横浜市 帰宅困難者、どうする 受け入れ先拡大目指す
横浜市内で大規模な地震が発生し交通機関が全面運休した場合、街に溢れる帰宅困難者は約9万5千人にのぼるといわれる。市が指定する「帰宅困難者一時滞在施設」の対応力向上を目的に、みなとみらいで12月5日、受け入れを想定した机上の運営訓練が行われた。
当日は商業施設やホテル、大学など市内6つの事業者の防災担当者ら約30人が参加。首都直下震度7の地震が発生して多くの帰宅困難者を受け入れたという想定で、滞在の受付方法や休憩場所、非常食の配布方法、要望に対しての対応など、具体的な受け答えや手順を話し合った。
収容人数を超えた際の対応に関しては、ほぼ全ての施設で「安全面を考慮し受け入れない」と回答。その上で「人道的には悩む」「他の受け入れ可能施設の情報提供を行う」などの意見が出た。参加者は「普段から防災訓練は行っているがシミュレーションをしてみると新たな課題がたくさん出てきた。今後に生かしたい」と話した。
今回の訓練では帰宅困難者受け入れに対する施設運営や課題を机上で疑似体験できるよう開発された「KUG(帰宅困難者支援施設運営ゲーム)」が活用された。先行実施している(一社)横浜みなとみらい21で好評だったことを受け、市と初めて共同で実施した。
市は「まだ帰宅困難者一時滞在施設の数が足りない状況。今回の訓練で出た課題や対応法などを参考にしながらマニュアル作成を進めて情報を共有し、受け入れ先を増やしていきたい」と話した。市内に同施設は約260カ所あり、「一時滞在施設NAVI」検索で調べることができる。