FP推奨、ボーナス使い道の黄金比率は?すぐ無くなる人の特徴も
「せっかくのボーナスだから何か良い物を買いたい」「でも将来のことも考えないと…」。
ボーナス時期になると、多くの人がこのような葛藤を抱えるものです。20~30代は結婚やマイホーム購入など大きな支出が控えることも多く、ボーナスの使い道に悩む人も少なくありません。この記事では、2024年のボーナス支給実態データや、ボーナス活用の「黄金比率」の考え方を紹介します。
20~40代、2024年夏のボーナス平均支給額は?年代別データ
厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によると、2024年夏の一般労働者(パートタイムを除く)の夏季賞与(ボーナス)平均支給額は約41.4万円でした。前年比で約2.3%増となっており、景気回復の兆しが見られます。
また転職サイトdodaが2024年11月に公開した『ボーナスの使い道ランキング【最新版】』によると、ボーナスが支給されていると回答した社会人1万5000人の年間平均支給額は106.7万円(男性121.9万円、女性77.7万円)でした。
これは前回調査の107.1万円から0.4万円の減少です。
内訳をみると、冬のボーナスは平均50.4万円で0.3万円の減少、夏のボーナスは平均51.0万円で0.2万円の増加、その他のボーナスは5.3万円で0.3万円の減少となっており、全体としては前回とほぼ同水準となっています。
調査方法や調査対象によって金額の違いがありますが、これはあくまで平均値であり、業種や企業規模、個人の勤続年数などによって大きく異なります。製造業や金融業などの大手企業では平均を上回るケースも多いようですが、一方でそもそもボーナスの支給がないというケースも少なくありません。
みんなはボーナスを何に使っている?
前出の転職サイトdodaの『ボーナスの使い道ランキング【最新版】』(2024年11月公開)によると、20代・30代・40代・50代の全年代の2024年の夏のボーナスの使い道ランキングは以下のようになっていました。
旅行・レジャー:37.8%
生活費の補填:31.6%
趣味・娯楽:28.3%
交際・外食費:21.0%
ローンや借金の返済:17.2%
投資・資産運用:16.8%
衣料・美容費:12.0%
全て貯金・預金に充てた:11.3%
家電・家具の購入:9.2%
習い事・自己投資:4.2%
車・バイクの購入:3.9%
その他:3.0%
※複数回答可のため合計は100%を超えます
旅行やレジャーなどの余暇費用の割合が最も多いのですが、賃金がなかなか上がらないことや近年の物価高を反映して生活費の補填に回しているという回答も目立ちます。
「ボーナスがいつの間にか消える人」の4つの特徴とは?
ボーナスが入っても、数週間後には「あれ?何に使ったっけ…」となってしまう。FPである筆者がこれまでの相談者さんを見てきた中で、そうした人には共通した傾向があります。
1)計画性がない
「何に使うか」を事前に決めていないと、その場の勢いや衝動で使ってしまいがちです。特に「ボーナスだし」という心理的な緩みが無駄遣いの原因になります。
2)「臨時収入」という認識
ボーナスを「臨時収入」と捉えると、気軽に使ってしまう傾向があります。実際にはボーナスも年間収入の一部であり、計画的に活用すべき大切な収入です。
3)周囲の目や流行に影響されやすい
SNSで友人の高級品購入や豪華な旅行を見て、「自分も」と身の丈に合わない出費をしてしまうケースもあります。特に20代や30代の人は要注意です。
4)「ご褒美消費」が習慣化している
ストレス発散や“自分へのご褒美”が習慣化すると、気づけばお金が残らないという状況に陥ります。
ボーナスの使い道の黄金比率
ボーナスの使い方に迷ったら、一般的に以下のような「50-30-20ルール」による配分が理想とされています。
「50-30-20ルール」
・50%:将来のための貯蓄や投資
・30%:ローンや借金の返済
・20%:自分へのご褒美
もちろん、ライフスタイルや家計の状況によって最適な比率は変わります。例えば奨学金の返済や住宅ローンを抱えている場合は返済の割合を高めに、独身で貯蓄が十分にある場合は消費の割合を少し多めにするなど、大切なのは「バランス感覚」です。
黄金比率を適用する際の注意点
・極端な使い方は避ける:全額貯金・全額消費はどちらも極端です。バランスが重要です。
・自分の状況を正確に把握する:住宅ローンや教育費など、将来の大きな出費を見据えた計画を立てましょう。
・将来の収入見通しも考慮する:年齢や業種によっては、収入が減少する可能性も考慮に入れましょう。
FPが提案する5つのボーナス活用法
FPである筆者がおすすめする具体的なボーナスの活用アイデアは下記の通りです。
1)資産形成をスタート
特に20~30代のうちは複利の効果を最大限に活用できるタイミングです。ボーナスの一部を以下のような形で資産形成に回すことを検討してみましょう。
・NISA:非課税枠を活用し、長期的な資産形成をスタート
・iDeCo:老後資金として税制優遇を受けながら積み立て
・高金利の定期預金:リスクを取りたくない方は、今の高金利環境を活用
2)スキルアップ投資
将来の収入アップにつながる自己投資も賢い選択です。
・資格取得のための学習費用
・オンライン講座や専門スクールの受講料
・語学学習などの費用
3)健康投資
健康は最大の資産です。将来の医療費削減にもつながる健康投資を考えましょう。
・総合健康診断の受診
・スポーツジムの年間会員権の購入
・良質な睡眠のための寝具や環境改善
4)緊急資金の確保
いざという時のための「緊急資金」は、最低でも3~6カ月分の生活費を目安に準備しておくことが理想です。まだ十分でない場合は、ボーナスの一部をここに充てるのも良い選択です。
5)賢い「ご褒美消費」の方法
せっかくのボーナスですから、全て将来のために使うのではなく、自分へのご褒美も大切です。満足度が高く、後悔しない消費を心がけましょう。
・思い出に残る体験:モノより体験に投資する(旅行や趣味の充実など)
・長く使えるものを選ぶ:安物買いの銭失いにならないよう、長期的に見て価値のあるものを選ぶ
・本当に欲しいものを厳選する:本当に必要かどうかを吟味して選んだもの
まとめ~後悔しないボーナスの使い方~
今回の記事をまとめます。
・事前に使い道を決めておく:ボーナスが入る前から用途と金額を考える
・黄金比率を参考に配分する:50%は将来、30%は返済、20%は楽しみに
・長期視点を意識する:未来の自分に「ありがとう」と言える使い方を
・資産形成の第一歩にする:小さな金額でも積み重ねが将来の差になる
・自分自身への投資も忘れずに:スキル・健康への投資は最もリターンが大きい
ボーナスは「年収の一部」であり、単なる“ご褒美マネー”ではありません。賢く使うことで、未来の安心と今の充実のどちらも手に入れることができるのではないでしょうか。「このボーナスが役立った」と思えるような、満足度の高い使い方を心がけてみてくださいね。