ピックアッププレーヤー ソフトテニス女子 純粋な思いを力とする片山伊織(明豊1年) 【大分県】
長崎県出身。1年生ながらエースとしてチームをけん引する明豊の片山伊織がソフトテニスを始めたのは5歳。「みんなで練習を頑張り、勝った喜びを分かち合えるのが楽しい」とすぐに魅了された。ソフトテニスが大好きだという片山だが、実は中学でやめるつもりだったという。「高校では勉強を頑張ろうと思っていた。でも、最後の全中(全国中学校体育大会)で結果が出せず、こんな終わり方は嫌だと思った」
生来の負けず嫌い。「続けるなら強い高校に行きたい」と親元を離れ、明豊に入学。明るく元気なムードメーカーとしてチームに溶け込み、先輩や同級生に刺激を受けながら練習に励んだ。毎日が楽しくてたまらなかったという。
しかし、昨夏の県高校総体、九州大会の個人戦で当時のエース(3年生)と組んで優勝してから少しずつプレッシャーを感じるようになった。「強い先輩と組んだから勝てたんだと思われたくなかった。いつの間にか絶対勝たないといけないと感じるようになり、テニスを楽しめなくなった」。気持ちが先走り、12月の九州高校新人大会の個人戦はベスト16で敗退。どうすればいいのか、何をすればいいのか。思い悩む時期が続いたが、家族や先輩、同級生と話す中で自らを分析し、「燃え上がるような闘志で結果を追い求めるより、純粋に楽しむことが強さにつながるタイプ」と気づく。苦しんだ時間は精神的成長を促し、殻を破るきっかけとなった。
エースとして活躍する片山伊織
再びテニスを楽しむことができるようになると、「勝たないといけない」ではなく、自然と「勝ちたい」という思いが湧いてきたという片山。「上には上がいる。私はまだプレッシャーを感じるほどのプレーはしていない。(低迷していた頃のように)守りに入った負けないためのテニスではなく、積極的に攻め、相手にプレッシャーを与えて勝つテニスで日本一を目指したい。チームの一番手として楽しく元気にプレーし、みんなを安心させるのも私の役目」とエースとしての自覚も芽生えた。
西村知樹監督は「勝負勘が抜群に良い選手。相手の動きを予測するのが得意で、どんなボールにも対応できる。精神的にも成長した。人前では決して弱音は吐かず、1年生ながらチームの精神的支柱としての役割も果たしている」と大きな信頼を寄せている。
「全中で結果が残せなくて悔しかったけど、そのおかげで明豊に来られた。テニスの神様が明豊に導くためにそうしたのかもしれない。高校3年間を、人生で一番頑張った3年間にしたい」。そう話す片山には3年間でかなえたい夢がたくさんある。日本一になること、自分のプレーで見ている人を元気にすること、楽しいプレーを通じてソフトテニス人口の増加に貢献することなど。全てに共通するのは一人でも多くの人を笑顔にしたい、自分以外の誰かのために頑張りたいという思い。努力と根性、純粋な思いを力に、全国選抜では大きく飛躍する姿を見せてくれるに違いない。
「日本一になることが目標」と語った
(甲斐理恵)