高校生が「地域のいいもの」を販売するECサイトを作成!黒潮町の大方高校が行う実践的な授業紹介
大方高校が取り組む「ネットワーク活用」授業とは
高知県西部に位置する黒潮町にある大方高校。こちらの学校では、自分たちが暮らし、学んでいる地域が抱える課題や魅力を知り、ICT(情報通信技術)を活用してその課題を解決するための方策を考えてみようという授業が行われている。
この授業には、幡多信用金庫や四国銀行といった地域の金融機関も協力している。
今回の記事では、地域の商品を販売するECサイト構築の準備として行われた、四国銀行によるターゲット設定に関わる授業の様子をお伝えする。
黒潮町で育つ高品質の「きゅうり」を販売したい
まず、生徒たちが販売したいと考えているのは高校と同じ黒潮町にある「合同会社黒潮エコアグリ」が生産する水耕栽培のきゅうりだ。
写真提供:大方高校
生徒たちは、事前にこのきゅうりの生産現場を取材し、水分量や栄養価が高く、また無農薬で育てられていることなど、これから販売しようとする商品の特性や魅力を学んだ。
写真提供:大方高校
地元で作られている高品質・安心安全のこのきゅうりをどのように販売するか。それが、今回生徒たちに与えられた課題だ。
誰にこの商品を売るのか?を真剣に考える
この授業は、商業・情報コースの3年生(取材時)を対象に行われた「ネットワーク活用」というものだ。
ICTやWebについて学び、自分たちでECサイトを立ち上げ、地域の産品を実際に販売することをゴールとしている。
では、学生の全員がECはもちろんサイトの構築も初めてという状況の中、どのように授業は進められていったのだろう。
この回では、四国銀行が講師となって授業が進められた。
ホームページと一口にいってもその種類はたくさんあることや、それぞれに目的が異なることから説明され、ターゲットとなる「ペルソナ」について検討することに。
「ペルソナ」とは、商品を販売するお客様像を詳細に設定したもの。性別や年齢、職業や趣味など具体的に設定することで、お客様のニーズが明確になり、適切な販売計画を立てることが可能になる。
まずは、なんとなく「こんな人かな?」というイメージからみんなで深掘りしていく。
まず出てきたのが「お母さん」というワード。そこから年齢や家族構成、仕事や性格などを具体的に話し合ってみることに。
すると、【45歳くらいの女性で、子どもは二人。働いていて、倹約家だが食べ物の鮮度にはこだわりを持っている】という具体的な人物像に絞られてきた。
「これって、○○のお母さんやん。笑」「そうそう」「ぴったりや」と、自営業で喫茶店をしている生徒のお母さんが当てはまり、より具体的な人物をみんなで話し合いながらペルソナが固まっていった。
そうして、ペルソナが決まったところで、四国銀行が担当する授業は終了。
生徒に感想を聞いてみると、
・去年の授業でマーケティングについては学んでいたのですが、ペルソナ設定は初めてでした。正直、難しいなって思いました。
・ネットショッピングを使うことがあるので簡単に思っていたのですが、実際に自分たちで作るとなると考えることが多くて想像以上に大変だなと思いました。
・すぐにできるだろうなと舐めていたのですが、何から始めていいか…
といった、不安が入り混じった声が聞かれた。
高校生が作ったeコマースサイトが完成!
この授業のあとも、Webデザインや管理について学び、ブラッシュアップに取り組んだ生徒たち。
約2ヶ月の授業を経て、完成したサイトがこちら▼▼▼
https://sites.google.com/g.kochinet.ed.jp/kuroaguri
・きゅうり農家さんの想いを知ってもらいたいと思った。
・全国的にも珍しい水耕栽培のきゅうりを、地域外の人にも知ってもらいたい。
そんな生徒たちの気持ちが伝わるECサイトとなっている。
このECサイトを作成した生徒たちは現在は大方高校を卒業し、それぞれの場所で新しい春を迎えている。
デザインやイラストを仕事にしたい、学校の先生になりたい、また美容師になりたいなど、それぞれの夢に向かって歩み出したところだ。
大方高校では、今年度も生徒のデザイン思考を育むマーケティングやICTに関する授業に取り組んでいる。
黒潮町で学んだ生徒たちが販売する、黒潮町育ちのきゅうり。
興味を持った方は、ぜひ購入して、そのきゅうりの味を確認してみてほしい。
文/長野春子