どくさいスイッチ企画「一刻も早く始めて、一刻も早く辞めればいい」会社員×芸人が語る“自分だけの肩書”の育て方
「会社名と肩書だけで自分を語り尽くせているだろうか?」。そんな問いかけから始まった連載「肩書+(プラス)」。本業の「幹」を大切にしながら、自分らしい「枝」を伸ばし、多角的に活躍する人々の仕事観を探ります。
今回ご登場いただいたのは、 「R-1グランプリ2024」アマチュア初のファイナリスト、どくさいスイッチ企画さん。 会社員としての本業がありながら、同大会で4位という好成績を収め、知名度を上げたことで上京を決意。本格的に芸人のみを続けるかと思われましたが、彼が選んだのは会社員を続けながらの芸人活動でした。
後編では、R-1グランプリでの躍進がもたらした人生の転機に迫ります。アマチュアとして決勝進出という快挙を成し遂げた後、現在も会社員を続けながら芸人活動をする理由は? 今後の目標、「自分だけの肩書」について、どくさいスイッチ企画さんが描くキャリアの形をさらにひも解いていきます。
前編:「社会人お笑いがサードプレイスだった」アマチュア初のR-1ファイナリスト・どくさいスイッチ企画が明かす“趣味”のお笑いが、人生の“幹”になった理由
R-1決勝をきっかけに決断した上京
――「R-1グランプリ2024」でアマチュア初のファイナリストになった後、上京を決めた理由を教えてください。
どくさいスイッチ企画(以下、どくさい) 関西では吉本興業に所属していないと仕事を得ることがとにかく難しい環境だと感じていたからですね。ただ、吉本のオーディションライブで勝ち上がる自信もなかったですし、すでに30代後半で若くもなかった。
その点、 東京にはフリーでも出られるライブやイベントが多くて、仕事をしながらでもやっている人が多かったので、仕事としてたくさんのライブに出るために上京を決断しました。
――結婚されて間もなかったと伺いましたが、上京にあたってご家族の反応は?
どくさい 関東出身だったこともあり、妻とはずっと「関東に出たいよね」と話していたので、むしろ背中を押してくれました。 「会社員として働いているときよりもお笑いをやっているときのほうが楽しそう」とも言ってくれました。会社を辞めると伝えたときも「経済的な話はいいからまずやってみたら?」とすんなりOKをもらえました。
どちらかというと、うちの妻は会社員を続けることに反対だったくらいです(笑)。妻との出会いが大喜利きっかけだったこともあると思うので、珍しいケースかもしれません。
――才能に惚れていらっしゃったんですね。ちなみに、ご自身の両親や奥様のご両親の反応はいかがでしたか?
どくさい 僕の親に話をしたときは「いつかこうなると思っていた」と言われました。 蓄えがあるかどうかだけを確認されて「いいんじゃないか」と応援してくれました。
でも、妻のご両親は絶対に反対するだろうと思っていました。結局、事後報告になってしまったのですが、親御さんは 「うちの娘もそういう覚悟で嫁いだと思うから」と言ってくれて、怒られなかったんです。 本当に運が良かったとしか言いようがないです。説得のプロセスが一切なくて、ありがたい限りでしたね。
働きながら芸人を続ける理由
――現在も契約社員として働きながら、芸人活動を続けていると伺いました。
どくさい 大喜利仲間の先輩から紹介してもらった仕事で、 週2で経理関係の契約社員として勤務しています。その他にも在宅アルバイトを後輩から紹介してもらって、空いた時間にライブや創作活動をしています。
契約社員のほうは、出勤日も特に決まっていなくてフレキシブルに対応してくれるので、ライブと仕事を両立できていますね。
――会社員を辞めて、完全に芸人一本にしなかった理由はありますか?
どくさい お笑いがとにかく稼げないということは周りの芸人から聞いていましたし、元々働きながらお笑いをやっていけていたので、それを続けようと思っていました。 家族もいるので、ある程度安定した収入源は持っておきたいというのが正直なところです。
あとは、 いろんなキャリアの芸人が活躍しているので、契約社員であることや経理で働いていることが何かに生きてくることがあるのかも とは思っています。
――現状の収入の割合はどれくらいでしょうか?
