【大西常商店】『ぶぶ漬けどうどす』に描かれる魅惑の京都迷宮へ、おこしやす
ようこそ、おおきに。映画ライター椿屋です。
みなさん、京都お好きですか? 扇子、お好きですか?
今回ご紹介する『ぶぶ漬けどうどす』は、そのタイトルを見てもお分かりのように、京都が舞台の物語。勘の良い人であれば、京都のいけずっぽい話なんかな?くらいの予想が浮かぶ、有名中の有名セリフを題名にもってくる攻めた作品! かと思いきや。いやいや、実はこれが、まさかのシニカルコメディ映画なのでございます。
主人公・澁澤まどか(深川麻衣)は、京都に強い憧れをもつフリーライター。夫(大友律)を東京に残したまま、義実家である京都の老舗扇子店で暮らしながら取材を重ね、友人の安西莉子(小野寺ずる)とコミックエッセイ「京都老舗赤裸々リポート」を描くうちに、どんどんと京都というまちに翻弄されていくことになります。
毎月1日と15日には赤飯を食べる? 洛中と洛外は対立している? 何か勧められたら断るのが礼儀? そもそも、「ぶぶ漬けどうどす」って実際に言うの?
有名無名な京都の風習問題が続々と出てくるなか、「なんでも言葉通りに受け取ったらあかんで」との言葉に、まどかは大混乱。
生粋の京都人としてまどかに助言してくれる女将(片岡礼子)が切り盛りする京料理店「おたけ」は、京の名店「たん熊 北店」で撮影された
よそさんである彼女が京都の正しき伝道師になるべく明後日の方向へと突っ走るなか、周囲を巻き込んで事態は思わぬ方向へと転がっていくことになります。
はたして、まどかは京都のまちに受け入れられるのか、否か。その結末は、ぜひ劇場で。
菖蒲打ちが大バズリ! “いけず女将”が出迎えてくれる扇子店
本作で主人公の嫁ぎ先として登場する「澁澤扇舗」は、実際の扇子店をロケ地としています。それが、京都の新たな土産物として注目を集める「いけずステッカー」のモデルを務めた大西里枝さんの営む「大西常商店」です。
先日ふらりと訪れたところ、しっかり映画のポスターが貼られておりました。
一歩足を踏み入れると、ずらりと並べられた扇子、扇子、扇子。
こちらの店先も、作中そのまま登場します。
まどかが店番をしているところへ突然やってきたテレビクルー。急遽、取材を受けることに
義母を演じる室井滋さんは、実は20年来の「大西常商店」ファン。オリジナルの扇子をオーダーされるほど
現役のおくどさん(竃)がある台所もそのまま使われており、床の間のある畳の部屋で食卓を囲むシーンも。
「大西常商店」は、扇子の製作・販売だけに留まらず、この立派な京町家と京の文化を後世へ伝えるべく、投扇興体験や京町家レンタルの事業も手がけているのです。ロケ地として白羽の矢が立ったのも納得でございますよ。
それもこれも、家業を継いだ里枝さんの手腕。扇骨をアレンジしたルームフレグランス「かざ」を生み出し、今夏にはさらにバージョンアップした新商品がお目見えします。乞うご期待!
そんな彼女のお家芸といえば、端午の節句に行われる「菖蒲打ち」。
その行事をきっかけにスタートした連載〈https://www.kimonoichiba.com/media/pick_column/onishi_familys_year/〉のオフショットから派生した変顔に目を付けた奇怪な(失敬!)会社〈https://71inc.jp/works/ikezu-sticker/〉のオモロ企画として販売された「いけずステッカー」で、気づけば“いけず女将”の座に君臨している若き社長ですが、変顔ばっかしてるわけやおへんのどす!
(1) Xユーザーの大西里枝 扇子屋女将さん: 「菖蒲打ち2024、8ラウンドが無事終了しました(肩も終了)前から見るか、後ろから見るか版。
京都の神髄を垣間見られる映画『ぶぶ漬けどうどす』をご覧になった後は、ぜひ「大西常商店」で本格的な夏の訪れに備えて扇子を1本、お買い求めくださいませ。
京都で行われた舞台挨前のロケ地巡礼で「大西常商店」を訪れた深川麻衣さん(写真左)と冨永昌敬監督
◎作品情報
『ぶぶ漬けどうどす』https://bubuduke.jp/index.html
6月6日(金)全国公開
出演:深川麻衣、小野寺ずる、片岡礼子、大友律、若葉竜也、松尾貴史、豊原功補、室井滋 ほか
監督:冨永昌敬(『南瓜とマヨネーズ』『白鍵と黒鍵の間に』ほか)
配給:東京テアトル
【公式SNS】
公式X(旧Twitter):@bubuduke_movie
■スポット情報
店舗名:大西常商店
住所:京都市下京区本燈籠町23
電話番号:075-351-1156
営業時間:10:00~18:00
夏季(4-8月)無休、冬季(9-3月)日祝休
交通:地下鉄四条駅から徒歩5分、阪急烏丸駅から徒歩7分