茅ケ崎署武道始式 新たな形で街頭活動活性 同署に効果を検証
茅ケ崎警察署(奈良英俊署長)では、「警察力を交通事故防止や治安維持に充てるため」として、例年正月に開催していた武道始式の開催方法を見直し、神事のみの開催に変更した。結果を検証すべく同署に話を聞いた。
--茅ケ崎警察署では、従来の武道始式を見直し、神事のみの開催に変更したとのことですが、どのような理由でしょうか?
奈良署長「近年、特殊詐欺や強盗事件など、社会情勢や治安情勢が変化しており、神奈川県警としても、それに的確に対応し、人的リソースを有効に活用していくという方針を出していました。そこで、当署でも武道始式の在り方について検討を重ねた結果、従来の形式では、多くの警察官の労力が、当日だけでなく準備段階から費やされること、また、武道始式そのものが『見せる』要素が強く、本来目的としている訓練に注力できないという意見が多く上がりました。地域住民の皆様にとって本当に必要なのは、警察官が街に出て、犯罪や事故を未然に防ぐ活動であるという結論に至り、大幅に内容を縮小して開催することにしました」
前年比数千件増街頭活動に手応え
--実際に見直しを行った結果、どのような成果がありましたか?
奈良署長「街頭活動に注力できた結果、昨年12月から今年1月までの期間、警察官が自宅や会社を訪問する巡回連絡は前年同期比で約4000件、登録番号の確認や安全運転を呼びかける自転車への声掛けは約3000件増加しました」
--具体的な成果としては、どのようなものがありますか?
交通課長「自転車が関係する人身事故の割合が前年から11ポイント減少しました」
奈良署長「年末年始の寒川神社や駅伝の警備に当たった署員の休暇も取得しやすくなり、ワークライフバランスの充実にもつながりました」
スピード逮捕攻めの活動も
--その他には、どのような効果がありましたか?
奈良署長「路上強盗犯や不同意わいせつ未遂犯などを迅速に逮捕することができました。また、2023年から関東一円で40件ほどの窃盗を繰り返した犯人も逮捕しました。地域を守る活動だけでなく、『攻め』の活動もできました。従来の武道始式にもさまざまな効果はありましたが、有事即応するため、新しい形で行った際の実証ができたと考えています」
--一方で、自転車盗が増加しているとのことですが?
地域課次長「はい、残念ながら自転車盗は前年比約3割増となっています。盗まれた自転車の7割が無施錠でした。必ず施錠し、できればダブルロックで対応していただきたいです」
--特殊詐欺の被害状況はいかがでしょうか?
生活安全課係長「今年に入って特殊詐欺は7件発生し、被害額は4000万円を超えています。また、SNS型投資・ロマンス詐欺は3件発生し、被害額は7300万円を超えています。タンス預金など、現金が手元にあると話がすぐに進んでしまう。電話やSNSでお金の話があったら、詐欺だと思って注意してください」
--最後に、今後の茅ケ崎警察署の取り組みについて教えてください。
奈良署長「2月にはバイクの死亡事故がありましたが、引き続き、赤色灯をまわしながら巡回する『レッド作戦』などを展開し、警察官の姿を見せることで犯罪や事故の抑止につなげていきたいと考えています。安心・安全なまちづくりに努めてまいります」