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a16zやAccelが出資、顧客企業を理解したAIエージェントで急成長 Decagon

TECHBLITZ

Decagon(本社:米国カリフォルニア)は、人間のような自然な対話を実現する「AIエージェント」を活用したカスタマーサポートの自動化を提供する。同社のAIエージェントは、複雑なビジネスロジックを理解し、顧客の問題を自律的に解決。2024年6月にステルスモードから脱却し、Andreessen HorowitzやAccelなどの著名VCから3,500万ドルの資金調達を発表。その後、10月にはBain Capital Ventures主導のシリーズBで6,500万ドルを追加調達し、累計調達額は1億ドルに達した。成長を続けるDecagonは今後、どのような展開を見据えているのか。共同創業者でCEOのJesse Zhang氏に話を聞いた。

<font size=5>目次
ChatGPT登場後の起業ながら急成長
顧客企業を理解したAIエージェントを提供
AIエージェントで人々の働き方が変わる
すべての個人がAIエージェントを持つ世界が訪れる

ChatGPT登場後の起業ながら急成長

―経歴とDecagonを立ち上げた理由についてお聞かせください。

 ハーバード大学でコンピュータサイエンスとAIを学んだ後、2018年に最初の会社を立ち上げました。ゲームに関するソーシャルプラットフォームの会社で、2022年にポケモンGOの開発元であるNianticに買収されました。その会社では私が単独の創業者で、消費者向け製品を手がけていたため、自分でカスタマーサポートなども行っていました。その経験を通じて、カスタマーサポートのワークフローや使用するツールについて深い理解を得ることができました。

 現在の会社は、ChatGPTが登場した後、2023年に設立しました。多くの大企業と話をする中で、カスタマーサポートへの生成AI利用が最適だと気づいたんです。それがDecagonの始まりです。

 現在、Decagonでは、AIカスタマーサービスエージェントを提供しています。多くのユーザーを抱える製品に対して、私たちのAIが個人アシスタントやコンシェルジュとして、質問に答え、問題を解決します。

―サービスの強みについて教えてください。

 Decagonは、カスタマーサポートにAIを導入することで企業を支援しています。大きな利点は、単なるコスト削減以上のものがあります。

 自動化によって必要なサポート担当者を減らし、ビジネス全体の効率を上げることができますので、コスト削減は自明です。しかし、それ以上に重要なのは、カスタマーエクスペリエンスが大幅に向上することです。お客様は製品をより気に入り、より多くの支払いをし、継続率も上がります。結果として、顧客企業の収益増加に貢献できているのです。

Jesse ZhangDecagonCo-Founder & CEO米ハーバード大学でコンピュータサイエンスを学び、卒業後の2016年にGoogleでソフトウェアエンジニアとして勤務。2018年にはソーシャルゲームプラットフォームLowkeyを創業し、ゲームプレイの録画や共有を容易にするサービスを提供。多くのゲーマーの支持を集め、2021年にポケモンGOの開発元Nianticに買収された。2023年にDecagonを創業。現職。

顧客企業を理解したAIエージェントを提供

―技術面について、独自のAIモデルを開発されているのでしょうか? それとも既存のモデルを活用されているのでしょうか?

 両方です。私たちはモデルにこだわらないアプローチを取っています。OpenAIやAnthropicなどの主要なモデルを使用できます。現時点で最高のモデルを利用するようにしています。このほか、自社でファインチューニングしたモデルもあります。アプリケーションを構築する上で、多様なモデルをツールとして使用できるこのアプローチが正しいと考えています。

―カスタマーサポートへのAI活用は増加傾向にあると思いますが、競合他社の状況や、御社の差別化要因について教えてください。

 競合については、従来のサポートソフトウェア企業がAIを追加しようとしているケース、古いチャットボットにAIを追加しようとしているケース、そして私たちと同じ領域の新興企業などがいます。

 その中で当社は急成長し、多くの大手顧客を獲得しています。その理由は、顧客企業のビジネスロジックを非常によく理解できているAIを提供しているからです。顧客によって複雑なユースケースは異なりますが、私たちはそれを把握し、AIに効果的に教えることができます。

 これを可能にしているのは、AIに新しい指示やワークフローを学習させるための新しい種類の言語を開発したからです。これにより、顧客は迅速にAIに新しいことを教えることができます。これが私たちの強みです。

―なぜそのような技術を開発されたのでしょうか?

