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三浦半島昆虫研究会 「一途な昆虫愛」垣根なく 地道な活動48年 多世代集う調査活動

タウンニュース

昨年5月に行われた調査会の様子(写真提供)

カブトムシやクワガタ、チョウにトンボ。子どもの頃、誰しも一度は興味を惹かれた昆虫の愛好家が集う団体がある。横須賀市自然・人文博物館(横須賀市深田台)を拠点に三浦半島全域で調査活動を行う「三浦半島昆虫研究会」(三昆研)だ。所属するのは小学生から80代までの約100人。老いも若きも、みんな昆虫が大好き。対等で風通しの良い関係性を生み出す秘訣が、「昆虫愛」という共通項だ。

昨年11月、三浦半島地域などの昆虫に関する最新の研究成果を発表するスタディートークが同館で行われた。学芸員や社会人に混ざって登壇したのは、小学生や中学生ら。手書きの絵や写真に細やかな記録が添えられ、いずれも大人が舌を巻く発表内容だった。

同会は1977年に発足。同館学芸員と市民研究家のグループ、六浦中学校(横浜市)生物部元顧問・OBが共同で研究活動を行うようになったのがきっかけで、以来歴史を重ねてきた。

会員は元教員や塾講師、ITエンジニアなどさまざま。一方、調査活動では、甲虫類やチョウ類で神奈川県レッドリストの調査員になっている会員もいる。

活動の中心は年2回、城ヶ島や大楠山、森戸川流域などで三浦半島内の昆虫を観察する調査会と、研究成果を発表する年4回の例会。情報交換会の「サロン」や、年2回、会報誌「かまくらちょう」も発行する。

一時は存続難も

一時は会が高齢化し、存続が危ぶまれた時期もあったが、現在は学生から社会人、シニア世代まで多様な人材が集う場として定着。特に同館が毎夏主催する昆虫教室の受講者が入会するケースが増えており、ジュニア世代の参加も目立つようになった。発足時に代表を務め、16年から再度代表幹事に就いた中村進一さん(73)は「会員は多世代だけど、大人も子どもも関係なくフラットな関係がうちの良さ。子どもたちの親御さんも熱心で、会の活動を支えてくれている」と感謝する。

この日、スタディートークに登壇した高橋颯汰郎さん(関東学院六浦中学校2年)は小学3年生のときに入会。元々昆虫好きで、入会後は全国を飛び回り昆虫採集に熱を入れるようになった。今の目標は国内に200種類近く生息するトンボを収集。「日本にいるトンボを全部集めたい。将来は学芸員になれたら」と目を輝かせる。母の知美さん(49)は「ここは子どもを含めて昆虫に詳しい人ばかり。息子の世界が広がり人生が変わった」と目を見張る。

50周年へ研究記録

昆虫への愛着は大人も負けていない。中村さんも60年近くチョウを研究し、標本製作については県内でも屈指の実績で研究者も一目置く存在だ。同会の活動をサポートする同館学芸員の内舩俊樹さん(47)は会について「研究団体との協力関係は博物館にとっても不可欠。地域の昆虫研究をパートナー関係を築きながら進めたい」と話す。

2年後の2027年には発足50周年を迎える。三浦半島に生息する昆虫の記録を取りまとめた「三浦半島昆虫誌」の発刊を構想しているといい、中村さんは「半世紀の活動の節目に、これまでの研究成果を後世に残したい」と意気込んだ。

研究者さながらの探求心

三昆研会員の長崎仁平さん(汐入小学校4年)=写真左=は昨年、県内の小中学生が観察や調査、実験の成果を応募する「木原記念こども科学賞」で最優秀賞(小学校高学年)を、後藤渚さん(鶴久保小学校4年)=右=は特別賞(同)を受賞した。

長崎さんのテーマは「ナナフシモドキを”でっかく”育てる挑戦」。食草や飼育環境を複数パターン用意し、それぞれの成長の記録を写真やグラフとともに事細かにまとめた。後藤さんは県内では絶滅し、憧れの虫だったという「タガメ」の発見や成長記録をまとめた。2人にとって昆虫は「神」(長崎さん)、「かっこよくて可愛い」(後藤さん)。それぞれ次なる研究の目標もあり、探求心はとどまることを知らない。

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