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ガンダム最新作『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』大ヒット公開中!“ネタバレなし”でポイントを解説

アットエス

SBSラジオ「TOROアニメーション総研」のイチオシコーナー、人気アニメ評論家の藤津さんが語る『藤津亮太のアニメラボ』。今回は『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』についてお話を伺いました。※本記事は上映開始直後の1月20日放送分を編集しています。以下語り、藤津亮太さん

ガンダム最新作が大ヒット!

今日は2025年の1月17日から上映が始まった『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』についてネタバレなしでお話をしようと思います。これはTVシリーズの放送に先駆け、一部を劇場上映用に再構築した作品です。これが大ヒットしており、上映3日で興行収入5.9億円。ほぼ6億円でNo.1です。

TVシリーズがいつから放送されるかはまだ発表されていませんが、おそらく今年中なのではないかといわれています。

今回は、どういう心構えで見たらいいかのヒントをお話したいと思います。

そもそも『機動戦士ガンダム』シリーズを手掛けたのは富野由悠季監督ですが、富野監督以外が「ガンダム」を作るということが、90年代から起きていました。特に『機動戦士Vガンダム』の後に作られた『機動武闘伝Gガンダム』『新機動戦記ガンダムW』『機動新世紀ガンダムX』の平成三部作はかなり特殊で、“ガンダムを使ってガンダム論を論じている”といった趣が強い作品でした。

「ガンダム」には呪いのようなものがあり、「自分にとってガンダムとは」とか「ガンダム人気という現象は何だったのか」ということを、「ガンダム」の名を冠した作品を作りながら、考えていくシリーズだったんですね。

その後、富野監督自身が『∀ガンダム』で全てのガンダムを全肯定するというコンセプトを表明し、もろもろあった「ガンダム論」をリセットします。

その後作られた『機動戦士ガンダムSEED』は、かつての「ガンダム」の要素をサンプリングしたものの、過去のガンダムシリーズに縛られているわけではありませんでした。こうして呪いからも自由になり、その地平の上に『00』や『AGE』、『鉄血のオルフェンズ』、『水星の魔女』も作られることになります。

つまり、今、新しい「ガンダム」を作るには、まっさらの大地に「ガンダム」という名前の新しいものを作るのか、それとも過去の「ガンダムの呪い」を改めて引き受けるかという2択になるわけです。ここについて今回の『GQuuuuuuX』がどちらを選んだか、が作品鑑賞の一つのポイントになります。

では『GQuuuuuuX』の監督である鶴巻和哉監督は、「ガンダム」とどんな接点があるのかを確認しましょう。そのヒントになるのが鶴巻監督が手がけたOVA『フリクリ』というOVAシリーズの第1話。主人公のナオ太と父親の口げんかのシーンです。

ここで父親のカモンが「それがナオ太のガンダムハンマーってわけかい?いやだからガンダムだけど所詮ロボットアニメなんですよっていうトミノ的なあれだろう」というセリフをいいます。『フリクリ』は脚本も『GQuuuuuuX』と同じ榎戸洋司さんですし、おそらく鶴巻監督はトミノ的な何かを面白がっている人、という感じがします。となると、「ガンダムの呪い」を引き受けるのかなという感じが漂ってきます。

そして「呪い」といえば、鶴巻監督は『トップをねらえ2!』という作品もつくっています。こちらも脚本は榎戸さんです。これは庵野秀明監督の『トップをねらえ!』の続編なんですが、この企画を考えるにあたり、鶴巻監督は「『トップをねらえ!』がオタクの話だ」という解釈を前提にして『2』を構想したそうです。

『トップをねらえ!』には、宇宙怪獣と戦うため宇宙船に乗り込んだ主人公ノリコが、地球に戻って来るとウラシマ効果で同級生はみんな年齢を重ねているという展開があります。鶴巻監督は、そこを「周りのみんなは社会的に成長していくけれど自分たちオタクはそのままで世間とどんどんずれていくよね」というふうに「オタク論」として読んだわけです。そして『トップをねらえ2!』にもやはりオタク論の要素が必要だと考えて、基本設定を組み立てているんです。

こういう過去の作品の手つきをみると、これはやはり「トミノ的なあれだろう」という感じで、今回の作品ではガンダムの呪いを引き受けるのではないか……と予想できるわけです。こんなふうに監督の過去のフィルモグラフィーからも『GQuuuuuuX』という作品を考えることはできるかなと思います。

実際に見た感想としては、効果音の重要性を大変強く感じました。効果音って世界観と通じる部分がありますよね。こういう風にこの音を使うのかというところが多々ある作品でした。その辺りは耳を澄ませていただけると、より楽しめるのではと思います。

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