福島・栃木を巡る2泊3日の渓流釣り旅 「雪代ヤマメ」や「頂鱒」と対面成功
福島・南会津と栃木・塩原温泉をめぐる2泊3日の渓流釣行。雪代の本流、通行止めの林道、大物との格闘。春先の不安定な自然と向き合いながらも、出会いと釣果に恵まれた旅の記録をレポートします。
2泊3日の渓流釣り遠征
福島県・栃木県の渓流解禁にともない、南会津の舘岩川周辺と塩原温泉の箒川へ行ってきました。ナビを設定し、車を出したのは快晴の午前7時。
今回は日光を越え、五十里湖の様子を伺いながら会津西街道を行くルートです。入漁券の購入と今年の状況を確認するため、漁協の舘岩支部を目指します。昨年の禁漁直前に訪れたときは、大雨後の増水した渓流でした。
南会津の雪解け渓流
福島県に入ると、山々は根開きの様相で、外気温は8℃。桜が満開の東京から季節を巻き戻すようなドライブは、とても新鮮に感じられます。
入漁券の購入と注意点
午前11時、漁協で話を聞くと、昨年同様、放流日や放流場所は当日まで分からないとのこと。各月の放流量は決まっているが、放流マップで禁漁区だけは必ず確認してほしいとのことでした。
舘岩川で渓流釣り開始
今夜の宿は湯ノ花温泉なので、半日ほどの釣りを開始します。昨年のポイントである大堰堤下流へ行ってみることに。農道には雪が残っており、慎重に駐車スペースを確保。畔道を進みます。午後の本流には雪代が出ていると覚悟の上で、流れの緩い場所を探し、岩畳の上から竿を出すことにしました。
入水は不可能で、もし転落すれば命の保証はないと思われる流れです。水量が多く、うっすらと笹濁りもあるため、竿は7m、0.6号の通し仕掛けで、ガン玉は5Bと4Bをダブルで使用。針は岩魚用を使いました。
マーカーは3カ所、最下部は針先から3mの位置に設定。両手で竿をコントロールしなければ、水流で竿が煽られてしまうような状況です。
舘岩川アクセス
・電車:会津鬼怒川線「会津高原尾瀬口」下車 → タクシー利用
※詳細は舘岩広域観光案内所HPまたは南会津西部漁協HPを参照
・車:東北自動車道「西那須野塩原IC」より
→ R400 → R121 → R352 を経由し南会津方面へ
雪代ヤマメをゲット
20分ほど繰り返しエサを流し続け、一瞬止まった目印に合わせると、18cmのヤマメがヒット。リリースの予定でしたがダメージがあったため、キープさせていただきました。
その後、大渕から22cmのヤマメが来たので一安心。小型ながらも美しい雪代のヤマメに出会えたことで、今年の渓流釣りは幸先の良いスタートとなりました。
雪代増水のため納竿
時折聞こえる堰堤からの轟音が次第に大きくなってきました。雪代が増えてきたようです。仕掛けを入れられるポイントも少なくなり、無理をせずに支流の鱒沢川を視察することにしました。期待が持てれば、明日入渓を検討します。
30年前、春の鱒沢林道を上って良い釣果に恵まれたことが思い出され、15時ごろ林道を渓を見ながら30分ほど走りましたが、淵も浅く、今回は最盛期に訪れることに。森も暗くなり、日も傾いてきたので、楽しみにしていた湯ノ花温泉の宿へ向かいます。
湯ノ岐川上流を釣査
翌朝、暖房の効いた部屋から湯ノ岐川を眺めると、雪代はさほど多くなく、外気温は4度。残雪の山々と一面の雪景色の畑を横目に、田代山林道を通って湯ノ岐川上流を目指します。水引集落の堰堤では、1台の車がルアーで入渓していました。
林道途中に通行止めの標識があり、除雪されていない林道は1kmほどラッセルになると思われます。目指す枝沢までは1kmあり、今夜の宿は塩原なので、近場の沢を探すことにしてUターンを決断しました。
安越又川の釣り場へ
私の腕では箒川でのイワナは厳しいと思い、なんとか釣れる可能性に期待して檜枝岐の安越又川へ行ってみることにしました。林道沿いの高低差の少ない下流域に期待し、若き日の釣行を思い出しながら向かいます。
林道は通行止め
R352を右折し、居平の集落から林道へ入ろうとしましたが、雪の壁で通行止め。今回は数日前の雪で、昨年より雪解けが遅れているようです。
6月の渓に期待を寄せ、塩原温泉・箒川へ向かうことに。女将にお願いしていた「シャク(山人参)」の炊き込みむすびをほおばりながら、早春の南会津を出発しました。
塩原・箒川釣行に備える
峠のトンネルを越えて山を下ると、塩原温泉が箒川沿いに並び、春の里川らしい雰囲気が漂います。上流部は穏やかで、南会津の渓相とのギャップを楽しめそうです。
雪の消えた川原は開けていて、小さな堰のまわりには釣り人の姿も。コンビニで明日の入漁券を購入し、状況を尋ねた後、釣り人のもとへ行ってみました。
