大分トリニータ 攻守に光る存在感 昇格へ導く伊佐耕平の自負 【大分県】
現在2勝5分1敗、順位は9位に位置する大分トリニータ。前節・大宮戦では終了間際の失点によって勝ち点3を逃したものの、上位との差は着実に縮まりつつある。ここから続く直接対決を制すれば、一気に順位を上げることができる。
そんなチームの最前線で、攻守において不可欠な役割を果たしているのがFW伊佐耕平だ。今季途中から採用された2トップの布陣で、存在感は日に日に増している。大宮戦では今季二つ目となるアシストを記録。狭いスペースの中でのトラップからスルーパスへとつなげた一連の動きは、前線の連係と判断力の高さを象徴するプレーだった。
伊佐の真骨頂は、守備にある。前線からのプレスを単独で仕掛けるのではなく、味方との連動を大切にしながら、相手のトラップやパスのタイミングを見極めて身体を寄せていく。その姿勢は片野坂知宏監督も高く評価しており、攻守両面でタスクを全うする点が大きな信頼を得ている理由だ。本人も、守備のスイッチを入れるタイミングをチーム全体と共有することを意識している。
大宮戦で先制点をアシストし、仲間のもとに駆け寄る伊佐耕平
攻撃面では、セットプレーにおいても重要な役割を担う。今季のチームはこの局面に特に力を入れており、練習でも重点的に取り組んでいるという。パターンの多さ、サインの活用、風や相手の動きに応じた即時の判断。伊佐は戦術理解と実行力を武器に、セットプレーを磨き上げている。
チーム全体では、守備の安定が見られる一方、攻撃における後方からの組み立てや距離感には改善の余地がある。伊佐自身もその点を課題として捉え、セットプレーに頼らず流れの中からの得点機会を増やすことが次のステップだと考えている。
ピッチ内で体を張り、声を出し、仲間を鼓舞する姿には、勝敗を超えた責任感と戦術的な冷静さが同居している。今季はこれまでと異なり「こだわりすぎず、良い意味で肩の力を抜いている」という内面の変化が、そのプレーからもにじみ出ている。
リーグ戦は序盤戦を終えたばかり。順位を気にするのは時期尚早だが、チームの歯車を円滑に動かす潤滑油として、伊佐耕平の存在は今後ますます重要になってくる。
「チームの勝利が全て」と言い切る
(柚野真也)