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自ら手を動かし、プロジェクトをサポートする「IDEKO」の小出さん。

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自ら手を動かし、プロジェクトをサポートする「IDEKO」の小出さん。

過去記事に登場した「ハナモモ」さんから「ぜひご紹介したい人がいる」と教えてもらったのが「IDEKO」の小出真吾さんです。ただ小出さんのことがよくわからない……。ホームページはないし、Instagramはそれほど積極的に配信していない様子。田上町で開催されていた竹のアートプロジェクトイベント「たがみバンブーブ―」(2024年の開催は終了)ではアート作品などを手掛けたとのこと。イベントの撤収作業の合間に会場にお邪魔し、小出さんがどんな方なのか、どんなことを生業にしているのか、いろいろとお話を聞いてきました。

IDEKO

小出 真吾 Shingo Koide

1986年新潟市生まれ。新潟大学・大学院で建築を学び、新卒で「hickory03travelers」に入社。2015年に独立し「IDEKO」の屋号で活動をはじめる。

――小出さんは「hickory03travelers」のメンバーとしてお仕事をされていたんですよね。どんなことを経験されたんですか?

小出さん:デザイン経験や店舗運営をさせてもらったり、けっこういろいろなことをやりましたね。新潟市美術館にあるミュージアムショップなども担当しましたし。店舗運営、商品のセレクト、グッズの制作もひと通り経験しました。

――任される分野がかなり幅広かったんですね

小出さん:学生時代に建築を勉強していたので、店舗を新たに構えるってなると、僕に任されることが多かったです。DIYみたいなこととか、職人さん、設計者さんとのやりとりとかを任せてもらいました。それが今につながっているのかなと思いますね。

――改めて、今の小出さんのお仕事内容を教えてください。

小出さん:2015年にデザイナーとして独立しました。最初はチラシやポスター、ロゴを作る依頼が多かったんです。一方でお店にあるちょっとした棚や看板を作りたいとか、イベントの装飾を考えて欲しいとか、「空間っぽい仕事」も独立した当初からいくつかあって。今はどんどん「空間っぽい」仕事が増えています。

――お手伝いする先で「これに困っているんです」みたいなことを小出さんがなんとかしちゃう感じですか?

小出さん:僕がDIYや木工仕事を「多少はできる」と知っている方がご依頼くださるんですよね。いろいろな現場で職人さんと関わらせてもらうようになって、だんだん自分ができる範疇が広がってきたんだと思います。

――デザイナーさんなんだけど、他にもいろいろやれちゃうと。そうすると肩書きを何にするか迷いません?

小出さん:そうなんです(笑)。肩書きはもうお客さまに委ねています。僕をデザイナーと紹介してくださる方もいるし、アーティストと言ってくださる方もいます。住宅や店舗のリノベーション現場にも行くので、そうすると大工さんとか家具屋さんみたいな立ち位置です。

――小出さんとしては、「自分はこれが本業なんだ」っていうお考えはあるんでしょうか。

小出さん:そういう考えはないですね。現場ごとに変わっていいと思っています。手を動かして何かを作るのが好きだし、自分が手がけられる分野は増えているんだけど、デザインだけのご依頼もまったくいといません。ここ数年は他の方がデザインしたものを僕が「作る」場合もあります。そのとき、そのときで立場や仕事の中身がが変わる感じですね。

――自分の仕事の範囲を線引きされている人もいますよね。

小出さん:その気持ちがわからなくはないけど、「せっかく自分に依頼してくれた仕事なので、できる部分だけでも請け負おう」って気持ちでいるかもしれないです。僕よりデザイン力がある、センスがあるデザイナーさんはたくさんいるし、それを加工する技術は大工さんや家具屋さんが備えているんだけど、その両方を任せたいって場合だったら、僕の出番かもしれません。

アーティストとして作品を展示。「たがみバンブーブー」。

――今日は、田上町のアートイベント「たがみバンブーブー」が行われた会場にお邪魔しています。このイベントにはどのように関わっているんでしょう?

