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店主のミスから生まれた逸品!神戸・新開地『そば処かどの』の名物“とじない”かつ丼 神戸市

Kiss

神戸・新開地駅から南に向かって歩くこと5分ほど。住宅地の真ん中に、地元で人気のお蕎麦屋さん『そば処かどの』(神戸市兵庫区)があります。

新開地駅から徒歩5分、神戸駅からは徒歩15分ほどの距離

1977年創業という歴史あるお店の暖簾を、2023年10月に先代の楞野(かどの)氏から受け継ぎ、日々腕を振るうのは西村洋祐さん。神戸市産業振興財団の事業承継制度を利用し、縁が結ばれたそう。元消防士という異色の経歴を持つことから、テレビやラジオ、新聞に取り上げられ話題に。

西村洋祐さん

「料理の経験は消防士時代に当番でまかないを作るくらいでしたが、美味しいと言われると嬉しかった。大学時代には4年間ずっと飲食店でアルバイトをしたり、食へのこだわりは強い方。水道筋でお好み焼き屋を営んでいた祖母の影響もあるかも」と、自身の転身は自然だったと話します。

そばとうどんは自家製麺を提供することもあり、11時のオープンに向けて早朝6時からの仕込みが必要だそう。「24時間待機していた前職に比べればたいしたことではない」と笑います。

壁に貼ってあるメニュー表

今回たくさんあるメニューから、そのこだわりのおそばと、同店で人気が高い「カツ丼」のセットをすすめていただきました。このカツ丼が一味違うそうで、特別に調理風景を近くで見ことに。

トンカツは150gとボリュームたっぷり

まずはごはんを大きな丼によそい、スタンバイ。トンカツがあがると、あつあつのうちに手早くカット。同時に卵とじを作ります。

玉ねぎと青ネギを一緒に煮たお出汁からはカツオと昆布のいい香りが漂います。そこにたっぷりの溶き卵を回しいれます。

半熟とろとろの卵とじを、カツがのったご飯にふんわりとのせて完成。ここで「あれ?」と気づいた人は多いのでは。そう「かどの」のカツ丼は卵でトンカツをとじない、上乗せタイプなのです。

「カツ丼セット」1,150円(税込)

そして、ついに着丼!いつの間に作っていたのか気づかないほどの手早さで、冷たいおそばも一緒にお盆にのせられています!

まずは名物“とじない”カツ丼から。カリッと上がった薄めの衣から、豚ロースのジューシーな味わいに、玉子は表面にまとわりつくだけなので、カツがしんなりせず揚げたての美味しさをキープ。粗めのパン粉を使用することでサクサクというより、ザクザクッという表現がぴったりです。

そして、しっかりとした食感とつるっとしたのどごしに驚かされたおそばは、そば粉と小麦粉の配合が半分ずつ配合した”同割そば(5割そば)”だそう。さすが自家製ならでは美味しさに溢れており、次回はセットのミニサイズではなく、単品でいただこうと決意。

ところで、この名物のカツ丼は、先代が調理時にミスしたことから生まれたそう。「カツとじを作るのを忘れたまま、ご飯の上にそのままトンカツをのせてしまった。困った“おやっさん(楞野さん)”が、カツなしのシンプルな卵とじを上からかけて提供してみると、それが普通のカツ丼と違い美味しいと評判になった」のだとか。

テーブル席が並ぶ店内奥には家族でゆっくりできる小上がりも

半年間の修業期間、調理に関して“おやっさん”が教えてくれたのは昭和世代らしい感覚と目分量。塩や砂糖など、「これくらい」と手のひらで見せてくれるのをその場で数値化するなど、徹底的に近づけるべく日々努力を続け、味を引き継いだ西村さん。

一方でSNSによる展開もスタートすることで、新たな集客につながり、時には著名人の来店も。「一部の常連さんには“味が変わった”と言われたこともあったけど、それでも変わらずいつも来てくれる。認めてもらえてるのかな」とほほ笑む姿に、老舗2代目としての頼もしさが垣間見えました。


場所
そば処 かどの
(神戸市兵庫区永沢町2-3)

営業時間
11:00~14:00

定休日
日曜日

駐車場
あり(3台)

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