広域で国際交流 高座と台湾、新たな局面へ 4市長、友の会の相談役就任
台湾との親善交流に取り組む民間団体、日台高座友の会(橋本吉宣会長)が17日、大和市内で総会を開き、相談役に旧高座郡の大和、座間、海老名、綾瀬の4市長を迎え、衆院議員の太栄志氏を名誉顧問に選出した。
総会に出席した会員ら80人を前に橋本吉宣会長(54)は、「戦後80年の節目となる今年、台湾少年工との歴史から生まれた友好の絆をさらに深めたい」と強調した。事業報告では、昨年4月に発生した台湾東部沖地震の被災者に向けた義援金の募金活動や、来日した台湾関係者との交流会の開催などを報告した。
総会後には台北駐日経済文化代表処横浜分処の張淑玲処長が講演。張氏はコロナ禍以前から続く人的交流に触れた上で、観光を通じた経済交流の重要性を強調。災害時の日台間の相互支援の実例も紹介し、震災などを機に進む防災協力の更なる拡大に期待を寄せた。
相談役に就任した4市長らも同席し、4市が台湾との交流を深めることを確認した。
交流を継承
会の活動は第2次大戦末期に自ら名乗りを上げて台湾から海を渡った8400人あまりの元少年工とその子、孫世代らとの交流が基盤にある。
現在の大和市上草柳で大戦末期から戦後の2年ほど寄宿生活を送った当時10代の少年工は、現在の座間市と海老名市に広がる高座海軍工廠(こうしょう)で零式艦上戦闘機(ゼロ戦)や迎撃戦闘機「雷電」の製造を担った。帰国後は政治家や企業経営者として台湾の成長に貢献する人材も多く輩出した。
現地には1987年に全国規模の少年工同窓組織「台湾高座会」が設立され、93年には元少年工ら1400人が50年ぶりに「第二の故郷」大和市への里帰りを果たした。
99年には大和を中心に「高座日台交流の会」が設立され、2019年に発足した「日台高座友の会」は交流を継承した。
大和市議会で議長を務め、交流の会で会長も務めた石川公弘さん(90)は懇親会のあいさつで、「友の会が私たちのあとを継いでくれた。急成長を遂げる台湾との交流は日本のためにもなる」と述べ、今後の交流の深化にも期待を寄せた。
旧高座で結束
懇親会の前に講演した張氏は、「日本と台湾の連携では日台高座友の会が中心的な役割を果たしている」と述べ、4市の市長が相談役に就任したことを歓迎し、議員連盟の発足に期待を寄せた。
海老名市の内野優市長は、「4市長が相談役に就き、これからはそれぞれが交流を深めていく。それが私たちの使命だ」と話し、今後の都市間交流にも意欲を示した。
従来は民間を中心に育んできた交流に自治体が本格的に加わることで、経済や防災など従来よりも幅広い分野でも交流が進むものとみられる。
◆台北駐日経済文化代表処…台湾が東京に設置している領事館級の外交代表機構。横浜、那覇、札幌、大阪、福岡に拠点がある。日台に正式な外交はないが事実上の大使館としての役割を担う。台湾には公益財団法人日本台湾交流協会があり、同様の役割を担っている。