「温泉にありがとう」を伝える二日間。城崎温泉開山忌祭りを体験してきました! 豊岡市
毎年4月23、24日に城崎温泉(豊岡市)で開かれる「開山忌温泉祭り」は、地元の人も観光客も一緒になって楽しめる春の恒例行事。その原点は“温泉への感謝”にあります。開山忌温泉祭りの楽しみ方と年に1度、厳かで華やかな城崎町に変わる様子を取材してきました。
開山忌(かいさんき)とは、宗教的な開祖を偲ぶ仏教の法要。城崎では、1300年前にこの地を湯治の地として拓いた道智上人(どうちしょうにん)に感謝を捧げる日です。
この日は地元の小学生も学校がお休みです。
「今から餅撒きがあるから走っていこう!」と息を切らしながら階段を登る元気な子どもたちに混じって、私も500段を駆け上がりました。
前日の雨で餅撒きは「餅渡し」に変更。それでも会場には100人以上の人が集まり、外国人観光客も参加。
ほのぼのとした雰囲気のなか、当選者には但馬牛など豪華な景品も!
運営には地元の顔が多く、町とお寺のつながりの深さが垣間見えます。
開山忌祭りの2日間だけ御開帳される秘仏「十一面観音立像」や、複数の僧侶が一斉に経本をめくる荘厳な儀式「大般若経転読(だいはんにゃきょうてんどく)」も見どころのひとつ。風のように響く経本の音が、祈りの空間を包みます。
町内に舞い散る「散華(さんげ)」にも注目を。はすの花びらにかたどった紙をまくことを言います。法会(ほうえ)で、読経(どきょう)しながら列を作って歩く姿は深い祈りを感じさせる静かな時間です。散華を持ち帰ると利益があるといわれ、お守りにしたり、お家に飾る人もいます。
今年はもう一つ、大切なお知らせが。小川住職から、鐘楼(しょうろう)の修復費用を募るクラウドファンディングの支援を呼びかけていました。
「どう始めていいか分からなかった」と語る住職を支えたのが、舞台写真家bozzoさん。想いをかたちにしたプロジェクトは、地域と寺の未来を守る一歩として始まったばかり。お寺があっての城崎温泉。記者もその思いに共感し、支援しました。
祭りの終わりに、住職が語った言葉が胸に残ります。「温泉があるから人が集まり、文化が生まれた。その原点を、年に一度は思い出してほしい」。温泉に「ありがとう」を伝える、城崎の大切な春。来年は、あなたもこの風景の中に加わってみませんか。
【番外編】
お祭りの日に合わせて訪れてほしい
おでかけスポット
温泉寺の周辺にはまち歩きが楽しくなる素敵なスポットが盛りだくさん!記者のイチオシのお店を紹介するので、来年の「城崎温泉開山忌祭り」を訪れた際に、ぜひ足を運んでみてほしいです。
お寺の近くにある温泉施設『地蔵湯』『柳湯』『まんだら湯』の三湯は、お祭りの期間中入湯料が無料に!道智上人に感謝をしながら入りましょう~♪
和菓子屋さん『みなとや』では、お祭りの期間中限定で大人気の「いちご大福」が350円(通常は400円)で販売されます。
地産地消のセレクトフードショップ『wada-ya』。新鮮な地元野菜をお手頃価格で購入できます。
但馬牛牧場上田畜産の直売店『牛匠上田』で販売されている「但馬牛串焼き」(1,000円~)は必食です。
開催期間
毎年4月23日、24日
場所
末代山温泉寺
(豊岡市城崎町湯島985-2)
スケジュール
4月23日
10:30〜 町内浴場渡御古典行列 [場所:四所神社~各外湯]
15:00〜17:00 発見!わくわく宝探し [場所:駅通り公園]
13:00~21:00 露店出店
4月24日
10:00〜 開山忌湯祈祷・道智上人・稚児行列 [場所:駅前~各外湯]
12:00〜 開山道智上人墓前法要 [場所:温泉寺]
12:40〜 開山忌法要 [場所:温泉寺]
13:30〜 景品付き餅まき [場所:温泉寺]
10:00~15:00 露店出店