受け、次世代ホープの活躍がそのまま、これからの新潟の魅力発信に繋がっていく。
(インタビュー・文 丸山智子)
【企業情報】
JR東日本新潟シティクリエイト株式会社
THE NIIGATA 公式オンラインショップ
【学校情報】
学校法人 新潟総合学園 新潟食料農業大学
胎内キャンパス(新潟県胎内市平根台2416)
新潟キャンパス(新潟市北区島見町940)
新潟食料農業大学 webサイト
新潟食料農業大学は、食・農・ビジネスに特化した実学重視の大学として、2018(平成30)年に開学した私立大学。開学以来、「食のジェネラリストの育成」を掲げ、農業生産から食品加工・流通・販売、さらには経営戦略までを一貫して学べる教育カリキュラムを展開。実習を重視した教育方針により、地域農業や食品関連企業との連携も活発で、新潟県内外の食料産業界に即戦力となる人材を輩出している。
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