赤穂四十七士が眠る泉岳寺で「赤穂義士祭」が12月13~15日に開催。全国から多くの歴史ファンが参拝に訪れる
2024年12月13日(金)~15日(日)に東京都港区の泉岳寺で「赤穂義士祭」が行われる。赤穂藩主・浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)とその家臣であった47人の赤穂義士たちの墓に線香をあげるために、朝から晩までひっきりなしに参拝客が訪れる。歴史を学んで、その舞台にぜひ足を運ぼう。
忠臣蔵ゆかりの寺で赤穂義士たちを供養
主君に忠義を尽くして散っていった家臣たちにスポットを当て、映画や歌舞伎の題材としてもたびたび取り上げられる『忠臣蔵』。江戸時代に起きた「赤穂事件」という史実を元に作られた作品だが、物語の大筋はこうだ。
江戸時代、接待役を仰せつかった赤穂藩主・浅野内匠頭は指導役の吉良上野介(きらこうずけのすけ)から邪険に扱われたことに立腹し、江戸城内で吉良に斬りかかった。浅野は殿中での刃傷沙汰により切腹させられたが、吉良は一切お咎めなし。浅野の家臣であった大石内蔵助(おおいしくらのすけ)率いる47人の赤穂義士は主君の無念を晴らすため、元禄15年(1702)12月14日、吉良の屋敷を襲撃して首を討ち取った。そして、翌年の2月4日に幕府の命によって切腹したという話だ。浅野内匠頭と47人の義士たちが眠る墓が東京都港区の泉岳寺にあり、毎年4月1~7日と12月14日に義士たちを供養する「赤穂義士祭」が行われている。
2024年は12月13日(金)~15日(日)の3日間で開催。全国各地から多くの歴史ファンが訪れ、大石内蔵助をはじめ義士たちひとりひとりの墓に線香をあげていく。「最近では海外からの観光客もやってきます。主君の仇(かたき)を討って潔く切腹した侍の生き方をリスペクトしているというような話や、墓にお線香をあげる日本の風習を体験してみたかったからという話も聞きます」と教えてくれたのは泉岳寺の監寺(かんす)・牟田賢明さん。
期間中、境内には約60の露店が並び、にぎやかな雰囲気も味わうことができる。討ち入りがあった14日(土)には11時から浅野内匠頭の墓前で読経供養が行われるほか、本堂では献茶式も。さらに、47人の義士に扮した人々が12時に中央区役所を出発して、銀座や日比谷通りを抜け、第一京浜を経由して泉岳寺まで練り歩く「義士行列」も必見(泉岳寺到着は15時30分~16時ごろを予定)。 槍を手に持ち、黒小袖に似せた装束をまとった人々による行列は歴史情緒たっぷりだ。
赤穂事件の歴史を学べるスポットも!
泉岳寺に訪れたら「赤穂義士記念館」にも立ち寄ろう。仇討ちの様子が紹介された映像コーナーや、義士たちの貴重な遺品などが展示されている。なかには吉良上野介を一突きして絶命させたという一番槍の間(はざま)十次郎の木刀や、義士の鎖帷子(くさりかたびら)、吉良の首を泉岳寺のお坊さんが吉良側に返しに行ったときの受け取り状といったものまで見ることができる。そのほかにも境内には血染の梅や血染の石、首洗い井戸といった赤穂義士ゆかりの史跡も多いのでめぐってみよう。
「義士たちは自ら切腹し、主君の近くに埋葬されています。お墓参りをしていただいて、およそ320年前の歴史を感じてもらえたら」と牟田さん。線香をあげる列は長い時で1時間以上待つこともあるそうだが、忠実な義士たちに思いを馳せて手を合わせよう。
開催概要
「赤穂義士祭」
開催日:2024年12月13日(金)~15日(日)
開催時間:7:00~18:00(14日は~21:00)※「赤穂義士記念館」は8:00~17:30(14日は~20:00)
会場:泉岳寺(東京都港区高輪2-11-1)
アクセス:京急電鉄本線・地下鉄浅草線泉岳寺駅から徒歩1分
【問い合わせ先】
泉岳寺☎03・3441・5560
公式HP:https://sengakuji.or.jp/
取材・文=香取麻衣子 ※画像は主催者提供
香取麻衣子
ライター
1980年生まれ。『散歩の達人』編集部でのアルバイト経験を経て、2010年からライターとしての活動を開始。あだ名はかとりーぬ。『散歩の達人』では祭り&イベントのページを長らく担当。青春18きっぷ旅や山歩きなどのんびりと気ままにお出かけするのが好き。あとビールや美術館めぐりも大好物。