 大手の顧客と話をする中で、彼らが非常に複雑なワークフローを持っていることに気づきました。そのような顧客にサービスを提供するにはするためには、AIにこれらすべてのことを教える、非常にシンプルで迅速な方法が必要でした。時間がかかってしまっては、実用的ではありません。

―顧客の成功事例について教えていただけますか?

 最近の例では、外国語学習サービスのDuolingoがあります。彼らは大規模なユーザーベースを持っており、多くのユーザーがアプリについての質問やアカウント、支払いに関する問題で問い合わせてきます。現在は私たちのAIエージェントが対応しており、多くのクエリを高い顧客満足度で解決できています。

 例えば、「アプリが動かない」「サインアップしたのに表示されない」といった質問に対して、アカウント情報を確認し、バックグラウンド情報を使用して自動的に問題を解決できます。この間、人によるサポート対応は必要ありません。

image : Decagon HP

AIエージェントで人々の働き方が変わる

―AIエージェントの誤った行動や、セキュリティ、ハルシネーション、プライバシー侵害などが懸念されますが、どのように対応されていますか?

 上場企業や金融分野、規制業界の顧客も多いため、この部分は非常に重要だと考えています。私たちの仕事は、AI周りに十分なガードレールを構築することです。AIが何かを発言する前に、別のモデルがそれをレビューし、ルール違反がないことを確認します。ハルシネーションや悪意のある行為者からの保護なども、すべてエージェントに組み込んでいます。

―ガードレールは顧客ごとに構築されているのでしょうか?

 ガードレールは通常共有されています。ハルシネーション対策など、同じタイプのガードレールを皆が必要としているためです。

―AIエージェントの導入により、顧客企業の採用や人員配置はどのように変化すると考えていますか?

 主に2つの変化があります。1つは、エントリーレベルのサポート担当者の必要数が減ることです。将来的な採用を減らしたり、チームの規模を縮小したり、他の機能に人員を再配置したりできます。もう1つは、仕事の性質が変わることです。AIを監督し、構築し、会話をモニタリングする役割が新たに生まれます。これは素晴らしいことです。以前は多くの人が単に顧客対応するだけでしたが、今ではより知的な作業に時間を費やすことができます。

image : raker / Shutterstock

すべての個人がAIエージェントを持つ世界が訪れる

―御社の成長についてお聞かせください。この数カ月の主要な指標を共有いただけますか?

 累計1億ドルの資金を調達し、Duolingoなど大手顧客を獲得しています。2024年は収益を12.5倍に増加させました。急成長の理由は、正直なところ、この分野が非常に良い状況にあるからです。人々がこれに興味を持っており、得られるリターンが明確だからです。

 営業チームもありますが、今では知名度も上がってきているため、顧客から直接アプローチいただくこともあります。また、多くの投資家やアドバイザーにも助けていただいています。

―今後、12~24カ月のマイルストーンについて教えてください。

 成長を継続することが主眼です。より多くの顧客を獲得し、チームを拡大し、マーケティングを強化したいと考えています。製品面では、音声エージェントの立ち上げを予定しています。電話でAIと会話できるようになります。

 現在は主に米国企業が顧客ですが、その多くがグローバル企業です。世界中にユーザーを持つ企業が多いため、私たちのAIもあらゆる言語に対応する必要があります。次のステップに向けた課題は、人材の採用です。数百人規模までチームを成長させる必要があると考えています。

―日本企業とのパートナーシップについてはどのようにお考えでしょうか?

 パートナーシップを歓迎しています。とくにセールスパートナーです。いくつかの日本企業との対話もすすめています。

―長期的なビジョンをお聞かせください。

 将来的には、すべての製品のすべてのユーザーが、個人用のAIエージェントを持つようになると考えています。このAIが製品の使用プロセスやセールスを支援し、結果としてサポート業務を行う人間はほとんどいなくなるでしょう。その代わり、人間はAIの監督や知識設計といった、より認知的なタスクに集中するようになります。

 この分野はとてもエキサイティングです。多くの人はこのユースケースをコスト削減の観点で捉えがちですが、もう一つ重要な側面があります。それは、エンドユーザーに製品をより良く感じてもらい、より良い体験を提供することです。私たちはこの点に注力しており、プロダクトもその考えを中心に設計しています。

従業員数なし

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