どくさい 月によってものすごく変動するんですけど、割合でいうと お笑い:会社員=1:2ぐらいですかね。 少しずつお笑いの割合を増やしていけたらと思っていますが、現状はライブ出演の交通費などを考えるともっと少ないですね。
養成所に通うなら、1本でも多くライブに出たい
――事務所への所属などは考えていないんでしょうか?
どくさい フリーのままでいいと考えていると思われがちですが、むしろ事務所に入りたいとは思っています。ただ「会社員を辞めてお笑い一本で」という条件だと収入面で難しい。
それから「養成所に入ってください」ということも言われますが、37歳という年齢的に1年間養成所に通うよりも、1本でも多くライブに出たいという思いがあるんですよね。
そんな感じで駄々をこねている状態でどこからも声がかかっていないだけなので、チャンスがあれば事務所には所属したいと思っています。
――コント以外にもさまざまな活動をされていますが、その原動力や狙いはありますか?
どくさい とにかく「お笑いをやろう」という思いで関西を離れたので、お笑いをやらなかったら何のために来たんだとなっちゃうので、それが一番にあります。
ただ 一つのことに集中するというより、幅広くいろんなことに手を出してみる段階なのかなと思っているので、ネットに投稿していた短編をまとめて小説を出させてもらったり、大喜利ライブにも出演させてもらったり、創作活動全般に関われるようにしています。 今はいただいたお仕事をなるべく全部やってみるスタンスです。
とはいえ、 「R-1グランプリ」に向けての一人コントに関しては自分にとって大きな位置を占めていますよ。
目標はR-1優勝と正月のネタ番組出演
――今後の目標や展望があれば教えてください。
どくさい 「R-1グランプリ」で知られた人間としては、いつか決着をつけたいと思っています。出られるうちは出たいですし、優勝したい。
それから 正月のネタ番組「爆笑ヒットパレード」に出てみたいんですよね。 あれに出られるのは、売れっ子か賞レースで結果を出した人だけなので、「R-1グランプリ」で優勝するか、何かしらの形で実績を作って、あの場に立ちたいと思っています。親孝行にもなるかなと……。
――来年や5年後のプランなどはありますか?
どくさい 近い将来の話であれば、理想とする年収は維持していたいという目標はあります。 売れる売れないよりも「今の生活を安定して続けられる」というラインを維持することのほうが大事 だと思っていて……。そのためならば会社員を続けることも今のところは問題ないですね。
“まずやってみて、合わなければやめたらいい”
――何か新しい肩書を持ちたいと思いながらも、今の働き方に迷っているビジネスパーソンの方にメッセージをお願いします。
どくさい まずは一刻も早く始めて、一刻も早くやめたらいいと思います。 僕もいろいろなことを試しましたが、合わなかったらやめていいんです。僕も楽器はすぐにやめましたし(笑)。逆に、落語やコントはずっと続いている。 要は「自分が面白いかどうか」「自分が続けられるかどうか」だけなので、自分の気持ちに正直であればいい。 自分の意志で始めて、自分の意志でやめることができれば、悔いは残らないと思います。
それに、 やめたってまた始めたらいいんですよ。 僕もコロナ禍で落語は一度やめてしまいましたが、今またやっていますし。あんまり 「やめると決めたから」とも思わないほうがいいし、何かを始めるのに遅すぎることはない と思います。
――最後にご自身に肩書を付けるとするならば、何になりますか?
