【川崎市】グランツリー武蔵小杉 初の合同防災訓練 消防署ら400人が参加
区内最大規模の商業施設「グランツリー武蔵小杉」で11月20日、同施設の従業員、中原消防署、中原警察署、中原区役所らの職員約400人が参加して、火災対応合同訓練を行った。今年開業11年目を迎えた同施設で、大規模な合同訓練が行われたのは今回が初。平賀達也支配人は「有意義な訓練ができた。街の防災意識が高まる契機になれば」と期待を寄せた。
(株)セブン&アイ・クリエイトリンクが運営する「グランツリー武蔵小杉」は、2014年11月に開業。約160店舗が入る。
同施設では、定期的にフロアごとに防災訓練を実施し、従業員教育に注力してきた。今回、中原消防署の働きかけによって、中原警察署や中原区役所なども参加して、初めて合同での訓練を実施することになった。
訓練は、従業員らが買い物、食事客らを務める中、4階フードコートで何者かが放火したことを想定。従業員が火災を発見し、通報すると同時に、フロアに備えられた防火シャッターも作動させた。従業員は放火地点を示すランプに向かって消火器で初期消火に務め、買い物客らの避難誘導も行った。到着した救急隊がテラスにいた逃げ遅れた客を救助し、消防隊員が4階に設置された室内消火栓の連結送水管から延ばしたホースで消火する訓練が行われた。
訓練後に行われた総評で、訓練に参加した400人を前に平賀支配人は「今までにない形での訓練になった。実際に火災が起きた際にどうするか。シャッターが下りるとどこに逃げていいかわからなくなる。頼りは従業員。どれだけ非常口を知っているか。多くの逃げ道の選択を持ってほしい」と従業員に呼び掛けた。消防署の担当者は「初動が素晴らしかった。皆さん真剣に取り組んでいた。今日は訓練だとわかっていたが、実際は突然に起きるもの。防災センターからの放送が肝になる。それを聞き逃さないようにしてほしい」と話した。
防災意識向上へ
中原消防署によると、これまで駅等で大規模なテロ対策訓練などを行ってきたが、商業施設でこれだけの規模の人が参加した訓練は初になるという。同担当者は「式本部の設置場所、消防隊の侵入経路なども確認することができた。グランツリーさんの気持ちが入った有意義な訓練だった」と振り返った。
平賀支配人は「従業員がいかに落ち着いて対応できるか。火災が起きた階以外は情報が伝わりにくい。情報伝達の部分も確認できた。お客さまと従業員の安全が一番。人が多く集まる場所でこうした訓練を行うことで、まちの防災意識が高まってくれれば」と話した。