『十二月大歌舞伎』全上演作品の特別ビジュアルが公開&全5種をセットにしたポストカードの販売も決定
2024年12月3日(火)より歌舞伎座にて、『十二月大歌舞伎』(26日千穐楽)が三部制で開催される。開幕に先立ち、全上演作品の特別ビジュアルが公開、さらに全5種をセットにしたポストカードの販売が決定したことが発表された。
第一部は、絵本発刊30周年を記念して、歌舞伎座で8年ぶりに上演される『あらしのよるに』。原作の絵を背景に、中村獅童演じるがぶと、初役となる尾上菊之助演じるめいが仲良く絵本から飛び出た様子が描かれた特別ビジュアルには、狼と山羊が奇跡的な友情を育んでいく作品の魅力が凝縮されている。
第二部は、江戸の粋を感じる河竹黙阿弥の傑作『加賀鳶』と、儚い恋を描いた情景溢れる名作舞踊『鷺娘』を上演。『加賀鳶』は、尾上松緑が天神町梅吉と竹垣道玄の2役を初役で勤め、中村雀右衛門が道玄とつるんで悪事を働く女按摩お兼を勤める。特別ビジュアルには、暗闇のなかに小悪党の按摩・道玄とお兼の姿が浮かび上がり、その眼差しから漂ういかにも怪しげな雰囲気。二人が企てた悪巧みの結末は……。中村七之助が鷺の精を勤める『鷺娘』は、しんしんと降りしきる雪のなかに現れる白無垢姿の娘の静謐な雰囲気と、恋の妄執に取り憑かれた鷺の精の激しい舞が対比された一枚に。恋に迷う女性の姿をさまざまにみせていく早替りや、雪の舞う儚く幻想的な雰囲気の中、激しく踊る幕切れに注目しよう。
第三部は、十七世中村勘三郎(俳名「舞鶴」)に書き下ろされた中村屋ゆかりの舞踊『舞鶴雪月花』と、泉鏡花の戯曲の中でも屈指の名作『天守物語』。『舞鶴雪月花』は、愛らしい娘姿の桜の精、儚い運命を待ち受ける松虫、そして軽妙な雪達磨を一人で踊り分ける変化舞踊で、特別ビジュアルには、「下の巻 雪達磨」の場面が描かれる。炭屋の娘に惚れた色白で男前の雪達磨の心のなかは、恋焦がれた娘への熱い思いが溢れる。果たして、中村勘九郎が演じる雪達磨の燃え上がる恋は成就するのか……。『天守物語』は、演出をする玉三郎が本興行では平成26(2014)年以来10年ぶりに天守に棲む美しく気高い富姫を勤める。また、昭和40(1965)年1月日生劇場で祖父・二世市川猿翁(三代目猿之助)も勤めた所縁ある姫川図書之助を市川團子が初役で勤める。特別ビジュアルで同じ視線を向け寄り添う二人の姿は、物語のひと場面をそのまま切り取ったかのよう。泉鏡花ならではの幻想的な世界が織り込まれた屈指の名作を歌舞伎座で堪能してみてはいかがだろうか。