小出さん:独立後に「hickory03travelers」のメンバーと「道の駅たがみ」のオープン準備に関わらせてもらいました。道の駅の皆さんとのつながりがあったので、「田上で新しいイベントをやるぞ」ってときにお誘いいただき、「たがみバンブーブー」の初回開催から3年連続で参加させてもらいました。

――会場には小出さんが手がけたアート作品も設置されていました。これまでもこうした作品づくりはされていたんですか?

小出さん:「水と土の芸術祭」で、大学の同級生とユニットを組んで作品をつくりましたし、作家さんとの展覧会に向けて自分の作品を用意したこともあります。「道の駅たがみ」では施設内の装飾を担当していたので、そういった経緯を知ってくださっている方が「たがみバンブーブー」に関わるきっかけをくれました。

――道の駅に新しいイベント、田上町とのご縁が深まっていますね。

小出さん:この3年間で田上町のたくさんの方と出会いました。今年は「たがみバンブーブー」に向けて地元の中学生が企画した催事のサポートもさせてもらいました。「この町との接点が増えてきたな」って実感がありますね。

キーワードは、瞬発力。

――独立されたのは2015年でしたね。もうすぐ10年経ちます。

小出さん:あっという間ですね。独立したばかりの頃はパソコンに向かうデザインワークが多くて。徐々にイベントの装飾や展示会の仕事がちょこちょこ入ってきたと思ったら、コロナ禍ですよ。空間を作るような仕事はほとんどなくなりました。

――イベントごとはご法度でした。

小出さん:あのタイミングで建築の現場仕事が増えたんですよ。「何か作ってくれないか」って依頼が立て続けに来て。あの期間、ひたすら手を動かしてモノづくりをしていました。スキルと経験を積もうと思っていた時期で、道具もどんどん増やしましたし。今は工具を持ってる時間が7、8割で、それ以外はパソコンに向かっているんだけど、それも自分で作るものの図面を引いてるっていう感じです(笑)。ちょっとずつですけど、仕事の内容は変わってきましたね。

――何がきっかけになるかわからないものですね。でも小出さんが柔軟だから、続々と仕事の依頼があるんだろうなって思いました。

小出さん:「まず自分で手を動かしてやってみよう」って気持ちは強いです。以前働いていた「hickory03travelers」は、自社でさまざまな取り組みをしているからすごく瞬発力があるんですよ。僕の勝手なイメージだと、デザインとか建築とかって十分な下調べをして緻密な図面を引く。さらにクオリティを上げるためにどうするかってじっくり考える側面があると思うんです。それも大事なんだけど、瞬発力も大切なのかなって思っていて。僕自身、「たがみバンブーブー」のお話をいただいたときも、気がついたらどうやって竹が割れるのか試してましたもん。

――あはは(笑)。「まず行動する」って大事ですよね。

小出さん:それに、外部に依頼すると予算も時間も余計にかかりますから。自分の手を動かした方が対応できることが増えるという面もあります。あれもこれもと着手するようになってからは、よりいっそう職人さんたちの凄さがわかるようになりました。「それぞれが得意な分野を引き出してどうやって一緒に取り組むか」を考えるのは、楽しみでもありますね。

――もっともっと自分ができる範疇を広めたいとは思います?

小出さん:自分の引き出しやスキルをアップさせたいけど、すべて自分でやり切ったらいいものができるとも思っていないかな。それよりチームの中で役に立てたらいいなって気持ちがあるんですよね。お店をはじめる、イベントを実施する、なんでもそうですけど、やることが1~10まであるとしますよね。僕はそのうち「0」を「1」にするとか、「2」くらいまでの立ち上げ段階とかはあまり得意じゃないんです。最後の方、例えば広報の段階もぜんぜん得意じゃない。プロジェクトの中盤、「3」~「7」くらいでおもしろい要素をどんどん加えていく「ガヤ担当」かなと勝手に思っています(笑)

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