アンディ・ウォーホルとはいったい何者か?「ANDY WARHOL-SERIAL PORTRAITS」が2026年2月15日まで、原宿『エスパス ルイ・ヴィトン東京』で開催中
「ANDY WARHOL-SERIAL PORTRAITS」が2026年2月15日(日)まで、東京都渋谷区の『エスパス ルイ・ヴィトン東京』で開催されている。ポップ・アート界の巨匠、アンディ・ウォーホルのメディアにおける人物像の変遷、そして彼の芸術的実践における技法や様式の発展を、代表作を通して見て取ることができる。TOP画像=SELF-PORTRAIT (1978) Courtesy of the Fondation Louis Vuitton, Paris (C)The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc. /Licensed by Adagp, Paris 2025 Photo credits : (C)Primae / Louis Bourjac。
自身のイメージを自在に操るウォーホルとは
現代美術を代表するアーティスト、アンディ・ウォーホルの名作から知られざる作品までを集めた本展。東京、ミュンヘン、ヴェネツィア、北京、ソウル、大阪の『エスパス ルイ・ヴィトン』にて、これまで未公開だったフォンダシオン ルイ・ヴィトンの所蔵コレクションが展覧される貴重な機会となっている。
大量生産されたカラフルなシルクスクリーン作品で有名なウォーホルは、同時に映画監督、音楽プロデューサー、ショーデザイナー、テレビ司会者、セレブリティ雑誌の編集者など、さまざまな顔を持っていた。多彩な活動の中で、ウォーホルは自身のイメージを自在に操り、いくつもの別の顔を作り上げることを楽しんでいたといえる。
ウィッグにサングラスという出で立ちで謎めいた人物像を作り上げ、そのイメージを積極的にアピールすることで作品の売れ行きにつながるようにしたウォーホル。変装と自己演出の達人だったウォーホルは、さまざまなポーズで撮った写真やセルフポートレートでは多彩なキャラクターになりきっていた。ドラァグクイーンに扮した女装姿のポラロイド写真や、生涯にわたって手掛けた数々の「Self-Portraits」など、外見を自在に操る彼の手腕が見て取れる作品が並び、「アイデンティティやイメージの操作とは何か」という問いを観る者に投げかける。
初期のドローイングからシルクスクリーン作品までを展覧
1963-64年に証明写真機で撮影された《Self-Portrait》から1981年の謎めく《The Shadow》までが展覧される本展。
1950年代にボールペンで描かれた若い男性のドローイングなど、ほとんど公開されることのなかったこれらドローイングから、彼が初期に手掛けていた広告イラストに見られた、表現豊かで個性が色濃く出たスタイルをうかがい知ることができる。さらに《Unidentified Male》の私的なスケッチから、亡くなる前年に「フライト・ウィッグ(恐怖のかつら)」の名で親しまれるウィッグを被って証明写真機で撮った写真、そして工業的な手法を制作に取り入れる探究を続けた集大成ともいえる1980年代の《Ten Portraits of Jews of the Twentieth Century》にいたるまで、ウォーホルの一貫した探求の軌跡をたどるものとなっている。ポップ・アートシーンを席巻したアンディ・ウォーホルとは何者だったのか、改めて考える機会になりそうだ。
開催概要
ANDY WARHOL 「SERIAL PORTRAITS – SELECTED WORKS FROM THE COLLECTION」
開催期間:2025年10月2日(木)~2026年2月15日(日)
開催時間:12:00~20:00
休館日:ルイ・ヴィトン 表参道店に準ずる
会場:エスパス ルイ・ヴィトン東京(東京都渋谷区神宮前5-7-5)
アクセス:地下鉄表参道駅から徒歩4分
入場料:無料
【問い合わせ先】
ルイ・ヴィトン クライアントサービス☏0120-00-1854
公式HP https://www.espacelouisvuittontokyo.com/ja/
取材・文=前田真紀 画像提供=ルイ・ヴィトン
前田真紀
ライター
『散歩の達人』『JR時刻表』ほか雑誌・Webで旅・グルメ・イベントなどさまざまなテーマで取材・執筆。10年以上住んだ栃木県那須塩原界隈のおいしいものや作家さんなどを紹介するブログ「那須・塩原いいとこ、みっけ」を運営。美術に興味があり、美術評論家で東京藝術大学教授・布施英利氏の「布施アカデミア」受講4年目に突入。