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絶景!日本棚田百選を眺める里山カフェ!心ほどけるごはんで静かな贅沢『棚田屋』(福岡・東峰村)【まち歩き】

福岡・九州ジモタイムズWish

【"ここにしかない景色"】
福岡県東峰村・竹地区。標高280〜420mの急斜面に、400枚もの棚田と24戸の集落が連なる。視界の先には、1999年に「日本棚田百選」にも選ばれた“竹の棚田”が、幾重にも重なる曲線を描きながら続いている。
そんなダイナミックな棚田のすぐそばに、近代的なデザインがひときわ印象的な建物が現れる。交流拠点施設として2019年に新築されたレストラン棟「里山カフェ 棚田屋」だ。村の景観に配慮し、伝統的な家屋のプロポーションを踏襲しながらも、建築としての存在感は抜群。

『棚田屋』の名物といえば、やはり「棚田屋土鍋セット(税込2200円)」。まず運ばれてくるのは、季節の前菜。取材日の冷菜は豆乳のパンナコッタにわさびの葉の醤油漬けを添えたもの。ほのかな甘みとピリッとした辛みのハーモニーに、村野菜の小鉢が続く。鶏肉とピクルスの組み合わせも絶妙で、前菜だけでも物語が始まる。メインには鶏もも肉と春野菜のソテー。赤じその塩が香りを引き締め、味噌汁は地元・カネダイ味噌を使ったやさしい味。

そして土鍋ごはんの登場だ。蓋を開ければ、炊きたての湯気が立ちのぼり、東峰村の棚田米がつやつやと輝く。使用する水は、名水百選にも選ばれた岩屋湧水。鶏肉とキノコを炊き込んだご飯は、ふっくらと豊かで、噛むほどに旨みが広がる。

ひとつひとつが「村の風土」を語ってくれるような、丁寧な仕事が並ぶ。
食後には、野菜のパウンドケーキと酢みかんのジャムを添えたデザートプレート。中には玉ねぎや人参、ピーマンが練り込まれ、甘さ控えめの素朴な味が心に沁みる。最後のひと口まで、自然と調和した穏やかなおいしさが続いていく。

【器にこめられた土地の記憶】
料理を盛る器にも、棚田屋ならではのこだわりが光る。使用されているのは、東峰村が誇る伝統工芸「小石原焼」と「高取焼」。どれも手作業で作られた一点もの。使うごとに土の温もりと素朴な存在感が伝わってきて、料理そのものを引き立てている。
「この土地の風土とともに食事を味わってほしい」という静かな想いが込められているように感じた。

【海を越えてたどり着いた、理想の厨房】
広島出身の津田さんは、かつてイタリアで8年間料理修業を積み、その後は福岡・大名の飲食店でも腕を振るった。諸事情により一度キッチンを離れるも、料理への想いが再燃したタイミングで彼を迎え入れたのが、この東峰村だった。

地域おこし協力隊としての赴任を経て、村の自然と人々に魅了され、この地での暮らしを選んだ津田さん。
棚田で育った米、名水、地域に根づく野菜――そのどれもが、料理というかたちで新たな命を吹き込まれ、この土地の魅力を語る手段になっている。津田さんの料理には、この村の風景と空気、そして未来への静かな希望が込められているようだった。

【棚田がくれた、つながりの食卓】
豪雨災害を乗り越え、村人が力を合わせて守り継いだ竹の棚田。その一角で、いま津田さんがつくるのは、ただの“おいしい料理”ではない。地のもの、地の器、地の水…すべてが東峰村というひとつの風景の中で、ひと皿になる。それはまるで、この土地と人と自然のつながりをぎゅっと閉じ込めたような味。

「食べる」を通して、風景の中にとけこんでいく

「また来たいな」じゃなくて、「帰ってきたいな」。そんな気持ちになる場所が、この棚田屋にはある。
土鍋の湯気の向こう、棚田のきらめきの中に、誰の心にもやさしく寄り添ってくれる一膳が、今日も待っている。

■『里山カフェ 棚田屋』
住所:福岡県朝倉郡東峰村宝珠山5171-1
TEL:0946-23-8400
営業日:金・土曜、日祝日
営業時間:11:00~15:00
駐車場:あり

メニュー(税込)
・棚田屋土鍋セット 2200円
・棚田屋ランチプレート 2000円
・蒸籠セット 1800円

[HP]
https://toho-iwayacamp.com/cafe_tanadaya

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