放課後等の子どもの居場所 川崎市 支援の「方向性」策定
川崎市は「放課後等の子どもの居場所に関する今後の方向性」を策定し、4月17日に公表した。今年1月に案をまとめて1月末から2月末まで、行政手続法に基づくパブリックコメント(意見募集)を実施し、改めて「方向性」として内容を策定した。
こども家庭庁が2023年12月に「こどもの居場所づくりに関する指針」を閣議決定したことを受け、全国の各自治体が「子どもの居場所」に関する取り組みを本格化させている。川崎市では、子どもを孤立・孤独から守り、健やかに育てるための「Well-being(ウェルビーイング)で成長するための居場所づくり」を全市的に進めることを目指し、「今後の方向性」の策定を進めていた。
市はまず基本的な考え方として、「子どもの声・主体性・価値観を大切にする居場所づくり」「発達段階に応じた目的・空間を有する居場所づくり」、そして不登校の状態にある子どもたちに対する「子どもの状況に応じた支援の実施」の3点を掲げた。そのうえで、居場所のありようを考えるうえで、「学童期(主に6歳〜12歳)」と「思春期(主に13歳〜18歳)」に分けて方向性案をまとめた。
寄せられた意見は55通76件で、学童期の居場所づくりに関する意見は43件、思春期の居場所づくりに関する意見は11件だった。方向性の策定にあたり「意見を踏まえて反映したもの」はなかったが、「今後の参考とするもの」は15件あり、このうち「思春期の居場所づくりに関すること」が10件で最多だった。
中学生の居場所は
学童期の居場所づくりに関する意見では、「学童クラブ」への補助金支出を求める声が多数寄せられた。「こども文化センターの老朽化」を指摘する声や、小学校の全学年が対象である「わくわくプラザ事業」と、低学年が対象から外れがちな「みんなの校庭プロジェクト」などの放課後児童健全育成事業を「分けて運営するべき」との指摘もあった。
思春期の居場所づくりに関する意見としては、「中学生が急に地域とつながるのは難しい。小学生から(地域と)かかわることが理想」「中学生は部活に入らないと居場所を見つけにくく、居場所が不足している」といった「中学生」に関する意見が目立つ。「貧困や家庭環境の問題を抱える子どもの『生き場所』が必要」と、複雑な生育環境にある子どもを気遣う声もあった。
今回の「方向性」は、今年度から策定が進む「総合計画第4期実施計画」や「第3期川崎市子ども・若者の未来応援プラン」の中で、考え方の基本となる。市の担当者は「地域ごとに子どもたちの状況は異なるので、具体的にどのような居場所を設けるかは、様々な形をとることになる。地域と連携しつつ、市としても部局間で工夫して進めていきたい」とした。