全国高校選抜大会 ソフトテニス女子 新生・明豊として一歩を踏み出す 【大分県】
県高校新人大会で優勝、九州高校新人大会で準優勝し、全国高校選抜大会への出場を決めた明豊。指導者不在で一時期低迷したチームが復活を遂げたのは選手たちの努力はもちろん、西村知樹監督の力が大きい。昨年の県高校総体の1カ月前に監督に就任すると、メンタルケア、後述する独自の指導法でチームを優勝に導いた。選手たちには自信、周囲には鮮烈な印象を与えた。
現在のチームは2年生6人、1年生8人。県高校総体優勝の原動力となった3年生が抜けた後も戦力は充実している。チームをけん引するのは抜群の勝負カン(予測する力)を持つエースの片山伊織(1年)。昨夏は卒業した3年生とペア組んで九州チャンピオンに輝いており、1年生ながら経験値も高い。もう一人、成長著しい注目株が岩永実桜(2年)。元々突出した瞬発力とパワーを持っていたが、西村監督に技術・戦術を学んだことで秘めた才能が開花しつつある。チームを日本一に導くキーパーソンになりそうだ。もちろん2人だけではない。キャプテンの小林司(同)を始め、昨年の苦しい時期を乗り越えたメンバーは総じて大きな成長を見せている。
練習の質と量でレベルアップした選手たち
西村監督の指導は4フェーズに分かれている。第1フェーズでフィジカルを限界まで鍛え、第2フェーズで技術面の向上を目指す。第3フェーズでペアの課題に合わせた戦術を考える。第4フェーズで実業団や大学、日本トップレベルの高校と練習試合を行い、自身の弱点を探るとともに戦術を練り込んでいく。これを大会ごとに繰り返すことで着実にレベルアップするという。
「第2フェーズから取り組む学校が多いが、第1フェーズが重要。土台がしっかりしていれば、第2フェーズの伸びが格段に違う。体力がつくので試合の後半にギアを入れることもできるし、『あれだけやったのだから』と精神的な成長、自信にもつながる」(西村監督)。
第1フェーズの鍛え方はすさまじい。片山いわく「中学までの努力は努力ではないと分かった」。それでも選手たちは弱音を吐くことはない。笑顔で、実に楽しそうに練習に取り組んでいる。それは低迷したチームに希望の光をもたらした西村監督への絶大な信頼があるからに他ならない。
全国選抜の目標は優勝。九州勢は20年以上全国優勝から遠ざかっているが、自身も高校生の頃に日本一を経験した西村監督は、「九州勢は決して弱いわけではない。一つのスタイルにこだわらず、相手に合わせて柔軟に対応すれば十分勝機はある。私たちは9月からずっと全国選抜に照準を合わせ、練習に励んできた。全国だから、と必要以上に構える必要はない」と自信を口にする。西村監督の元、苦しい時期を乗り越え「新生・明豊」として一歩を踏み出した選手たち。全国の舞台でどんな戦いを見せてくれるのか、期待が高まる。
全国優勝を目指す
(甲斐理恵)