どくさい “コントもできるフリーランス”と名乗っています。上京してから僕自身はフリーランスになったという意識のほうが強くて、たまたまコントもできるというだけと思っています。芸人と名乗ると重く感じるんですが、この肩書なら今の自分にしっくりくる気がします。
会社員として、芸人として、自分らしいスタイルを模索しながら「まずはやってみる」というスタンスで活動するどくさいスイッチ企画さんの姿は、肩書に縛られずに生きようと考えているビジネスパーソンにとってヒントになるはずーー。
前編:「社会人お笑いがサードプレイスだった」アマチュア初のR-1ファイナリスト・どくさいスイッチ企画が明かす“趣味”のお笑いが、人生の“幹”になった理由
プロフィール
どくさいスイッチ企画
1987年生まれ。大学時代に「全日本学生落語大賞」で策伝大賞(最優秀賞)を受賞し、就職後も社会人落語などで活動。「R-1グランプリ2024」ではアマチュアとして史上初の決勝進出を果たし、4位の好成績を収めた。現在もフリー芸人でありながら契約社員としても勤務(※)。また、落語家として活動するほか文筆業も行っており、短編集『殺す時間を殺すための時間』(KADOKAWA)をリリース。第六回単独ライブ『えっへん』を8月24日(日)に東京・ユーロライブ、8月28日(木)に大阪・楽屋Aで開催。
(※)6月中旬取材時点
X(旧Twitter) @dsatwalle YouTube どくさいスイッチ企画と銀杏亭魚折 note どくさいスイッチ企画
取材・文:瀬戸大希
撮影:求人ボックスジャーナル編集部
編集:求人ボックスジャーナル編集部 内藤瑠那
【どくさいスイッチ企画さん直筆サイン本プレゼント】フォロー&リポストキャンペーン 応募要項
求人ボックス公式Xアカウントフォロー&該当投稿をリポストした人の中から抽選で3名様に、どくさいスイッチ企画さんの直筆サイン入り書籍『殺す時間を殺すための時間』をプレゼント。
■キャンペーン応募期間
2025年7月18日(金)~2025年7月31日(木)
■キャンペーン参加方法
【ステップ1】X(旧:Twitter)にて求人ボックス「@kyujinbox」をフォローしてください。
▼
【ステップ2】「@kyujinbox」がキャンペーン告知をした投稿を、応募期間中にリポスト(RT)してください。
▼
【応募完了!】
締め切り後当選された方には「@kyujinbox」からDMにてご連絡を差し上げます。フォローを外さず、DMを開放してお待ちください。
以下の注意事項をよくご確認のうえご応募ください。
■注意事項
※必ずご自身のアカウントを“公開”にした状態でリポスト(RT)してください。アカウントが非公開(鍵アカウント)の場合はご応募の対象になりませんのでご注意ください。
※「いいね」はご応募の対象になりませんのでご注意ください。
※ご応募はお一人様1回限りとなります。(複数アカウントを用いた複数のご応募はご遠慮ください。なお、複数アカウントを用いた複数のご応募、その他当社が不正と判断するご応募は抽選の対象外とさせていただきます。)
※未成年の方は、親権者等の方が注意事項に同意いただいた上で本プレゼントキャンペーン(以下「本キャンペーン」といいます)へのご応募をお願いいたします。
※当選の発表は、@kyujinboxからのDMをもって代えさせていただきます。
※当落についてのお問い合わせは受けかねますので、ご了承ください。
※本プレゼント品は非売品です。譲渡・転売はご遠慮ください。
※いただいた個人情報は、本キャンペーン以外の目的には使用しません。
※当選された場合であっても、「■キャンペーン参加方法」に記載のご応募条件を充たしていないことが判明した場合、親権者等の方の同意がないことが判明した場合、不正アクセスがあったことが判明した場合、その他当社が不正と判断する行為を行ったことが判明した場合には、当選を取消・無効とさせていただく場合がございますので、ご了承ください。
※本キャンペーンの内容・期間につきましては当社の都合により予告なく変更(期間の早期終了、期間延長を含みますがこれらに限られません)、中止、終了される場合がありますのでご了承ください。
※アプリの設定、システムエラー等によって応募ができない事態が発生した場合等いかなる事情があっても、日にちを遡り、本キャンペーンの対象として適用することはいたしませんので、ご了承ください。
※本キャンペーンの応募等に関する通信費は、お客様自身のご負担となります。
※本キャンぺーンは株式会社カカクコムによる提供です。本キャンペーンについてのお問い合わせは、求人ボックスのお問い合わせフォームまでお願いいたします。