箒川の攻略法を地元釣師に聞く
釣果を見せてもらうと、尺ヤマメを含む20〜25cm級が10匹ほど。解禁4日目で魚がスレており、イクラやブドウ虫では食わないとのこと。解禁日は大混雑で、駐車スペースもなかったそうです。
彼は翌日は来ないとのことで、生きた川虫「ドブチョロ」を譲っていただき、クーラーの雪を使って保管することに。宇都宮から来たという彼にポイントも教えていただき、ありがたいスタートになりました。
箒川で釣行開始
朝8時、昨日彼が入っていたポイントに行くと、すでに別の釣り人がいました。挨拶に近づくと上流へ立ち去ってしまったため、釣果は確認できませんでしたが、竿を出すことにしました。
川幅はありますが、分流を狙うには5.3mの竿で十分。中硬調の竿に、天上糸1m、道糸0.6号の通し仕掛け、針はがまかつ渓流5号を使用。
川虫針は切らしていたため軸太ですが、サイズは合わせてみました。昨日の釣り人は袖針5号で、川虫を踊らせるように餌付けしていました。
箒川アクセス
・電車:東北新幹線「那須塩原駅」下車 → タクシー等で移動
・車:東北自動車道「西那須野塩原IC」より R400 を塩原温泉方面へ
※詳細は塩原漁業協同組合HPを参照
25cmヤマメをゲット
歩道から川虫で1投目。分流の葦の脇を流すと、3度目の流しでマーカーが動き、25cmのヤマメがヒット。
足元に抜き上げると放流魚で常設釣り場のような感もありますが、会津では貧果だったため、ありがたくキープ。その後も立て続けに2匹のヤマメが釣れ、昨日の釣り人に感謝です。
ブドウ虫に23cmの頂鱒
アタリが止まり、少し下流の落ち込みをブドウ虫で流すと、小気味良い引き。釣れたのは虹鱒。箒川の虹鱒は身がオレンジ色で「頂鱒」と呼ばれており、エラもピンクで美しい魚体でした。
渓相は穏やかですが水量はあり、ウェーダーも濡らさずに岸釣りが続きます。
箒川で大物ヒット
落ち込みで軽く合わせた竿に、大きな手応え。大物です。足場はよいのですが水面まで2mほどあり、取り込み場所もありません。スロープを使って下流に回り込もうとしますが、魚は上流の葦の際へ逃げ込もうとします。
ハリスが切れるか、針が伸びるかと心配になりますが、針は軸太、ハリスはナイロン0.6号の通し。中硬の竿は満月のようにしなり、柔らかな竿が仕掛けを守ってくれます。
ただしパワーが足りず魚が浮きません。まるでヘラ釣り中に鯉が掛かったような状況です。
現れた燻銀の魚体
魚をあやしながら下流に誘導すると、一瞬浮いた魚体は40cm超の鱒。燻銀に輝く立派な魚です。
流心へ逃げる魚に竿を立てて耐えますが、なかなか止まりません。この時、私は気づかぬうちに入水しており、50cmほどの水深にベストが浸かっていました。夢中になり、友釣りをしているような錯覚すら覚えました。
大物を仕留めることは叶わず
魚の下流でランディングを狙おうと竿を回しましたが、魚は私の動きを見て、流れに乗り堰へと突進。竿とラインが一直線になった瞬間、なす術はありませんでした。
約10分間のドラマでした。天上糸の下、0.6号のラインと目印を残して、魚は堰の下流へ消えていきました。小さな針はそう簡単には外れないはずです。もし、この魚に出会った方がいたら、優しくリリースしてあげてください。
放心状態で竿がやけに軽く感じます。その後、20cmほどのヤマメとウグイを追加したところで、小雨が降り出したため納竿としました。
福島・栃木釣行の振り返り
桜も咲き、東京の暖かさに心が躍り、南会津へ岩魚釣りに向かいましたが、結果としては惨敗に終わりました。湯ノ花温泉周辺の桜の開花時期は、札幌と同じくらいだそうです。
小沢の杣道もまだ雪が深く、なにより林道の通行止めは久々の“アウト”でした。今年は雪が多いとは聞いていましたが、やや侮ってしまった感があります。
本流は長竿が必要
雪代が出ている本流では、長竿がないと釣りにならないことも実感しました。ルアー釣りは、私の腕では通用しないほどの難しさでしたが、それでも型を見ることができたのは幸運だったと思います。
数カ所を巡った支流は、あと1カ月もすれば竿を出せる状態になっているでしょう。箒川では、前日の現地調査が功を奏し、釣り人との出会いが釣果に直結しました。
川虫1匹掛けの小さな針に食らいついた大物は、私にとって忘れられない釣りのハプニングであり、大切な思い出となりました。
また、初めて釣った「頂鱒」もとても美味で、釣り談義のページがまた一つ増えたようです。
<中山祐司/TSURINEWSライター>