県高校総体前特集 バスケットボール女子(4)中津北 全国を目指して、逆境を力に変える 【大分県】
県高校総体の前哨戦となる南九州四県対抗バスケットボール選手権(南九対抗)の女子県予選は明豊が優勝した。1月の県新人大会を制した大分との2校が優勝候補の筆頭だが、虎視眈々(たんたん)とタイトルを狙うライバル校も力を付けている。県総体を前に実力校の現在地を探った。第4回は逆境の中でも前を向く中津北。
【チームパラメーター】( )は昨年の数値
オフェンス 7(7)
ディフェンス 5(7)
リバウンド 6(5)
シュート 6(8)
スタミナ 5(8)
高さ 6(6)
南九対抗の県予選で中津北は4位に終わり、本戦出場を逃した。だが、その結果に悲観の色はない。むしろ、今こそもう一度自分たちの立ち位置と向き合い、6月の県高校総体に向けて反転攻勢を図る好機と捉えている。
高校生に「自分たちでやる」という姿勢を期待するには限界がある。思うように鍛えきれず、体力的にも技術的にも差を感じた今大会。しかし、それでも選手たちは懸命に食らいついた。キャプテンの松本彩来(3年)は、自身のプレーに対して「納得できなかった。悔しい」と唇をかむ。「もっと自分で仕掛けていけ」という大津留監督の言葉を受け止め、個の技術向上を誓う。「1対1の力を高めて、得点力のある選手になりたい」。今後の成長を左右するの「個」の部分だ。
一方でチームとしての課題も明確になった。守備では改善の手応えを感じつつ、ファウルや当たり負けの多さが浮き彫りになった。「もっと当たりに強くなって、自分からファウルを誘えるようにならないと」と松本。接触に強いプレー、足を使った守備、そして試合終盤のスタミナ。鍛えるべき点は多い。
そんな中、チームに新たな追い風も吹いている。秋国二郎アシスタントコーチが加入。1月の新人戦では県ベスト8の大分商業を3月まで率いていた。「練習を見て『これは中津北のディフェンスじゃない』って言われた」(松本)。厳しさの中にも期待を込めた言葉に、選手たちの目も覚めた。
現在の中津北には、突出した高さや個の能力はない。足りないのは、やはり「鍛える時間」であり、「積み重ね」だ。苦しい状況を前にして希望は失っていない。むしろ、この逆境こそが結束と成長を後押しするはずだ。松本を中心に、楽しく、前向きな空気をコートに満たしながら、再び戦う準備を進めていく。
得点力のある選手になると誓った松本彩来
(柚野真也)