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株式会社MAPPAのオリジナルTVアニメ『全修。』が、2025年1月5日よりテレ東系列ほかで放送中。初恋をテーマにした劇場ラブコメ作品のコンテ作業中に意識を失い、子供の頃に夢中になったアニメ映画『滅びゆく物語』の世界へと転生した天才監督・広瀬ナツ子。彼女の活躍により『滅びゆく物語』で実際に起きることがどんどん“改変”されていきました。果たして、物語はどのような結末を迎えるのでしょうか？

アニメイトタイムズでは、本作の魅力、そしてアニメ業界のお仕事に迫るインタビュー連載を展開！　第九回は色彩設計担当・末永絢子さんに再びお話を聞きました。アニメ作品は“「コミュニケーション」が上手くいっていると良い作品になります”と言葉にする末永さん。そんな末永さんがアニメ業界で面白い・楽しいと感じる瞬間とは。

【写真】冬アニメ『全修。』色彩設計担当・末永絢子に聞くこだわったシーンとアニメ業界の楽しさ

1話のナツ子のような監督がいて上手くいってるとしたら、本物の天才なんだと思います……

──ここまで放送された話数（9話まで）のなかで印象に残っているシーンを教えてください。

色彩設計担当・末永絢子さん（以下、末永）：8話の温泉～ラスト、特にナツ子の初めてのトゥンクが気に入っています。作画も綺麗で夜色に撮影での温かい光の色が混ざってエンディング曲も流れてきて、とても素敵なシーンに仕上がっています。

──異世界と現実世界のシーンが混在する本作ですが、色彩設計において意識する点、重視している点は違いますか？

末永：ナツ子がいるところが現実という考えで設計しており、大きくは変えていません。キャラクターの髪や瞳の色だったり小物の素材だったり、環境の違いによる色の差だったりは意識しています。

──オリジナルアニメの色彩設計をする際、特別意識されることはありますか？　原作のある作品との違いがあれば、併せて教えていただければと思います。　

末永：どちらでも視聴者からの見え方は意識するのですが、オリジナルアニメはストーリーもキャラクターも知らず見ていただくので特に認識しやすいよう意識しています（アップでもロングでもどのキャラか、色でも判別できるようになど）。

原作があるアニメではカラー絵を参考にすでにあるイメージを大事に色を作り、監督などのチェックを経て原作にもチェックをお願いすることが多いです。オリジナルアニメでは決定権を持つ監督やキャラクターデザインが身近にいて直接チェックしていただけるので、チェック時に最初のイメージから大きく変わる事もよくあります。

──本作は「コミュニケーション」というのもひとつのテーマだと思います。末永さんは、アニメ業界において「コミュニケーション」はどれくらい大切だと感じていますか？　

末永：大人数で分担して作業するので「コミュニケーション」が上手くいっていると良い作品になります。もし1話のナツ子のような監督がいて上手くいってるとしたら、本物の天才なんだと思います……。

色彩面でも一気にシリアスになります

──コンテ制作が行き詰ってしまったナツ子。末永さんも創作中に行き詰ってしまったことはありましたか？　また、そんなときはどうやって解決してきましたか？

末永：行き詰っても一旦完成させて、それでもピンとこなかったらやり直したり別のことをやったり、他スタッフに相談したりします。

──ナツ子はアニメ『滅びゆく物語』に夢中になっていましたが、末永さんが夢中になったアニメ・もしくはバイブルとなっているようなアニメ作品はありますか？

末永：『となりのトトロ』です。小学生時代のナツ子みたいにずっと見たり描いたりしていました。

──末永さんがアニメ作品の色彩設計を担当するうえで大切にしていること、大切だと思っていることを教えてください。

末永：実作業以外でも、他スタッフが意欲を持って効率的に働けるような環境を保つことが大切だと思っています。ストレスなく作業できるようなカラーモデルやマニュアルを作成したり、状況を共有しあったりスケジュールの交渉をしたり。他スタッフとの良い関係でより良い作品になるのだと実感しています。

──末永さんが思うアニメ業界の面白さ、楽しさ、やりがいを感じる瞬間を教えてください。

末永：自分1人では作れない画面を大勢のプロが集まって作れるところです。打ち合わせをすれば完成画面が見えてくるのですが、『全修。』は良い意味で超えてくるので参加していて楽しかったです。

──今後の放送を楽しみにしている方々に、見どころを含めたメッセージをお願いします！

末永：#9から色彩面でも一気にシリアスになります。ルークの絶望顔が綺麗で色もがんばったので、見ていただきたいです！

　
構成　M.TOKU