上越地域医療センター病院 基本設計に着手できず 計画見直し中断
老朽化に伴い改築することになっている上越地域医療センター病院について、市は今年度、基本計画を見直して基本設計に着手する予定でしたが、現時点で作業ができないと見直しを中断したことが分かりました。主な理由は建て替えたあと、赤字経営が続く見通しであること、県が上越地域の医療体制を見直しているためです。市では施設を必要に応じて補修などしながら患者の受け入れを続け、建て替えの時期を引き続き検討することにしています。
これは、6日(金)に開かれた上越市議会厚生常任委員会で明らかになりました。
上越地域医療センター病院は令和2年3月、基本計画が策定され、令和7 年度に病院の敷地内に開院する予定でした。
しかしコロナ禍などの影響で計画が遅れ、今年度中に基本計画を見直して基本設計の着手を目指していました。
こうした中、コロナ禍以降は人件費や光熱費などが値上がりし令和4年度以降、実質的な赤字は毎年4億円を超えています。市によりますと改築をおよそ88億円かけて行なってもその後、赤字が続いて厳しい経営が続く見通しです。
さらに県が医療センター病院を含む上越地域の医療体制を見直していることや、上越総合病院を経営するJA新潟厚生連の財政状況が厳しいことなどを受け、市は基本計画の見直しを中断し、現時点で作業ができないと判断しました。
上越市健康福祉部 小林元 部長
「費用は増加傾向が続いている。特に令和4年度以降の増加が顕著。人件費と物件費の増加が目立つ。改築後の病院の収支は多額の赤字が続くものと見込まれる」
医療センター病院では必要に応じて補修などしながら患者の受け入れを続けます。
労災病院が令和7年度中に閉院するのに伴い、令和8年度からは歯科口腔外科や回復期の患者を受け入れます。このため令和9年度以降は黒字経営に回復する見通しも示されました。
合併した市町村が借り入れできる地方債「合併特例債」を活用できる期限が令和11年度末に迫る中、市では合併特例債に関わらず、国や県の補助金の活用を探りながら、基本計画の見直しに向けた検討を続けることにしています。