天下一品跡地に10店舗同時オープンした「伍福軒」は、京都背脂醤油ラーメン「魁力屋」にソックリだった!
2025年6月末に都内で大量閉店した「天下一品」の跡地に、7月15・16日の2日間で10店舗同時オープンした「伍福軒」。これは一部の天一をフランチャイズで運営していた「株式会社エムピーキッチン」が、立ち上げた新ブランドのラーメンチェーンである。
東京背脂黒醤油ラーメンを売りにしており、自社開発した味を提供しているとのことだが、もしかしたら、あるブランドをモデルにしているかもしれない。そのブランドとは、京都の「魁力屋」である。
昨日伍福軒に行ったばかりの私(佐藤)は、さっそく魁力屋に行ってみたところ……。「伍福軒は魁力屋にソックリやんっ」てなった。
・魁力屋にもたくあんはある
伍福軒が魁力屋に似ている。その事実を知るきっかけになったのは、伍福軒の卓上にあったたくあんである。
そのことについて私は「ラーメン屋にたくあんは珍しい気がする」とつづったところ、読者からこんなご意見を頂いたのだ。
「京都が発祥の地らしい魁力屋(かいりきや)では、卓上にたくあんがありますよー」
なんだって? ラーメン屋にたくあんは珍しくないのか。そもそも私は、魁力屋を利用したことがない。名前だけは知っているけど、京都発祥であることすら知らなかった。それは確かめてみなければ! ってことで、都内でもっとも近い渋谷宮益坂店にやってきた。
こんなに近くにお店があったとは、全然知らなかった。ここのお店は今年3月にオープンしたばかりらしい。多くお店は郊外型で、今年に入って都心に出店したようだ。
・魁力屋と伍福軒の類似点
さて、入店してメニューを見ると、ラーメンは大きく分けて4種類用意されている。
そのうちの1つが、名物の「京都背脂醤油」。伍福軒は「東京背脂醤油」としているので、地名で差別化を図っている。
サイドメニューを見ると、唐揚げや餃子、それらを交えた定食と共に並んでいるのが「焼きめし」だ。
伍福軒もチャーハンと言わずに「ヤキメシ」と呼んでいたな。表記は魁力屋は漢字とひらがなで「焼きめし」、伍福軒はオールカタカナで「ヤキメシ」。表記で違いを出しているのだろう。
卓上の調味料類も似通っている。コショウ・ラー油・酢は両者同じ。伍福軒ではこれらに加えて、「おろしにんにく」と「辛味噌」があった。魁力屋では「きざみにんにく」と韓国の辛味噌「ヤンニンジャン」を置いている。
それからこちらにはおかわり自由のきざみねぎと、それからたくあんだ。伍福軒では刻んだものを提供していたが、こっちは大きくカットしたものを置いている。
ここまで近しい要素がたくさんあると、偶然の一致とは考えにくい。2005年に1号店が誕生した魁力屋と、7月15日に1号店がオープンしたばかりの伍福軒。魁力屋をモデルにしたと考えるのが自然ではないだろうか。
・京都と東京
初めての魁力屋で注文したのは、「京都背脂醤油ラーメン」(税込880円)の「焼きめし餃子定食」(税込462円)である。ラーメンだけでなく、焼きめしについても2社の違いを確かめたかったからコレを選んだ。
これが魁力屋の背脂醤油ラーメンだ。背脂が器の半分を覆っている。
ひと口すすってみると、見た目に反してかなりあっさりとしている。くどそうに見えるが、味は控え目で実に京都らしい。
2つのスープの画像を並べてみると、違いは歴然。伍福軒の方がはるかに色が濃く、味も濃い。醤油辛さに伍福軒に対して、魁力屋には醤油辛さを感じない。
・焼きめしとヤキメシ
続いて麺。麺は極細でスープによく絡む。今回普通の硬さを選んだが、硬めくらいがスープと合うのかも。
2社の麺の太さも比べてみると、伍福軒の方がやや太い。スープの濃さに合わせて、麺を若干太くしているのではないだろうか。
お次は焼きめしだ。なんと言っても見た目が素晴らしい、町中華の老舗を思わせる美しいドーム型である。チェーン店とはいえ、腕のいい職人が厨房にいるのだろう。
醤油ベースのあっさりとした味で、口の中で米粒がパラリとほどける感触が心地よい。
焼きめしも比べてみると、これまた差がはっきりしている。伍福軒の色の濃いこと、背脂黒ヤキメシはその名前にもある通りに背脂が入っているので、味は濃くてやや重かった。
・たくあんは乗せるべきでない?
最後にたくあんだが、一応ラーメンに乗せてみたが、どうもこれはラーメンに乗せるために卓上にあるものではなかったかも。というのも、くし形にカットしているので麺の邪魔になってしまう。これはこのまま食べるべきだな……。ちなみに伍福軒のものは千切りタイプだったので、ラーメンに乗せても変ではなかったが、あれも別で食うべきだったのか……。
総じて、味は伍福軒の方が濃い。富山ブラックといわないまでも、京都ラーメンに比べて大味といったところか。対して魁力屋は上品で、あとを引かないあっさりとした味である。
より強く印象に残るのは、味が濃いゆえに伍福軒だが、繰り返し食べられるのは魁力屋の方かも。いずれにしても、背脂醤油ラーメンのお店が急激に増えて、都内ではにわかに背脂醤油系の時代が到来しそうな予感。今後の動向が気になるところである。
・今回訪問した店舗の情報
店名 魁力屋 渋谷宮益坂店
住所 東京都渋谷区渋谷2-19-15 宮益坂ビルディング1F105区画
時間 11:00~24:00
参考リンク:魁力屋、伍福軒
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24