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水中での魚の写り方には昼夜で違いがある? 体色が鮮やかな<ミノカサゴ>を例に解説してみた

サカナト

ミノカサゴ(提供:ポンた)

「夜の海」と聞いて、何をイメージするでしょうか。

一般的には「暗い」「怖い」「危険」といったイメージを持つ人が多いと思います。

もちろん夜の海には危険です。しかしながら、そんな危険な海には魅力もあります。

夜にしか見られない生き物の魅力的な姿、昼とは違って見える魚たちの寝姿──。

そんな中でも、今回は鮮やかで派手な魚・ミノカサゴに注目しました。

鮮やかな模様をもつミノカサゴ

ミノカサゴは、フサカサゴ科に属する派手な見た目をしている魚です。

英語ではヒレを広げた姿がたてがみに似ていることから「ライオンフィッシュ」とも呼ばれています。姿がよく似たハナミノカサゴと比べながら、本種の生態を見ていきましょう。

ミノカサゴ(提供:PhotoAC)

ミノカサゴはハナミノカサゴに比べて、体色はやや薄いことで見分けられます。また、ヒレにも違いがあります。ハナミノカサゴには尾びれや尻びれに黒い斑点模様がありますが、ミノカサゴには無地もしくは不均等で少ない斑点がみられるといった特徴があります。

もう一点、大きな特徴として生息域の違いがあります。筆者がよく潜る日本海では、基本的にミノカサゴしか観察できません。逆に太平洋側であればハナミノカサゴを観察できるそうです。

ハナミノカサゴ(提供:PhotoAC)

共通する点として、ミノカサゴもハナミノカサゴも背ビレに強いタンパク質性の毒を持っています。ダイビングだけでなく釣りの対象魚ともなる本種ですが、不用意に触らないようにしましょう。

万が一刺された場合には、熱いお湯に患部をつけて応急処置をしましょう。タンパク質性の毒は、お湯で溶けるため痛みが和らぎます。しかし、これはあくまでも応急処置ですので、医療機関へ行くことも忘れずに。

昼間は自然光の影響で鮮やかさを失う?

ダイビングの際、魚の写真を撮影する方も多いはず。実は、日中と夜間の撮影で魚の体色に差がみられることがあります。ミノカサゴも日夜の撮影で、魚の写りに違いがある魚です。

一般的に、夜間での撮影では「魚本来の体色が写る」と言われています。

日中の海は自然光の影響を強く受けます。浅瀬であれば鮮やかな色彩が保たれますが、深く潜れば潜るほど、海の水によって赤色やオレンジ色といった暖色系の色が吸収され、撮影すると写真の色合いが青っぽく変化してきてしまいます。

これを「青かぶり」と呼ぶこともあります。

昼間のミノカサゴ(提供:ポンた)

しかし、夜間であれば魚に近い距離で水中ライトを用いて撮影するため、水に色が吸収される度合いが少なくなります。

また、周りが暗闇ということもあり周囲との明暗がはっきりするので、強烈なコントラストも生まれます。夜間での撮影はリスクはありますが、鮮やかで鮮明な写真を撮影しやすいです。

夜の海のミノカサゴ(提供:ポンた)

上記の写真を比べてみると夜間撮影した物はより白く映り、日中撮影したしたものは自然光の影響を受け、全体が少し青っぽく写っています。個体差もあるとは思いますが、十分に差が見られます。

ナイトダイビングの魅力

ナイトダイビングでは、普段会えない夜行性の生物やいつも見ている魚たちの寝た姿など多くの魅力が詰まっています。

もちろん暗闇に潜るため、危険な夜行性生物に遭遇するリスクは上がります。夜の海は真っ暗闇で、さらに大型捕食者の多くは夜行性。ライトがあっても照射部分しか見ることができないので、広い視界の確保も難しく、普段から慣れ親しんだ海でもまったく別の世界に変化します。

ライトなど装備の点検を入念に行い、インストラクターや一緒に潜る方から離れないように楽しむことが重要です。潜水計画をきっちり立てて、万が一の場合も考え緊急時にはどういう対応をするか、インストラクターや同行の方と話し合ったり、事前に伝えたりといった準備を怠らないようにしましょう。

しっかりと準備をしていざ潜ると、ワクワクとドキドキが詰まった面白い体験ができると思います。

夜はサカナに近づきやすくなる(提供:ポンた)

この写真のように近づいても逃げずゆっくりと撮影ができたり、魚たちの繁殖や産卵など、生命の営みを覗くことができるのもナイトダイビングの魅力です。

ぜひ皆さんも体験して魚本来の体色など観察してみてください。

(サカナトライター:ポンた)

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